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220919クラシック倶楽部を聴く 角野隼斗 Beethoven Chopin Sumino

角野隼斗は1995年生まれ。2017年ショパン国際コンクールinASIA大学・一般部門アジア大会金賞受賞。18年ピティナピアノコンペティション特級グランプリ。189月から半年間フランス音響音楽研究所(IRCAM)で音楽情報処理の研究に従事。19年リヨン国際コンで第3位を受賞。20年東京大学大学院情報理工学系研究科修了。
自作や即興演奏なども配信し従来の枠を超えた演奏家として注目を集める
【収録】202139日 武蔵野市民文化会館 大ホール

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コメント

ベートーベンの和声の積み方というのは、けっこう、特にこの「ワルトシュタイン」なんかはピアノの音域が広がって、ピアノがすごく進化していったころに作られた曲の一つでもあって、高域、低域というのをガツンと使うみたいなのが多くて、でもそれはそれでベートーベンとしての男性的な力強い魅力というのがあって、そういうのを改めて聴いてみると、あ、すごいカッコイイなと思うんです。ロック的というか、ギターを低弦ですごく鳴らしているみたいな、うんと近いようなカッコ良さを感じるんですけど、なので、そういう曲としてショパンとの対比という意味でも面白いかなと今回弾かせていただきました。
 音楽を届けたい、楽しんでもらいたいというのは、何らかわりはなくて、たぶん、僕もユーチューブとかの活動とコンサートでクラシックを弾くという活動が、もともとぜんぜん別のところにあって、どういうふうに自分の中で両立していけばいいのかなというのをいろいろ考えた時期があったんですけど、でも別にそれは200年前のフランツ・リストとかがやってたことと同じだなと思ったんですよね。昔のその当時のクラシックも演奏するし、自分で作曲アレンジ、即興とかもやるというということに改めて考えて気づいたときに、あ、この二つは自分の中でぜんぜん分けて考えなくていいんだと思うようになって、お互いにいい影響を与え合ってるんじゃないかなとは思ってます。
 ショパンはその音を出したときの響きがすごく輝いて洗練されているなというのを感じるんです。いろいろなところが緻密に考えられているんだけれども、でも、たぶん、すごくインスピレーションというのはだいじにしてて、ショパンだって即興演奏とかはしてましたから、そういうバランスっていうんですか、インスピレーションをだいじにするけれども、そこからそれをちゃんと曲として完成度の高いものに構築していくというところがすごく見習うべきところがあるなというか、自分にとってすごく大きな存在ですね。
 「子犬のワルツ」と「大猫のワルツ」については、そうですね、それ(子犬のワルツ)の逆を行こうというか、子犬の逆は大猫かなあみたいな、その大猫であるのには理由がありまして、ショパンもジョルジュ・サンドが飼っていた子犬にインスピレーションを得ててというはなしがありますけれども、僕の実家で猫を飼ってるんですけど、大きい猫なんですね。大きんだけど太ってるんだけど、すごいジャンプしたり走り回ったり軽々と駆けまわってるんだけど、こう重量感はあるような、そんなようなところから、これも家でそういうのを見ながら即興してて、たところから生まれた曲なんですけども。ロマン派時代のなんか良いセンスはすごいありますよね。で、それにちょっとだけジャズっぽいハーモニーとかリズムを自分なりにちょっとだけ加えてみてるという感じです。
 でも僕はやっぱりクラシックは大好きなんだけど、クラシックを演奏するだけではなくて、今の21世紀、多様なジャンルがあるわけですけど、そういうものと或いはそのどんどん取り入れる中で、こう混じらわせてこう次への世代へと音楽を繋いでいきたいという気持ちは強くて、何かそういうところはずっとやり続けると思います。 

曲目

ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」 ベートーベン
スケルツオ第1 ショパン
☆ノクターン作品481 ショパン
子犬のワルツ ショパン
大猫のワルツ 角野隼斗

 

🎵え、これが「ワルトシュタイン」? そう思った。一つの打鍵の瞬間に意識はもう次の音に移り、次つぎに音を追い続けてゆく感じが。感情が一つのフレーズに留まり玩味するということが無いかに始めは聞こえていた。ピアノに遊ぶというか、ピアノは彼の遊びの一つなのではと。これを音楽の読みはすでに完了させ一種の超越ととらえたらよいものかどうか迷った。デジタルな音色の探り出しといった感じも。第2楽章の終わりのところで、この感じで次があり得るのだろうかと思ったところで第3楽章。夕景に映えるさざ波を抜き手抜き手で泳ぎわたりゆく感じが。一見、ベートーヴェンの懊悩とは対極にあるかにも見えるのだけれども、それは弾き込んだ末に自らの特性が融合したところの結果であるかもしれない。「スケルツォ」、ワルトシュタインとは一味違う。感情を入れる余地を十分に学び知って後に、その余地を意識的に排しているように感じられた。コメントからそのヒントが。「逆に」。こう弾くであろうことは常道であるが敢えてその逆にといういわば挑戦なのだろうか。「ノクターン」、突き刺さってくるほどに冴え冴えとした部分もあって最後静まり返っていく。「大猫のワルツ」ロマンの作品のような感じが。
 今後の活動については聞いてみたい事項、それを質問し録ってくださっていたが。どんな展開があるか楽しみというよりも興味津々。このような感覚の音楽家はどんな作品展開、或いは演奏展開を辿るのだろう。

 

🎧名曲アルバム。「交響曲 第8番」ベートーベン作曲
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,(指揮)小松一彦 
ベートーヴェンが愛したというよりも多くの芸術家たちに愛された温泉保養地チェコボヘミアにあるテプリツェ、そして今一つの温泉保養地カルロヴィ・ヴァリ~

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ゲーテとベートーヴェン、散歩途中にここでばったり。
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ベートーヴェンが愛したボヘミアのもう一つの保養地カルロヴィ・ヴァリ

⛳9時15分更新

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