230126 クラシック倶楽部を聴く エマニュエル・パユ フルート・リサイタル
89年神戸国際フルート・コン優勝以来、鮮やかな技術と流麗な音楽性で人気を博してきたパユ。今回はドイツ・バロックのテレマンと現代作品を交互に組んだ意欲的な公演。
エマニュエル・パユのコメント
今回のプログラムでは古典の曲と現代の曲を組み合わせてみました。古典と現代を交互に演奏することで、フルートの曲が時代を超えて作られてきたことがわかります。スピリチュアルな目的や舞踏のため、それを聴き取ることができるのです。テレマンとオネゲルやヴァレーズとの対比は聴衆にとっても興味深いはずです。いわば作曲家たちによる対話です。あなたの音楽の聴き方にも変化をもたらすでしょう。私にとって舞台にあがることは大道芸をすることとは違います。徹底的に集中します。ソロ演奏のときはなおさらです。音符の一つ一つに私の息と心を吹き込まなければ音楽は生まれません。責任は重大です。ですから演奏会は常に真剣勝負です。全身全霊を注ぎます。しかし音楽が楽しく踊り飛び跳ねていたら私の心も踊ります。その喜びが私の演奏を通じて皆さんに伝われば嬉しいです。
曲目
「無伴奏フルートのための幻想曲 第1番」→「比重21.5」(ヴァレーズ)
「無伴奏フルートのための幻想曲 第10番」→「スクリーヴォ・イン・ヴェント」(カーター)
「無伴奏フルートのための幻想曲 第5番」→「めやぎの踊り」(オネゲル)
「無伴奏フルートのための幻想曲 第6番」→「ソナタ・アパッショナータ」(カークエーレルト)
「無伴奏フルートのための幻想曲 第7番」
🎵テレマンの第1番の次に「比重21.5」(ヴァレーズ)、この次にテレマン第10番といった以上のような配列。「比重21.5」はプラチナの比重。尺八の節回しも感じられ、尺八の音域の事はわからないが、このような現代曲を尺八でやってみたら面白かろうと。「スクリーヴォ・イン・ヴェント」は「風に書く」の意。風がざわつく叢林に明滅させる光の屈折を写実的にとらえている感じが。異次元に足を掛けたかなと。「ソナタ・アパッショナータ」のカークェーレルトって、と思ったところに、ドイツの作曲家でありオルガニスと。この曲は1917年第一次世界大戦で知り合った友のために作られた曲と当意即妙な字幕解説。曲の終わりは「無伴奏フルートのための幻想曲 第7番」で、フルートの音が遠ざかっていくかに演奏しながらパユがステージの袖にすがたを消す。全曲無伴奏演奏という実力。ベルリン・フィルの首席であってみれば、当たり前といえばあたりまえなのだが、知見によるプログラム編成、音の質の高さに心地よさを。無伴奏フルートのための幻想曲は第10番がいちばんよかったが、この10番を次のベースに入れたことで、テレマンはこんなにいいものだよ、だから続けて最後まで聴きなさいというパユのお勧めが。
🎧名曲アルバム。「バレエ音楽“マ・メール・ロア”から妖精の園」ラヴェル作曲
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,(指揮)北原幸男 ~パリ・フランス~
⛳けさも盛岡は大型冷蔵庫にストーンと入れられたような。どこを押し開けたら春うららの快適な野山に出られるものか。それにしてもドラえもんのどこでもドアの着想はすばらしい。目の前に10の扉があって、さてそれぞれがどんな世界につながっているのか、マラルメの家か、はたまたモンセラートの修道院か、そんな想像だけでも心たのしく何か温かい。
6時33分更新
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