音楽ブログであることを思い起し
10分遅れでTVクラシック倶楽部、オン。ジェームズ・エーネスがベートーベンのバイオリン・ソナタ4番を演奏中。一瞬、「クロイツェル」の方がいい。しかししかし、そこは何はともあれベートーベン、惹きつけずにはいない。ジェームズの解説では、ベートーベンはソナタの4番と5番を合体で出版したかったらしい。感覚的に対照的とまでいえるかどうか、しかし一般的には対照的と評されるこの4番と5番。これを合わせて出版することで世間をあっと言わせたい、何かわかる。ばっと自分の才能のすごさを提示してみせたい。わかるな~と思ううちに5番「春」が鳴り出す。あまりに聴きなれて、4番よりもぐんと月並みに聴こえてしまったのは、トシで感覚が鈍ったせいなのか。いちどは「クロイツェル」がいいと思ったことも忘れて、もう一度4番、4番が聴きたい。こんな調子。とはいうものの、「春」はやはりやはり名曲。手足も掬い取られて後半部分はしっかりと聴かせられてしまった。アンコールはソナタの3番。これがまた聴こうという意欲を引き出し神経をギリッと収斂させる。う~ん。まいった! やられた! 何だかんだ言っても、ベートーベンにはやられてしまう。
昨日は神尾真由子だった。やっぱりすばらしい! はて彼女何歳? ぐぐると38歳。ちょっとググってみると、トシなどググってくれるな、ほっといて! が演奏家の本音であるかもしれないが、「楽器は宗次コレクションより貸与されたストラディヴァリウス1731年製作「Rubinoff」を使用している。 東京音楽大学教授 」。ですか。そうですか。舞台と後進育成の掛け持ちでらっしゃる。なるほど。
すばらしい演奏であるにも関わらず。実はしっかりとは聴き損ねていたのだ。2007年に第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝し、輝ける彼女の演奏のすがたを私に是非見せてあげたいと、チケットを取ったとお誘いくださったご夫妻がいた。花巻市の市民文化会館だったと思う。そういう有難いお気持ちとは知らず、「神尾真由子の演奏会があるから花巻まで送って欲しい」とだけおっしゃった。日曜日、礼拝がある。そこで私は承知し、花巻までクルマで1時間を想定し、開演に間に合えばいいという計算。指定席は取ってあるのだし。ところがご夫妻は演奏会前にどこかで食事を挟みたかったらしい。教会の礼拝を早めに退席しなければならない。そこで食事時間までは取れないことを申しあげたところ、そこは私がたった1時間妥協すればいいところであったのだけれども、「じゃ、頼みません!」。何とも後味の悪いことになってしまったのだった。今なら1時間ぐらいなら相手の方のお気持ちに配慮できる柔軟性もあるのだが、その時は斟酌を利かせなかったために、とんだ結末になって仕舞ったのだ。そんなことがあってからは、神尾真由子を見るたびにこの一幕を思い出す。それにしてもご夫妻は神尾真由子にぞっこんだった。神尾真由子をよくこそ言え悪く言ったことなどないのだが、私も言葉がついつい人に誤解をもたらすような言い方になってしまうこともあり、そんな時には、「神尾真由子だよ!」と烈火のごと。神尾真由子に何の依存があるか、何の不満があるか! 神尾さんにはこんなファンを掴んでたんですね。神尾さんの話題が出ると、私はひたすら上下を着けた心境になって「ははー」と、平身低頭するばかり。懐かしい懐かしい思い出です。
⏰6時57分更新
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