230116 クラシック倶楽部を聴く ノトス・カルテット演奏会
2007年にベルリンで結成された世界でも珍しい常設のピアノ四重奏団、ノトス・カルテット。マーラーとバルトークのピアノ四重奏曲が演奏された。マーラーは16歳、バルトークは17歳で作曲された若き日の作品。バルトークは楽譜が失われていた知られざる作品で、ノトス・カルテットが再発見し、今回の日本初演が実現した。2019年7月2日、京都コンサートホール アンサンブルホールムラタでの収録。
シンドリ・レーデラ:ヴァイオリン
アンドレア・ブルガー:ヴィオラ
フィリップ・グラハム:チェロ
アントニア・ケスター:ピアノ アントニア・ケスター
発見した楽譜に関する コメント
レーデラ:バルトークの「ピアノ四重奏曲ハ短調」、この作品の存在はバルトークの作品一覧で知りました。「楽譜もどこかにあるに違いない」。そう思い私たちは楽譜を探しました。そしてブダペストの公文書簡で見つけたのです。しかしその楽譜は持ち出しもコピーもできず、演奏することができませんでした。私たちはどうしてもその曲が演奏したくて楽譜を探し続けました。ようやく発見した楽譜を手にしたときは信じられない思いでした。初めて演奏して作品に命を吹き込んだ瞬間は何ともいえない最高の気分でした。
グラハム:私たちはこの作品への理解を深めてきました。成熟期以降のバルトークのモダンな作風と異なりロマンチックで若々しく情熱的です。17歳の彼が、その後どのように成長していったのかを知ることができて気持ちが高ぶりました。
―TV解説―1898年の作曲当時、バルトークはギムナジウム(中等教育)で学ぶ17歳の学生だった。前年に亡くなったブラームスからの影響を強く受け密度の高い作品に仕上がっている。
🎵マーラーが16歳で作曲した現存する唯一の室内楽曲☆「ピアノ四重奏曲イ短調」、歌心あふれる抒情性に富み、瑞々しい、それに加えてドラマ性も。とても16歳とは思われない老成した部分も。レーデラであったか、我々はオーケストラのようにも2,3人で弾くようにも演奏できると語っていたが、もうこの曲からにして、ピアノが入っているという理由からばかりではなく、オケ並みの量感、質感を感じさせる。第一楽章からが終章のような豊かさがあり、この楽章だけでも事足りるかの満足感。曲が進むごとに、調和という目標はすでに眼下、気づけば各パートが完全に前面に躍り出て各々の個性を存分に発揮している。これがノトスならではの響き、滋養の豊かさであるかと。
☆バルトークの「ピアノ四重奏曲ハ短調」、これがまたすばらしかった。ノトスの誇りとする曲。終始聴く者の意識を逸らせない演奏だった。
アンコールはブルガーの日本語での紹介で、☆クライスラー「愛の悲しみ」、☆エルガー「愛のあいさつ」の2曲が。
🎧名曲アルバム。「おいしい水」。アントニオ・カルロス・ジョビン作曲。ヴィニシウス・ヂ・モライス作詞、住友紀人・編曲
ブラジルのリオデジャネイロがボサノバのふるさとである。ボサノバの名曲を数多く残したのが作詞家ヴィニシウスと作曲家のジョビン。「おいしい水」は彼らの代表作の一つである。1965年二人は新首都ブラジリアを訪れていた。散歩をしながら新作の構想を練っていた二人の足を止めたのは川のせせらぎ。その小川の水を飲んだとき、この曲がひらめいたという。
ヴィニシウスは酒豪でも知られる。生涯結婚、離婚を繰り返し破天荒だった。外交官、ジャーナリストとさまざまな顔を持つ。人気はあったらしい。
⛳21時56分更新
きょうは前のページも更新。ちょっと疲れ気味。そろそろ休止にと思った次の日に限って、というより、最近は音が以前にも増して研ぎ澄まされ、冴え冴えとリアルに聴こえるようになっているのは、これは恩寵かもといったけれども、ほんとうにそんな気がする。記憶することは厳しくなっても、その分、何か感性的なものが引き出されてきているのでは。
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