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221012クラシック倶楽部を聴く 松田華音 ピアノ・リサイタル

6歳でロシアに渡りグネーシン音楽学校、モスクワ音楽院で研鑽を積んだ松田華音。大学院を修了する2021年6月、一時帰国した際に収録したみずみずしい演奏を紹介します 【出演】松田華音(ピアノ)1996年香川県出身。2003年グネーシン音楽学校に首席で入学。2013年同校で外国人として初となる最優秀生徒賞を受賞。2014年ロシア政府特別奨学生としてモスクワ音楽院に入学。同年、世界的レーベルからCDデビュー【曲目】ピアノ・ソナタ 変ロ長調 K.333(モーツァルト作曲)、楽興の時 作品16(ラフマニノフ作曲)【収録】2021年6月8日 NHK大阪ホール(無観客)
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松田華音のコメント
 私が6歳の時にロシアに渡って、12年間学んできたグネーシン音楽学校の先生が、どちらかというとモーツァルトよりもベートーベンが得意な方で、そのあとのモスクワ音楽院の教授もクラシックのソナタというよりはロマン派が得意で、ロマン派のものをたくさん弾いてたんですけど、今回モスクワ音楽院の大学院に入学して、ヴィルサラーゼ教授のクラスに入らせていただいて、ヴィルサラーゼ先生もとてもモーツァルトが得意なのでモーツァルトがやりたいなと思っています。
 モーツァルトから始めるのはすごくこわいです。すべてが表面に出てしまうので、すごくコントロールが必要だと思います。個人的には3楽章のコンチェルトのような、最初ソリストが出て、その後オーケストラが出て、そういうまるでやり取りが聞こえてくる曲なので、そういうところがすごく気に入っていて、そういうところを聴いていただけたら嬉しいなと思います。
 ラフマニノフはロシアの風景が見えるものでもありますし、ロシアに住んでらっしゃる方々のハートが感じられる温かいハートが感じられるような作曲家だなと思って、弾いていたり聴いていたりすると、すごく心に沁みるというか、ああこの景色、あの時に見たなとか、その瞬間、だれだれと話してこう感じたなとか。ロシアの方は最初は冷たい感じかなとおもうかもしれないんですけど、話してみるとすごく暖かくて優しい方たちなので、そういった優しさ、包んでくれるような温かみと優しさがラフマニノフの音楽にも出てるんじゃないかなと思います。
 「楽興の時」はまさにロシアの風景が感じられる曲だと思います。ロシアの小説に出てくるような景色だったり、ロシアの小説の中の主人公たちが感じている気持ちだったり、ほんとに弾いていて、ああ、ロシアだなという、ノスタルジックな感じがします。わたしの演奏を聴いてくださった方が、ああ、ロシアだなと聴いてくださったらすごく嬉しい。

 

🎵NHK大阪ホールでの無観客収録だったようだ。その無観客席も一つの奏者の背景として生かしたかの一場面も。モーツァルトでは青系ライト、ラフマニノフでは赤系ライト。特に前半の映像描出がすばらしい。青系が幻想的な雰囲気を醸す効果にもよるけれども、演奏者と共にピアノという楽器の美しさを余すところなく演出してくれた。楽器はそのままの形状ですでに形が完成していると思わせられるところ、さらにライトとカメラの丹念な協調、共同作業がピアノの美しさの格を増し加えたという感じが。ピアノを円状にとりかこむあかりが配置を変えての場面。また黒鍵の陰が白鍵に並び映りこんでいる。周りの事物がピアノの断面、湾曲によってどのように映し出されるかの可能性が追及されていたようにも思う。ピアノのあらゆる角度、断面が漆黒から様変わりする新たな姿が描出されている。
 「楽興の時」、第4曲、第6曲、はけ口のない情念、といっても引きずるような粘っこさはないのだが、音に託されたロシア的な憂鬱といいがちになるけれども、或いは、没落貴族に生まれ9歳で生家破産。奨学金でペテルブルク音楽院に入学するが、学科試験で落第などの痛手がすでに神経系に影響を及ぼしていたか、神経系からくる憂愁を託っていたものか、無意識の咆哮が出口を求めているかのような。
 松田華音さんの曲のここぞという部分の作曲家への相槌に相槌を打ちながら聴く。

🎧名曲アルバム。「白鳥」サン・サーンス作曲/丸山和範・編曲
(チェロ)藤原真理,(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,(指揮)本名徹次 ~フランス・アヌシー、ディエップ~
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フランスの作曲家サン・サーンスはノルマンディー地方にある港町ディエップを愛し、しばしば訪れた。16世紀には象牙貿易で栄え、19世紀には印象派の画家たちがモチーフを求めてよく訪れたという。海をのぞむ古城は現在美術館となりその中にはサン・サーンスの間がある。早くに父を亡くし母に育てられた。3歳でピアノ曲を作曲している。「白鳥」は後に名声を得た彼が旅先で書いた「動物の謝肉祭」の中にある一曲。友人の演奏会のために作曲された小品集「動物の謝肉祭」は、著名な音楽家の作品が引用され、風刺と遊び心があふれている。そのためサン・サーンスは生前、誤解を恐れてその出版を禁じた。だが「白鳥」だけは、その人気のゆえに出版を許可された。ユーモアに満ちた作品集の中で、「白鳥」は象徴的な美しさを放つ。ー解説を参考に筆記

⛳21時45分更新

 

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