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230124 クラシック倶楽部を聴く MAGNUMTRIO ―福岡県春日市公開収録―

世界が注目する次世代型フルートアンサンブル「MAGNUMTRIO」が登場多久潤一朗、神田勇哉、梶原一紘による、超絶技巧を駆使した圧巻のパフォーマンスちくわ笛歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲(グリンカ)、コロブチカ(ロシア民謡)、アヴェ・マリア(バッハ/グノー)、童謡メドレー、クロック・アラーム(多久潤一朗)、ミニマルアニマル(多久潤一朗)、剣の舞(ハチャトゥリヤン)、交響詩「死の舞踏」(サン・サーンス)、ハイランドパーク(多久潤一朗)、ブラックバード(マッカートニー&レノン)、くまばちは飛ぶ2020年9月福岡県春日市公開収録80歳を迎えたホリガーは言う。「時計の針は人生を計るものではない。私は続けられる限り、演奏し、指揮し、作曲する。」信頼する仲間との絶妙なアンサンブルを放送するー番組紹介よりー
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コメント
多久:我々マグナムトリオ、ご存じの通りフルート3本の編成です。フルート3本ですから同時にたてる音は三つまでなんですね。でも3つということは、ピアノでドミソと弾いたら、これでもう終わっちゃうんです。ですから、もう3人でしっちゃかめっちゃかになって動かないと曲が成立しませんし、またコンサートを通すと、もうずっとフルートしか出てきませんから、やはりいろんなアイデアが必要になってくるんですね。ですので、私たちは自分たちの事をこう呼んでいるんです。フルートを突き詰めすぎた団体。きょうはこれをテーマに私たちがどれだけ突き詰めているのかを皆様に紹介したいと思います。
先ずは、ふつうのフルートをコンサートフルートといいます。そして音が4つ低くなったアルトフルート、そして、1オクターブ低くなったバスフルート。さらに1オクターブ低くなったコントラバスフルートがあります。フルートは楽器が大きくなればなるほど音量がすこしまろやかになって音色がやさしくなるんですけれども、この低音フルートだけでグノーの「アヴェ・マリア」をお贈りします。

 特殊奏法というのは、簡単にいうと普通じゃない奏法です。フルートという楽器は特殊奏法が非常に多い楽器なんです。なぜかというと、口でできることを増幅するシステムだからなんです。口で弾けば、それがフルートで反響して打撃音になりますし、管の中に息を吹き込んでひゅーっと流したり、いろいろな特殊な音響を生み出すことができます。特殊奏法を極めたきっかけは、私はもともと現代音楽を専門にやっていたからなんです。現代音楽では特殊奏法の音を出すことが非常に多い。ただ特殊な音で特殊な音楽をやってるから、結果ふつうになっている。なので、この僕は、この特殊な奏法で普通の音楽をやったら、これがいちばん特殊なものになるのではないかなと、それがアイデアの発端です。
神田:音楽大学で楽器を学ぶということは、クラシックのレパートリーをきちんと吹けることが前提になってくるんですが、現代音楽の曲を演奏してくれと依頼が来たりですとかコンクールの課題曲になったりしたときに特殊奏法が出て来て、皆さんはそれをとりあえずできるようにするまで習得するというところが普通のルートなんですけれども、私たちはその特殊奏法がぼこっと一つだけ出てきたのを、こんなに面白い音がするのをただその音楽のためにだけ一回使うのはもったいないと、これをいかに形を変えて面白い音楽にできないかと、特殊奏法というのは非常に重要な私たちの活動の軸になっています。


多久:「ミニマルアニマル」では、パーカショニストを招いて共演したい。ただこのパーカショニストはちょっと癖が強い。謎のリズムを叩くのでいつも崩壊してしまうんですけれども、きょうはうまくいったらいいなと思っています。

多久:(SNSに投稿した「ちくわの吹き方講座」は12万回以上の再生があった。実際ちくわで鳥のさえずりを演奏)。特殊ということを売りにしてやっていた我々が見落としていたのは、フルーティストがフルートを吹くのはふつうだな。ほかのものを吹いたほうが受けるんだということに何で気づかなかったんだ。なのでこれから仲間の二人はいばらの道を歩まされることになると思います。

演奏にはいろいろな頭部管を使う。Bee モードヘッドジョイントは頭部管に穴をあけてラップを貼っている。音は懐かしさという感じ。多久は中華風な音と。グリッサンドヘッドジョイントはフルートではできないポルタメントとかができる頭部管を使ったり。またアルトリコーダーの頭の部分をフルートに挿してみたら、何と挿さってしまった。こういう楽器を使って「「剣の舞」、「死の舞踏」を、さらに「ハイランドパーク」を演奏します。

 

曲目

「歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲」グリンカ:作曲、多久 潤一朗:編曲
「コロブチカ」ロシア民謡:作曲、多久潤一朗:編曲
「アヴェ・マリア」グノー:作曲、多久潤一朗:編曲
「童謡メドレー」多久潤一朗:編曲
「クロック・アラーム」多久潤一朗:作曲
「ミニマルアニマル」多久潤一朗:作曲
「剣の舞」ハチャトゥリヤン:作曲、多久潤一朗:編曲
「交響詩「死の舞踏」」サン・サーンス:作曲、多久潤一朗:編曲
「ハイランドパーク」多久潤一朗:作曲
アンコール「ブラックバード」ポール・マッカートニー&ジョン・レノン:作曲、多久潤一朗:編曲
アンコール「くまばちは飛ぶ」リムスキー・コルサコフ:作曲、多久潤一朗:編曲

🎵フルート実験工房といった感じ。あっと言わせずにはおかないという企みと好奇心がいっぱい。
多久さんの編、作曲にはぜんたいに遊び心が感じられる。自分が楽しく愉快になる旋律を編み出し組み立てるという感じが。

「童謡メドレー」では機関車が蒸気を噴き上げる音、滴がしたたる音、ぞうの鳴き声、小鳥のさえずり、にわとりの鬨の声、ウミネコの鳴き声。蜂の羽音、茶摘みの忙しさ爽やかさの音までを追求する愉快な自然描写。

「剣の舞」は改造フルートでの演奏。グリッサンド・ヘッドジョイント、リコーダー・ヘッド・ジョイントと、移動式の吹き口にはびっくり。

「ハイランド・パーク」ではタップ、足踏み、アンコールの「ブラックバード」では口笛。可能な限りの模索、試行錯誤。「くまばちは飛ぶ」は、いたずらなくまばちが、どこにどんな悪戯できるところがあるかと好奇心いっぱいな目を光らせながら飛ぶさまが浮かぶ。これがまさしくMAGNUMTRIOの好奇心に相通じると思われた。

「クロック・アラーム」は目覚ましに覚醒を促されながらの夢うつつでの作曲らしいのだが。

ちくわばかりではなく、ねぎ、空心菜も吹いて見せるのには驚き! ちくわで演奏したのは「大きな古時計」。ちくわではない何かピッコロかを吹いて音を合成したのではとさえ思われるのだが、正真正銘のちくわと見た。ほとんど手品か魔術のよう。
 ほとんど手品でも見ているような、聴いているような、音の世界の手品かと思わせられるようなステージ!


 

🎧名曲アルバム。「“モンセラットの赤い本”から“母なるマリア”」中世写本

歌・波多野睦美、アンサンブル音楽三昧
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スペイン北東部バルセロナ郊外にカタルーニャ地方第一の聖地モンセラット(のこぎりり山)。ここに千年の歴史をほこるモンセラット修道院がある。80人ほどの修道士が、今なお共同生活をおくる。修道院付属の少年聖歌隊は700年以上の伝統を持つ。
この修道院にある「黒い聖母」は独自の文化と言語を持つカタルーニャ地方の守護聖人とされている。「マリヤよ、この世の避難所よ、われらを守りたまえ」と歌われるこの歌は、「黒い聖母」にささげられた平和への祈りである。巡礼たちの歌と踊りを記録した14世紀の手写本がある。「母なるマリア」の楽譜がある。幾多の戦禍をくぐりぬけたこの本は、19世紀末に赤い布で装丁され、以来「モンセラットの赤い本」とよばれるようになった。カタルーニャ精神の象徴「黒い聖母」と「赤い本」はモンセラット修道院の至宝として大切に受け継がれている。

 

⛳ウィーン少年合唱団は、」1498年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が、宮廷礼拝堂少年聖歌隊として創設、約500年の歴史に当初は驚いたけれども、モンセラットの合唱団の方は700年を経ている。創立当時の修道院での歌声がどんなものであったろうかと考えたが、想像は実像に届くべくもない。

8時11分更新

けさは4時半にはこの辺り一帯の除雪は完了していた。雪景色にビルや家々の灯りが映じているさまは清浄そのもの。

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