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20220704(月)服部百音バイオリン・リサイタル〜島根県川本町公開収録〜
数々のコンクールで優勝を果たした気鋭のバイオリニスト・服部百音と、卓越した技巧で注目のピアニスト・亀井聖矢。若き才能2人による、情熱あふれる演奏をお送りする。 服部百音(バイオリン)…祖父・服部克久、父・隆之(共に作曲家)という音楽一家に育つ。2009年ヴィエニャフスキ国際コンクール(ジュニア部門)を最年少で制し、10歳で演奏活動を開始。 【曲目】
ノクターンとタランテラ 作品28(シマノフスキ作曲)
バイオリン・ソナタ 第1番 へ短調 作品80(プロコフィエフ作曲)
チガーヌ(ラヴェル作曲)
【収録】2021年6月27日 悠邑ふるさと会館(島根県川本町)
服部百音:島根は訪れる前から、日本のある意味原点の場所というか、神話にもあるように神聖な空気とかエネルギーに満ちた場所だとおもうんですけれども、音楽というのも目に見えないとても大きな存在と人間が結びつきを感じることができる芸術だと思うのでその意味で何か共通点があるというか、こういうところに来て音楽ができるということはすごく嬉しいですし、神様に感謝しながら弾かなきゃと思ってます。
亀井聖矢:すごく自然が美しくて、美しいという中にもすごく厳かな感覚があって、その中にこの自然の中にたたずむこの立派な音楽堂の中で二人で一緒に演奏できるということがすごく自分にとっても音楽のインスピレーションにもなりますし、またそこから得たものを音楽を通して還元していけたらなというふうに思ってます。
<バイオリン・ソナタ 第1番 へ短調 に挑戦する思いは>
服部百音:当時の戦争であったり、ソ連の粛清であったり、そういった殺伐とした時代背景が色濃く反映された曲ですし、ピアノとバイオリンはけっこう役割が分かれているんですね。で、こう物理的な爆撃音だったり鐘の音であったりとか、そういった残酷な現状というのを淡々と映し出す役目のピアノとそこに魂の歌であったり人々の叫びとかそういった感情とかいったものを歌うパートであるバイオリンというか二つの要素が一つになって一つの戦争映画のようなものなんですが、そういった世界観を作り出せる。ピアノとバイオリンの編成ですけれども、シンフォニーのような作品で、プロコフィエフに関しては、容赦のない音というのを出してくださるのでそれがまたこう内臓をえぐり取られるようなひしひしと感じる、やっぱり近くで弾いているので感じて刺さって来るものがあると、それを受けてこちらの出す音というのもさらにこの世界にマッチする音が出せたらいいなと思っています。
亀井聖矢:僕はそれを受けてそういう気持ちになっていくような感じです。
服部百音:またそれを受けて音を出してるわけなんですけどね。
亀井聖矢:すこし特殊で難しい面もあるんですけど、ただこの曲のそういうこの世の終わりのような世界観と音色と雰囲気がすごく心に刺さるような大好きな作品なので、そういった世界観を存分に届けられるように演奏したいなと思います。
服部百音:どこまで作品の持つ描写的な部分は近づけることができるんだろうとずっと思ってたんですけど、ある意味音楽的にまとまってしまうと、どうしても人の感情の産物で終わってしまうというか、そういった部分も出てくるんですが、そういったところを一切前提を取り払ったところで音楽を作っていってくださるので、一緒に話しながらすごく新鮮ですね。新しいプロコフィエフの世界が私も見えています。
<チガーヌ>
服部百音:最後のチガーヌは私のソロの部分がすごく緊張しますけど、そこが終わるとピアノが入って来てくれるんでほっと一息という感じで、安心するんですけど。
亀井聖矢:僕はそのあとに出てくる16小節ぐらいのソロの部分が一番緊張しますけどね。何よりもその音遣いというかピアノもバイオリンも同じ旋律を奏でて、それがハモリというか、そういう融合の仕方がそれぞれにどんどんどんどん変わっていくので、すごく不思議な音色というが感じられる部分があるし、最後はほんとうに二人で盛り上がって盛り上がって派手に終わるので。
服部百音:丁々発止じゃないですけど、ちょっとアドリブ的な勢いだったりそういったのは本番で出てくるものだったりしますけど、楽譜に記されたことを真面目にやってるんじゃないという曲なので、そういった面白おかしい部分だったりとかちょっと滑稽に弾いてみるとかいったやりとりが幅があって面白い曲ですけど、ラヴェルのかわいらしくて意地の悪い性格がよく出ているすばらしい作品なので、楽しんでいただきたいです。
🎵きょうのプロコフィエフの「バイオリン・ソナタ第一番」、これはダヴィッド・オイストラフに献呈されているようだ。第一楽章を彼は「墓場にそよぐ風」と表現しているけれども、連日のウクライナ報道で身につまされた。平和の中に生まれ育った世代の演奏家の解説と演奏。それがなかなかにリアル。
🎧名曲アルバム。スコットランド民謡「スコットランドの勇者」
バグパイプ、街角に立つ奏者といったイメージが自分の中では定番だったが、スコットランドでは集落ごとにバグパイプの楽隊が存在するようで、陸・海・空軍のパイプバンドの集結は壮観。スコットランドの軍楽隊はバグパイプ。英、米のそれとはまったく趣が異なる。軍楽隊といっても何か平和な響きが。
☆ ☆ ☆
2022/07/02(土)の新日本紀行は下駄。今工場はなくなり下駄もオーダーメイドに。盛岡でもさんさ踊りが8月1~4日と。下駄は履かないけれども、どっと繰り出す浴衣すがた。昔なら下駄は必須。沿道には今は浴衣にサンダルの方も。高校時代には学生服に下駄のバンカラも見た気がするけれども。下駄の音もまた懐かしい音の風景。
☆ ☆ ☆
22/07/01 (金) クラシック倶楽部を聴く 須川展也 サクソフォーンの神髄
オーケストラとの共演をはじめ国際的に演奏活動を続ける須川展也。クラシック・サクソフォーンの第一人者がサクソフォーンの魅力あふれる名曲をお届けする。 【曲目】シーガル(真島俊夫)、ファジイバード・ソナタ(吉松隆)、枯葉シークェンス(コズマ/本多俊之)、美女と野獣(アラン・メンケン/西邑由記子)、アディオス・ノニーノ(ピアソラ/啼鵬)、天使のミロンガ(ピアソラ/小松亮太)、日本民謡による狂詩曲(石川亮太)【演奏】須川展也(サクソフォーン)、小柳美奈子(ピアノ)【収録】2022年3月7日 武蔵野市民文化会館大ホール(東京)
【曲目】
シーガル(真島俊夫)
ファジイバード・ソナタ(吉松隆)
枯葉シークェンス(コズマ/本多俊之)
美女と野獣(アラン・メンケン/西邑由記子)
アディオス・ノニーノ(ピアソラ/啼鵬)
天使のミロンガ(ピアソラ/小松亮太)
日本民謡による狂詩曲(石川亮太)
【演奏】須川展也(サクソフォーン)、小柳美奈子(ピアノ)
【収録】2022年3月7日 武蔵野市民文化会館大ホール(東京)
ー番組HPよりー
須川さんのコメント
サックスの魅力は、人間の声と思いますね。人間の声のような楽器というのはたくさん美しい楽器がいっぱいあるんですが、サックスは美しいだけじゃなくて、叫びもあったり、怒ったりもするし、ちょっと割れたような声、怒ったような声も出る楽器だと思うんですな。人間そのものを表すというところの楽器としてとても魅力があるので、その人間の魅力をそのまま音楽で表現したいなというのが今のずっと続けているスタイルなんですかね。
「ファジイバード・ソナタ」の演奏のポイントは、やっぱりこの「あ・うん」の呼吸ですかね。小柳さんとのもう何回も演奏しながら、拍を数えるだけじゃなくて、気配でこう出るぞ、こう行くよというような感じ。一回たりとも同じような演奏にならない魅力がこの曲にはあります。即興的な部分がいっぱいあるので、その即興性も生かしながら、ジャンルを混ぜた、ミックスした美しさやカッコよさなどを表すというところ。ですからその時に呼吸を共にするということがこの曲の一番の魅力だと思う。その呼吸がうまくいって演奏になっているんじゃないかなと思ってます。
「枯葉シークェンス」は、サキソフォンという楽器のイメージであるジャズ、ジャズというのはよくよく聞いていくとバッハにもつながるなということを感じるんですね。バッハの多用したバッハの芸術の一つであるシークェンス
のところですね。循環進行ともいったりするんですけど、そこと、ジャズのつながり、サックスとのつながりを感じて、「枯葉」という曲もシャンソンの曲ですけれども、ジャズのスタンダードナンバーとしても大名曲でありますので、本多俊之さんにバッハから始まってジャズに行ってバッハに戻る「枯葉」を作曲のような編曲をしてくださいって頼んでできた曲です。
音楽のちからについては、コロナにしてもいろんな厳しいことがあると心は沈みますよね。やっぱり家の中でじっとしてると何となく寂しい気持ちになると思うんですけど、そこでふと聞こえた音楽の音で救われたりすることがあると思うんで、それは自分もそうであるから皆さんもそうじゃないかなという思いがいっぱいあるので、やはりまずは音を届けたいな。聞け、じゃなくて耳に触れて心地よくなったらいいなという思いはいつもあって、それで届けたいなと思ってます。それで温かい気持ちになったなという人が、このコロナの時にもあったら、コロナがもっともっとよくなって、世の中がまた活気を持ってきたときにコンサート会場に来てもらえたらいいなという思いは持っています。
※古典的な楽典では、反復進行を意味する。ドイツ語で「ゼクヴェンツ」ともいう。ある楽句を音高を変えながら反復させることをいう。(wikipedia)
🎵きょう使用の楽器、これがふつうの金管色じゃない。色合いと音の関係なぞは分からないけれども、あれはライトの関係ばかりじゃない。写真よりは赤っぽい。電気メッキからざっと上げられて今出てきたばかりという感じの光沢。「ファジイバード・ソナタ」、おもしろかった。ジャングルに息づく鳥たちを思い出してしまった。ちょっとヒンズー教なんかも思い出したり。
🎧名曲アルバム。リスト「慰め 第3番」。ピアノ金子三勇士
54歳でカトリックの僧籍にはいり、十字架像を持ち歩く。
☆ ☆ ☆
1日19時半には小さな旅山田敦子アナin岩手 陸前高田市
一本松から接ぎ木した松は立派に育っていた。
☆ ☆ ☆
2022/06/30(木)ラドヴァン・ヴラトコヴィチ ホルン・リサイタル
1962年現在のクロアチ、アザグレブ生まれ。世界的ホルン奏者ラドヴァン・ヴラトコヴィチが、ベートーベンのホルン・ソナタから現代の作曲家の作品までを多彩な音色で奏でる演奏会をお送りする。
【演奏】ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)、児嶋 一江(ピアノ)
【収録】2022年2022年5月20日 紀尾井ホール(東京・千代田区)
【曲目】
ホルン・ソナタ ヘ長調 作品17(ベートーベン)
オルフェオの嘆き(キルヒナー)
7つのスケッチ(マッツ)
ホルン独奏のための「Horn Lokk」〈牛追い歌〉(ベルゲ)
序奏、アンダンテとアレグロ(ロッシーニ)
アンコール サルタレッロ(アルトー)
🎧名曲アルバム。ベートーベン編曲「アイルランド民謡」
(ソプラノ)佐竹由美、(バリトン)久保和範、(合唱)二期会合唱団、(ピアノ)渡邊一正、(バイオリン)篠崎史紀、(チェロ)遠藤真理 ~アイルランド・マンスター地方
⛳ラドヴァン・ヴラトコヴィッチのコメントが十分に取れなかったことがつまずきとなり、何か重たい気分に。更新が先延ばしになった。誰に強制されているわけでもなく、頼まれているわけでもないので、更新しなければしなくとも自他ともに体制に影響はないのだが、これが長年の習慣ですっきりとしない。それで更新したのだけれども、さていつまで続くやら。体力が厳しくなりつつある。その時はその時、きょうはきょうでああだったこうだったと楽しんで一応は書けたことに感謝。昨夜のN響も良かった。昼間に聴いたバロックのCDではバッハのミサ曲ロ短調BWV232「我らに平和を与えたまえ」。
きょう網戸の外側にクルマトンボ(子どもの頃の通称)がとまっていた。思わず「来てくれてありがとう」。この真夏日に。人通りも途絶えたこの暑さの中に。
22時15分更新
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