221202 クラシック倶楽部を聴く マテュー・デュフォー フルート・リサイタル
マテュー・デュフォー(フルート):1972年パリ生まれ。8歳から本格的に始める。現在ベルリン・オーケストラ首席奏者。
浦壁信二(ピアノ):1969年生まれ。都立芸術高校、パリ国立高等音楽院に学ぶ。国内外の演奏家と共演。洗足学園音楽大学客員教授。
マテュー・デュフォーのコメント
器楽の演奏家はみな「歌うような演奏」を目指しています。「声」をイメージして演奏するのです。声は何も介さずに自己表現ができる最も原始的な「楽器」です。フルートは「声」にいちばん近い楽器です。息と音が直接結びついています。歌口に(リードのような)物理的な抵抗がなく、直接息が入る唯一のクラシック楽器なのです。だから私はフルートに歌いかけるように演奏します。とても親密な関係です。息と戯れている感覚です。
今回のプログラムは私自身の人生とも重なります。私にもピアニストにとっても難曲ぞろいですが、心を豊かにしてくれる作品ばかりです。やや暗く物悲しいプログラムですが、その気持ちを共有し会場と一つになりたい、そう願って組みました。
美しい音とは、感情が伝わる音だと思います。ポジティブな感情もネガティブな感情も含めての音です。ただ綺麗なものは飽きられます。人生と同じように音も変化や柔軟性があってこそ輝くのです。感情を音に乗せることが大切だと思います。
私が音楽を通して目指すのは「分かち合い」です。音楽で物語を語りメッセージを伝える。それさえできれば私は満足です。人の心に響く演奏をすることが私のしあわせなのです。
【曲目】
☆フルート・ソナタ プーランク
20世紀前半を中心に活躍したフランスの作曲家集団「6人組」のひとりプーランクが晩年に書き上げた代表作のひとつ。フルートの巨匠ランパルに助言を仰ぎながら書き進められ、ランパルのソロ、プーランクのピアノで初演された。
☆フルートとピアノのためのソナチネ op.76 ミヨー
「6人組」のひとりミヨーの作品。クラリネット、オーボエの作品とともに「ソナチネ3部作」と呼ばれ、その中で最初に作曲された。
☆フルート・ソナタ ホ短調「ウンディーネ」op.167 ライネッケ
ドイツの作曲家ライネッケがフーケの戯曲「ウンディーネ」から着想を得て作曲。水の精ウンディーネの悲恋を描いた作品で最終楽章では悲劇的な結末へいたる様子が激しい曲調で表現される。
🎵 3人の作曲家による、それぞれの色合いをもったフルートの音。
「ウンディーネ」、水の精を歌うフルート。時として陰影も伴う奥行きのあるフルートにピアノがけっこうドラマを付加してくれる。水の面をすべり揺らぐものがしだいに森の木立のかしこに悲しく希望を探しめぐるという感じが。悲しく呼ぶような、はたまたそれが木漏れ日に慰められてでもいるような魂のひとり歩き。第2楽章でアクティブに。いいじゃないの、これで、けっこうこれも愉快痛快と聴こえてからは解放されたような伸びやかさ。次楽章、それこそ、こうか、ああかと歌うような。終章、追いかけるのはピアノかフルートか、フルートかピアノかと華麗に勢いづく先の静けさ。
🎧名曲アルバム。シベリウス「バイオリン協奏曲」
バイオリン加藤知子、現田茂夫&東京フィル
ヘルシンキ郊外に広がるヤルヴェンパーの森。シベリウスは、91歳で世を去るまでの半世紀以上をこの地で過ごす。終の棲家となった山荘〝アイノラ〟は今も静かにたたずんでいる。妻アイノの名からつけられたこの山荘での暮らしは、シベリウスの芸術に大きな影響を与えた。
1900年にヘルシンキで活躍していたシベリウスを聴覚の異常が襲う。酒におぼれ、社交に明け暮れる日々。シベリウスは創作の意欲を失い堕落の底へと落ちていった。逆境の中、バイオリン協奏曲が誕生する。しかし初演は失敗に終わる。妻アイノはシベリウスと共に山荘で暮らすことを決意する。光と緑に包まれた森の生活。シベリウスは創作意欲を取り戻していった。自ら演奏を禁じていたバイオリン協奏曲に再び向き合う。改訂稿で臨んだ再演は大成功をおさめシベリウスは自信を回復する。北欧を代表する作曲家として世界的な名声を確立したシベリウスは終生〝アイノラ〟を離れることはなかった。
⛳ワールドカップと音楽番組との間を行き来しながら、観た、聴いた、の今朝、デュフォーのフルートの音を引きずりながら、チャンネルを切り替え、切り替え。シベリウスに入る直前に日本の勝利決定。それにしてもゴールキーパーは偉大なり。そう思われた。もし私がサッカーをやるとしたら、すでに、絶対に、間違ってもあり得ない、バカげた、能天気な、あと打ってつけの言葉はないかと思い巡らすも、もはやこれぐらいの貧しさで、ともかく、やりたいなと思ったのはゴールキーパー!
8時43分更新
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