230127 クラシック倶楽部を聴く ワルター・アウアー フルート・リサイタル
ワルター・アウアー(フルート)のプロフィール
ケルンテン州立音楽院、モーツァルテウム音楽大学で学び、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を経て、2003年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席奏者に就任。「ウィーン・クリムト・アンサンブル」を結成し室内楽でも活動しているほか、ソリストとしては、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ニュルンベルク交響楽団など世界の著名なオーケストラと共演。指導者として世界各地でマスタークラスを開催するなど、多彩な活動を続けている。
沢木良子(ピアノ)のプロフィール
桐朋女子高等学校音楽科卒業、同年渡仏。パリ国立高等音楽院ピアノ科を最優秀で、そして室内楽科を満 場 一致の最優秀で卒業。同時にエクリチュール科に於いて高等ディプロム取得。文化庁在外芸術家研修員となり、更に研鑽を積む。1989年および19 94 年、P TNAピアノコンペティション金 賞受賞、サンマリノ音 楽 祭に招 待される。19 9 9年、For u m de Nor m a nd ie室内楽コンクールにて第3 位 入 賞、2 0 02年、ブルガリア・アルベール・ルーセル国 際コンクール第3 位 入 賞、翌年ヴィットリオ・グイ国 際 室内 楽コンクールのファイナリスト。ウィーン・フィルのメンバーとの共演も多い。
【収録】2022年11月15日 ハクジュホール(東京)
【曲目】
☆コンチェルティーノ作品107(シャミナード)
☆忘れえぬ記憶の中に(一柳慧)
一柳慧はジュリアード音楽院に学び、」ジョン・ケージなどアメリカの前衛音楽を日本に紹介した現代作曲家。阪神・淡路大震災の記憶を描いたこの作品は、神戸フルート国際コンクールの課題曲として作曲された。素早いパッセージや打楽器を思わせる持続的な連打など特殊奏法が散りばめられている。
☆フルート・ソナタ ロ短調 BWV1030(バッハ)
バッハのライプチヒ時代のチェンバロとフルートのための作品。フルート・ソナタの中の最高傑作と評される。
☆フルート協奏曲 作品30b(尾高尚忠/尾高惇忠 編)
昭和初期の日本音楽界の中心的存在として活躍。作曲家・指導者であった尾高尚忠の最晩年の作品。1948年に小編成のオーケストラ版として作曲された後、大編成への改定を進めている中、病に倒れ未完に終わった。尾高の死後、愛弟子の林光によって完成され、その後長男の惇忠によってピアノ伴奏版が作られた。
ワルター・アウアーのコメント
Qフルートの魅力
フルートの最大の魅力はサウンドです。形而上学的な異次元の響きを持つ楽器です。言葉では表せず感じることしかできない感情を伝えることができます。どんな楽器でもできることですが、フルートは特にそれが得意だと思います。私にとってとても重要で大切な楽器です。音に変化を与えるのはあくまでも体です。リードもマウスピースも使いません。音はすべて自分の体で作っていきます。非常に音の安定性が高い楽器です。何かがうまくいかないとき、それは楽器ではなく自分のせいです。分解ができて持ち運びが便利という利点もありますね。
Q後進の育成について
若い演奏家が大学を卒業するまで自立に向けた準備期間を支えることはとても重要です。演奏面だけでなく精神面も支えていく必要があります。調子のよい時も悪い時も、ずっと寄り添っていてあげなくてはなりません。人生は山あり谷ありですからね。それでいいんです。私にとって若い人への指導は何にも勝る大きな喜びです。私が「響き」の質と音色を最も重視していることは、学生たちもわかっています。完璧なテクニックも大切ですが、音楽家の感情や魂は「響き」を介してしか聴き手に伝わりません。後進に伝えている一番大事なことです。
🎵たとえプロであっても、ステージに上がる前に用意周到な準備を重ねても尚、いざ、ステージに上がってみると、何か演奏しにくいということもあり得るのではないか。それでも一定の水準はこなすところがまたプロのすごいところだと思うのだが。けさは若干それを感じてしまった。しかし、プログラム中に日本人作曲家の曲を2曲も入れて下さったと思う。
🎧名曲アルバム。「アニー・ローリー」スコット夫人・作曲/上柴はじめ・編曲
「アニー・ローリー」(オーボエ)渡辺克也,(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,(指揮)梅田俊明 ~イギリス・スコットランド各地~
アニー・ローリーは17世紀末に生まれた貴族令嬢。生家はスコットランド南部マクスウェルトンの丘にある。スコットランドきっての美人で崇拝者が後を絶たなかったという。彼女はダグラスという男性と将来を誓い合っていた。しかし父親の反対に遭い引き裂かれてしまう。数年後別な男性と結婚。当時スコットランドは動乱の時代で、大きな内戦が続いていた。アニーの父とダグラスの政治的立場が異なったのが破局の原因だった。悲嘆にくれたダグラスはアニーへの熱い思いを詩に託した。後にスコットランドの音楽家スコット夫人がメロディーをつけて「アニー・ローリー」という歌ができた。19世紀後半には英国全土に広まる。
⛳芸術家がよくパトロンや恋する女性に作品を献呈している。それはいったいどんな人? と顔写真なりとも見てみたい、その人について知りたいと思ったものだ。しかし最近になって、確かにその曲のように、その詩のように、美しく素晴らしい相手である場合もあるだろう、けれども、完璧な人物はいないわけで、実は献呈するに値しない相手である場合もあるのだ。完璧な人間はどこにもいないのだ。つまり、曲や詩に表されている美しさ、素晴らしさは、他でもない作曲者自身の内に内蔵されているものであり、献呈しようとする対象とはほとんど無関係である場合もあるのでは、今はそんな覚めた、冷めた感覚で受け止めている。
⛳21時55分更新
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