20220805 クラシック倶楽部を聴く 紀尾井ホール室内管弦楽団 ウィーン・フィルのメンバーを迎えて
これまで20世紀前半の私的演奏会の作品を中心に活動してきた同楽団のアンサンブル・シリーズ。今回はウィーン・フィルのメンバーとの共演でマーラーの「大地の歌」を上演
ライナー・ホーネックのコメント
全員がとても高いプロ意識を持っています。私の役割は全体の響きの方向性を示し、時に、ウィーンの伝統奏法を伝えることです。そして今回のウィーン・フィルの同僚たちは楽団の中でもずば抜けた名手です。このように共演でき大変嬉しいです。彼らはリハーサル初日からお互いにすぐ理解しあえました。同僚たちもほんとうに驚いたほどです。
室内オーケストラ版の「大地の歌」については、小編成での演奏はより難しいですが、オーケストラ版より美しいところがあります。指揮者がいないので、奏者はお互いの演奏を完全に理解しながら弾かなくてはなりません。しかしお互いの音に反応しながら弾くのが室内楽の醍醐味といえるでしょう。私はこの編曲版を演奏するのが好きなんです。集中力というか、作品の深いところにまで身を投じて演奏するからです。挑戦するにはかなりの勇気が要りますが、成功したときの喜びは何にも代えがたいです。
☆「交響曲「大地の歌」(室内オーケストラ版)から 第1楽章、第2楽章、第3楽章、第6楽章」。マーラー:作曲、シェーンベルク/リーン:編曲
(室内オーケストラ)紀尾井ホール室内管弦楽団、(メゾ・ソプラノ)ミヒャエラ・ゼーリンガー、(テノール)アダム・フランスン
第1楽章「大地の哀愁を歌う酒の歌」
第2楽章「秋の寂しさ」
第3楽章「青春について」
第6楽章「告別」
🎵マーラーが感銘を受けた中国の詩をもとに歌詞がつくられているという。生と死への思いについて。1楽章では人生のはかなさ。無常観に共感した心情が。2楽章では「秋はあまりに長すぎる」と歌う。人生のたそがれの長さ。3楽章の始めの管楽器に中国の音楽の賑々しさも聴こえたような。「池の水面にはすべてが鏡のように映る」「友は着飾り飲んだりしゃべったり」。そして、6楽章の「別れ」。「夜のとばりとともに」「大地は安らぎに満ちて」「疲れた人々は家路につき」「世界は眠りに入る」「私はここで友を待ちわびている 最後の別れを告げるために」、そして輝ける日々の追憶が徐々に虚しさか懐疑か諦念のうちにかき消えて。「馬から降りた彼は言う」というところを見ると、彼は戻ってはきたのだ。そして「幸運はわたしには微笑まなかった」。孤独な心に安らぎを求めてさまよう魂。「私は故郷を、居場所を探す」。「心の安らぎを求めて」。最後には「愛しき台地は春になれば花が咲き新緑になる。とこしえまでも。永遠に」と大地、自然だけは生き続けると歌い、そこに自分は見ることのない先々の生の営みに慰めをえているのか。今となっては、何としてもこの素晴らしい大地を自然を生き続けさせなければならないという課題に突き当たってしまうのだけれども。
ソリストの声を聴くのはやはりあまり大きくないホールがいいと思うのだが。今回はオケのフォローはないとしても、声楽家たちにとっては幾分リラックスして、しかし手を抜かずに歌うことができる空間だったのでは。
マーラーというとありとあらゆる楽器の大編成のイメージがあるだけに、この編成に、これで曲が成り立つのかと思ったけれども、むしろ味わい深くもあった。管の支配的な寂莫感、孤独感が甲高く入って来たけれども、それがあって弦の慰めや美しさに癒されもするのだと。ミヒャエル・ゼーリンガーのメゾ・ソプラノ、「この世で幸福は私にはほほ笑まなかった」「どこへ行くのかと? 私は山をさ迷い歩く 孤独な心に安らぎを求めて」「私は故郷に居場所を探す」「決して遠くまでさすらうのではない」「心は安らぎ その時を待ち望む」「愛しき大地は春になれば花が咲き新緑になる」「どこまでも永遠に 彼方は明るく青くなる」そして「永遠に」が何度も繰り返され、繰り返され、最後は彼方に消えゆくようにふつりと消えるのだが、この幾分憂いを帯びたメゾ・ソプラノが小さく小さくなってゆきついに永遠に溶け込んでしまい永遠の果てに見えなくなるのだ。そこに一縷の望みが託されているようにも聞こえる。
🎧名曲アルバム。「ベサメ・ムーチョ」 コンスエロ・ベラスケス作曲/丸山和範・編曲
(ギター)沖仁,(カホン)ホセ・コロン,(指揮)円光寺雅彦 (管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,~メキシコ・グアダラハラ~

この曲はピアニストのコンスエロ・ベラスケスが少女時代にまだ恋人もいなかったとき、未来の王子様を夢見て書いたものだという。表題通りの画像をアップしておいたけれども、何れ夢であるうちが想像も増幅され、より人に受け容れられることがあるのだろう。
⛳7時15分更新
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