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221103 クラシック倶楽部を聴く 小菅優 ピアノ・リサイタル

9歳でデビュー。2005年にはカーネギー・ホールで、2006年にはザルツブルク音楽祭でリサイタル・デビューを行う。世界の殿堂で活躍を続ける小菅の「今」を聞く。
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東京オペラシティでの収録

小菅優のコメント
「風」というのは目に見えないもの。空気、それから語源などをさぐっていくと命とか魂とかいうふうにどんどん連想される幻想であって、すごく想像力が掻き立てられるところですね。「風」は今までやってきた(聞き落し)のなかで一番前向きで一番ミステリアスで不可思議な世界。それでいて、奮い起こしてくれる強さもあって、すごく私は一番感性を揺すぶられるようなエレメントだと思います。
ベートーベンはずっと取り組んできた作曲家で、今回は「テンペスト」なんですが、すごく対話は激しい対話が(この部分は今回も聞き取りかねた)でしょうか、「嵐」といっても心の嵐、ほんとうにベートーベンがハイリゲンシュタットの遺書を書いて、その後に、やっぱり芸術を絶対に残していかなければいけないという使命感も感じるほんとうに画期的な作品だと思います。

曲目
☆「クラヴサン曲集 第1巻 第3組曲から「かっこう」ダカン:作曲
「カラヴィンカ」西村朗:作曲
西村朗は2006年にザルツブルク音楽祭で行われた小菅優のリサイタルのためにこの作品を書いた。カラヴィンカは極楽に住む人間の顔を持つ鳥。美しい声で人の魂を救済するといわれている。
ピアノ・ソナタ 第17 ニ短調 作品312」ベートーベン:作曲
ベートーベンは1802年にこのソナタを作曲した。当時の彼は難聴が悪化し自殺を考えるほど思い詰めていた。彼がこの作品の真意について秘書に、「シェークスピアの嵐を読めばわかる」と語った逸話から、嵐を意味する「テンペスト」という名で知られている。
「前奏曲集 第1巻から「沈める寺」」ドビュッシー:作曲
ドビュッシーは1909年から13年にかけて自身のピアノ曲の集大成とされる2つの前奏曲を書いた。「沈める寺」はブルターニュ地方の伝説をもとに作曲された。伝説都市イスの海底に沈んだ寺院が水上に姿を現し、聖歌や鐘の音を響かせてはまた沈む様子を表現している。
「前奏曲集 第2巻から「霧」」ドビュッシー:作曲

🎵「かっこう」。鳥、かっこう、聴いているうちに、カッコウってどんな鳥? 小菅を聴いていると曲をよく理解したいというに優って、小菅の指が紡ぎ出す鳥を訊ねてみたくなるのだ。「カラヴィンカ」、実に印象的。透徹した鉱物的な響きに目が醒める想い。小菅の10指に潜む鳥は飄然と翻って美しさで辺りをざわめかせる。周りの気配を察知し見抜き、玄妙に姿を垣間見せる。以前、小菅が打ち出す音をインド、東南アジアの打楽器に探したことが思い出される。自分の宗教土壌とは異なるが、魂を訪ねあるく、何か巡礼的な感じもする魅力的な旋律、靄がかるところも明瞭に聴かせる小菅のハイテクニック。「ピアノ・ソナタ 第17番」即ち「テンペスト」。これはもうハイリゲンシュタットのあと、しかし芸術はのこしていかなければならないとの思いと小菅。激しい対話、心の嵐、これはシェークスピアの「嵐」でもあると。鮮烈な演奏途上に第3楽章の魂を震わせる優しさには落涙。すばらしいベートーベン演奏にはベートーベンが現われると私は思っているが、この演奏にもあの面影が。最後は、現実はこうだが、しかしこうあらねばならないとつたわってくる。「沈める寺」、ブルターニュの伝説から。「霧」、小菅の真骨頂、繊細な色彩感が響く。

 

🎧名曲アルバム。ショパン「マズルカ作品17-4」
ピアノ大崎結真
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のどかな田園風景が広がるポーランドのシャファルニア村に、ワルシャワにいたショパンは1824年の夏14歳でこの村を訪れる。8歳で神童と呼ばれ貴族の間でも評判のショパンの演奏を聴きたいとこの村の有力者がショパンを招いたのだ。この来訪を記念してシャファルニア・ショパン館が建てられた。毎年ショパンの名を冠した青少年のためのピアノコンクールも行われている。都会暮らしのショパンに田舎暮らしは新鮮だった。ピクニックや乗馬などを楽しみ田舎暮らしを満喫したショパンは。「シャファルニア通信」と題して村の出来事を両親に書き送った。「15日事件発生。鳥小屋で七面鳥の卵孵る。七面鳥の家族が増え、飼い主の財産も増えた」といった内容。ショパンは滞在中に行われた祭で、この地域特有のマズルカに出会う。マズルカはポーランドの人々が古くから親しんでいる民族舞踊。ゆるやかなリズムに憂いのあるメロディー。その音楽から着想したのが「マズルカ作品17-4」といわれる。ショパンは祖国の音楽を芸術にまで高め生涯で60曲のマズルカを書いている。

⛳7時ジャスト更新

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