6月6日、音楽を聴き終えてみると、血圧急上昇。130に慣れ、140に慣れ、150にも親しみを覚えるようになっている昨今ではあった。しかし188という数字にはさすがに危機感急上昇。昼には対策を取らざるを得なくなり、それなりの行動、対応を。その後は休息に継ぐ休息。そしてきょう、せっかく聴いた分もったいないから更新しておこうかなということに。
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9月10日(金)クラシック倶楽部を聴く ピアニスト 小山実稚恵の世界II ファンタジー そして情熱
日本を代表するピアニスト、小山実稚恵の演奏を紹介する、2回目。モーツァルトとバッハが残した独創的な「幻想曲」、そしてショパンの名曲をたっぷりとお聴き頂く。
2021年6月23日 めぐろパーシモンホールにて収録
2219,2214
小山さんのコメント(途中から)
(録る直前にバッハは楽器を選ばないと仰ったように聞いたが、そしてその続き)そもそもがバッハ自体が作品自体は厳格であるんだけれど、非常にファンタジーのあふれる作曲家なんだなと思えるところです。
ピアノを弾くことはほんとに昔から好きで、とにかく音が好きなのか、ピアノという楽器がすきなんですけど、でも若いころは弾くという呪縛に、聴く快感もあるものですから囚われていたんですけど、今は、やはりピアノもですけど、音楽をピアノで弾きたいなとすごく感じます。
ショパンというのはピアニストにとって特別な作曲家だということ。やっぱりショパンって完全にピアノの作曲家で、ピアノのこれ以上の作曲家はいないんですよね。ショパンの音はピアノでなければいけないし、ピアノの音を聴いたらやっぱりショパンだと思うようなところがあるので、そのショパンが初恋の彼女を思って書いたという一番最初に作られたコンチェルトの第二楽章で、「ラルゲット」にはほんとうにショパンの純な思いというんでしょうか、メロディの鮮烈な美しさと気品と響きの結晶のような作品だとお思うんですけど、途中でショパンが試みられて激情するんですよね。ある意味では、ショパンの一番素の部分がものすごく詰まった、そしてほんとうに美しい楽章だと思うんですね。そして「英雄ポロネーズ」はもう後期の作品ですけれども、勇気漲るというか、ショパンはやっぱり後期はものすごく離れましたけれども、思い切ったというすごい故郷愛の強い作曲家でしたけど、内に秘めたる意志というか、その強さですね。それもものすごい激しいものがあったと思うので、そういう意味で、この「英雄ポロネーズ」を弾くと、とにかく気持ちが湧き上がってくるというか、勇気が出る、単純にそういう思いに駆られるので、機関車が動くかごとくの左手のオクターブのところも何べんも何べんも繰り返してやられると、ああ、そうだそうだと思ってきて力湧く。 希望と力、勇気が出るので、私はそういう意味で選曲しました。
【曲目】
幻想曲ハ短調 K.475(モーツァルト作曲)
半音階的幻想曲とフーガBWV903(バッハ作曲)
ラルゲット<ピアノ協奏曲第2番 作品21から第2楽章>(ショパン作曲)
ワルツ嬰ハ短調作品64第2(ショパン作曲)
ポロネーズ 変イ長調作品53「英雄」(ショパン作曲)
「左手のための2つの小品」からノクターン作品9第2(スクリャービン作曲)
🎵 一応曲目の全部をあげておいたけれども、きょうは不覚にも前半を聴き落してしまった。たぶんインタビューもあっただろう。オンデマンドがあるはある。「ラルゲット」から。小山さんならではの響きにきゅん。「英雄」、3・11のときによく弾いてくださったこの曲。聴いているうちに、自分があのときに集まった方々と並んで聴いている心境に。胸が詰まった。曲の値、演奏の値が幾層倍にもその大きさ、包容力を増して響いてくる。このような「英雄」はまたとはない。「左手のための2つの小品」、真っ先に舘野泉さんが想われたが、このような曲が何も障害を克服しつつある、克服した音楽家のためにだけあるのではないことを小山さんは聴かせてくれた。東北の作曲家木島由美子さんもたしか館野さんに弾いていただきたいと作曲しておられたなと思い至った。
とても片手だけで演奏しているとは思えないスクリャービン。どのような動機でスクリャービンはこの曲を作曲したのだろうか。
🎧名曲アルバム。ワーグナー 歌劇「ローエングリン 第3幕 婚礼の合唱」
現田茂夫&二期会合唱団&東京フィル
ルートヴィッヒ2世の居城ノイシュバンシュタイン城。ワーグナーに心酔し城の装飾をローエングリン一色に。彼のパトロンとなり、ワーグナー劇場までを造る。
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6月9日(木)クラシック倶楽部を聴く ジャン・チャクムル ピアノ・リサイタル
ジャン・チャクムルは1997年にトルコのアンカラ生まれ。5歳頃から地方の音楽学校でピアノを習い始める。高校卒業後、パリのストラ・カントルムでマルセラ・クルデリに師事。2014年に首席で卒業。その後、トルコ、イギリス、オランダ、日本などで演奏。20018年の第10回浜松国際ピアノコンクールで優勝。
ジャン・チャクムルのコメント
ピアノとの出会い
両親の影響で幼い頃からクラシック音楽に親しみました。演奏会には欠かさずに行きました。ときには週に何度も。そうするうちに5歳か6歳の頃ギターを弾きたくなりました。地元の音楽学校へ通いましたが、ギターには手が小さかったのでピアノを始めました。ギターは忘れました。12歳頃から講習会に参加したりコンクールに出場するうちに、これがやりたいことだと思いました。
浜松国際ピアノコンクールについて
コンクールで優勝するのは大変なことです。参加者たちは大きな負荷のかかる3週間を過ごしました。一方で皆の間には仲間意識がめばえ、これは運命だったんだと思います。
演奏で大切にしていること
演奏家はコンサート中は特に情緒や感覚をそれほど重視しません。フレーズの開始やアクセントの位置、和音の解決などを現実的に考えます。音楽を正しく理解し伝えれば自然と意味が生まれます。演奏家が音楽に意味を吹き込むのではありません。正しい文法で弾けば音楽は自ずと立ち上がります。練習や準備を重ねてそこを理解できるようにするのです。音楽の意味を理解することと、ひらめきで弾くのとは違います。
曲目
☆「幻想曲 嬰ヘ短調 作品28「スコットランド・ソナタ」」、メンデルスゾーン:作曲
メンデルスゾーンは1828年頃からこの曲を書き始めたといわれている。1830年に以前から交流のあった文豪ゲーテを訪問し披露された。
☆「ピアノ・ソナタ 変ホ長調 D568」シューベルト:作曲
20歳の頃の作品。
☆「組曲「野外で」」バルトーク:作曲
バルトークは祖国ハンガリーの民俗音楽を用いた作品を多く生み出した。屋外での情景や光景が描かれており、自然を愛したバルトークの一面を強く示した作品である。
🎵「スコットランド・ソナタ」、第3楽章では音の饗宴に招かれているという心地よさ。「ピアノ・ソナタ 変ホ長調」の第二楽章の冒頭のあたたかさ。絶えず脳裏にはベートーベンの楽曲があったか、そんな逡巡も時折感じられて。
「組曲「野外で」」は5つの曲から成っており、1「太鼓と笛」、冒険するときの期待と興奮、一種野卑な感じも宥められ含まれているのだが、そこに捕まれたという感じなのだ。不安、慄きを底に未知の世界に分け入っていくような気分。2「舟歌」揺蕩いにも重たさ硬さが。3「ミュゼット」、4「夜の音楽」、5「狩」。の「夜の音楽」、静寂の奥から無意識の広く深い世界から湧出し、聞こえてくるような一音一音の妙。押し黙った地の底から動植物の気配を探知してゆくような。意識と無意識の狭間に浮かび映じては消えるかの音。今回この「狩」。静寂の奥から無意識の広く深い世界から湧出し、聞こえてくるような一音一音の妙。押し黙った地の底から動植物の気配を探知してゆくような。意識と無意識の狭間に浮かび映じては消えるかの音。そして現実世界に覚醒され躍り出てくる響きが印象的。今回はこの静まり返る森からひたひたと聴こえるかの音に注意深く受け取る。5「狩り」、激しい勇み足。血の匂い、血をかぎ分けるような響きも。これぞ民俗的、ダイレクトに土俗的な動きが伝わってくる。優雅で流麗なメロディーラインには遠い感覚があざとく聴く者の心を惹きつける。
以前はバルトークは苦手だった。それがなぜいま素直に受け入れられるか。この曲が「そうだよ、現実はこうなんだ」と、顔を背けない現実直視が聴こえる。それが現代的とも感じられるところかとけさ思い到った。
チャクムル使用のピアノは「SHIGERU KAWAI」。
🎧名曲アルバム。パッヘルベル「カノン」。沼尻竜典&東京フィル
パッヘルベルが1678年から12年間オルガニストを務めたドイツ、チューリンゲン州エルフルトにあるブレディガ―教会。彼は当時の傑出したオルガニストであり作曲家だった。この曲はパッヘルベルの代表作。
マルティン・ルターはエルフルトにある大学で学ぶ。彼はドイツ語のコラールを用いるなど教会音楽の改革を行ったという。この街は多くの音楽家を輩出したバッハ―一族の中心地でもある。パッヘルベルはバッハ―一族が住んだ家に間借りして親交を持ったらしい。
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6月8日(水) 上野耕平サクソフォン・リサイタル〜兵庫県豊岡市公開収録〜
上野耕平:1992年茨城県出身。ベルギーのアドルフ・サックス国際コンクール第2位。
高橋優介:1994年千葉県出身。第10回東京音楽コンクール第一位。上野耕平とは2010年から共演。
☆ベダール:ファンタジー
参考D.ベダールは1950年、カナダに生まれた作曲家で、オルガンの作品が有名です。
ファンタジーは1984年に作曲された作品で、サクソフォンの、特にソプラノ・テナーサクソフォンのレパートリーの中で有名で重要なものとなっています。
☆トマジ:バラード
参考アンリ・トマジ(1901-1972)はフランスのマルセイユに生まれた作曲家で、1927年には、当時の作曲家にとって最高の栄誉とされた「ローマ大賞」を得ています。この曲は1939年に作られ、作曲者の親友で当時世界最高のサクソフォーン奏者として活躍していたマルセル・ミュールに捧げられました。
タイトルにある「バラード」とは、もともとは詩の一形式を表わす言葉でしたが、18世紀以後は、物語の内容を持った器楽曲のタイトルにつけられるようになりました。このトマジ作曲の「バラード」も楽譜にはS.マラールの詩が添えられています。マラールの詩の内容はとても叙情的なもので、曰く「ためらいがちに鳴り響くサクソフォーン」がひとりの道化師を苦悩と絶望から立ち直らせるものとして登場します。
トマジのバラードに寄せる上野耕平のコメントは
秋がいちばん好き。これから冬に向かう何とも言えない美しさ、寂しさ。この秋のにおいが大好き。僕が好きな音楽はそういう音楽が多い気がする。いい音楽だなと思うのが夕焼けっぽかったり、秋っぽかったり、なんかこう散ってゆく枯れてゆく美しさというのがトマジの曲からも感じられる。人間の明と暗を描いているような、それを音楽でうまく表現しているというか、なんかこう、背中から漂う哀愁を感じる曲ですかね。
☆フランク:バイオリン・ソナタ
ふつうはバイオリンとピアノで奏されることが多いこの曲を、上野がアルト・サクソフォンで演奏。
上野耕平のコメントは
理想はあたかもサクソフォンのために書かれたかのように聴こえてほしい。ピアノパートがとても充実してて、今回共演する高橋君はバイオリンと葉もう数多く共演しているんですが、サクソフォンとははじめて(?)。バイオリンだと音量の問題でどうしてもピアノはおさえなくてはならないところがあるんですが、サクソフォンとはそういう心配は一切要らないので、ピアノものびのび弾いてくれると思うので、きっとバイオリンとピアノで聴けるのとはまた違ったフランクのバイオリン・ソナタを聴いていただけるんじゃないかと思います。
🎵トマジの「バラード」、拘泥することなく頓着することなく、角にぶち当たることもなく流れゆくのだが、しだいに秋、たたずんで水底の枯葉を見、秋の華やぎ紅葉を見まわし、自分は自分だという立ち位置を見出して閉じたような。フランク「バイオリン・ソナタ」、サクソフォンの方はバイオリンよりも広く切々と且つ高らかに訴えかける効果があるように感じられしみ込んだ。
🎧名曲アルバム。シルヴェスター・リーヴァイ作曲・/栗山和樹・編曲ミュージカル「エリザベート」
あの超有名なオーストリアの皇妃エリザベートの人生を追った作品。
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6月7日(火)クラシック俱楽部を聴く キアロスクーロ四重奏団 演奏会
名手アリーナ・イブラギモヴァが率いるカルテット、キアロスクーロ四重奏団。チェロ以外の三人が立って演奏する独特なスタイルによる、しなやかなアンサンブルを。 名手アリーナ・イブラギモヴァが率いるカルテット、キアロスクーロ四重奏団。チェロ以外の三人が立って演奏する独特なスタイルによる、しなやかなアンサンブルをおおくりする。【収録】2019年4月23日 王子ホール(東京都中央区)【曲目】弦楽四重奏曲ト長調作品18第2(ベートーベン作曲)、弦楽四重奏曲第1番変ホ長調作品12(メンデルスゾーン作曲)【収録】2019年4月23日 王子ホール(東京都中央区)―番組紹介よりー

キアロスクーロ弦楽四重奏団は、ロンドンで学んだ弦楽器奏者により2005年に結成。メンバーは
アリーナ・イブラギモヴァ:ヴァイオリン
パブロ・ヘルナン・ベネディ:ヴァイオリン
エミリエ・ヘルンルント:ヴィオラ
クラーレ・ティリオン:チェロ
ガット弦を使い、立奏で行われるアンサンブルは、しなやかでダイナミック。彼らの演奏はヨーロッパの聴衆に高く評価されている。エディンバラ国際音楽祭をはじめ、ヨーロッパの音楽祭に数多く出演。また録音も意欲的に行っている。
コメント
クラーレ・ティリオン:カルテットの「キアロスクーロ」とは、絵画の技法において光と影を意味します。この名にしたのはロジャー・ノリントンのおかげです。私たちがロンドンで学んでいたころ彼に会いました。指導を受けていた時に「もっと違いをはっきりと! キアロスクーロのように!」と言われたのです。音楽は緊張と緩和の対比なので、その名は最適です。全員が気に入っています。
アリーナ・イブラギモヴァ:色彩の違い、強弱、緊張と和み…など。多くの意味を持つことがすばらしいと思います。
パブロ・ヘルナン・ベネディ:キアロスクーロの演奏形態立奏については、立奏は自由になれます。私たちに新たな交流の方法をもたらしました。いつでも動けます。座って練習していても立つだけで音がより心地よく響きます。
エミリエ・ヘルンルント:ガット弦を使い、少し低い音程で演奏します。おすすめはしませんが…その音色に魅了されました。純粋で美しい音、無機質な音、野性的な音も出せるので、皆その音が気に入っています。
アリーナ・イブラギモヴァ:この奏法はキアロスクーロ(光と影)の方針を発展させます。私たちは光と影の境界を広げようとしているのです。
曲目
☆弦楽四重奏曲 ト長調 作品18 第2 ベートーベン
ベートーベンの作品18は6曲の弦楽四重奏曲で構成されている。1799年に完成。優雅な香りが漂う。主題が挨拶を交わしているように感じられるところから、「挨拶四重協奏曲」と呼ばれることもある。
☆弦楽四重奏曲第一番 変ホ長調 作品12 メンデルスゾーン
メンデルスゾーンは1829年にこの曲を20歳で作曲。ベートーベンの影響を強く受けているが、メンデルスゾーンらしい端正なハーモニーも表れている。
🎵光と影を弦で描出するためにさまざまな工夫が為されているようだ。
2005年の結成。「並外れたユニークな音色だけでなくアンサンブルに知性ある姿を兼ね備え」とユーラシックには出ている。この知性が曲を凌駕したというほどではないが、この知性支配とまでは言い難いかもしれないが、何か、曲そのものを超えていたという感じが。ただし、これがベートーベンの曲も多分に実験的であると感じられたままに聴いているわけで、そこに整合性を聴き分けられなかったのは、それこそ筆者の側の感性の乏しさであることも多分にあるかもしれず、モノ申した分を引っ込め引き下がれとなっても、直感を押し通すだけの迫力と論拠を持ち合わせてもいない。
メンデルスゾーンの終楽章の巧みさ見事さをこの曲でも見せつけられたというか、いよいよ認識を強くしたというか。終楽章が受けた多くの影響の集大成、大団円と感じられた。
🎧名曲アルバム 「琵琶湖周航の歌」 吉田千秋(原曲)作曲/小口太郎・作詞/斎藤ネコ・編曲
吉田千秋(原曲)作曲/小口太郎・作詞/斎藤ネコ・編曲 【歌】おおたか静流,【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団,【指揮】田中祐子
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6月6日(月) クラシック倶楽部を聴く 辻彩奈 バイオリン・リサイタル
モントリオール国際音楽コンクール優勝、期待の若手バイオリニスト辻彩奈。ベートーベンとフランクの名曲に加え、辻自身が現代作曲家・権代敦彦に委嘱した新作も披露する。 【出演】辻彩奈(バイオリン)、阪田知樹(ピアノ)【曲目】ロマンス 第1番 ト長調 作品40(ベートーベン作曲)、Post Festum 無伴奏バイオリンのための 作品172(権代敦彦作曲)、バイオリン・ソナタ イ長調(フランク作曲)【収録】2020年11月16日 NHK大阪ホール
辻彩奈さん(バイオリン)
1997年岐阜県出身。2016年モントリオール国際音楽コンクール第一位。現在フランスと日本を拠点に活躍。
阪田知樹さん(ピアノ)
1993年愛知県出身。2016年フランス リスト国際ピアノコンクール第一位。以来世界20か国で演奏。
―作曲家 権代敦彦さん、独自の死生観をもつ作品で国際的に高く評価されている。辻彩奈さんからの依頼にこたえて無伴奏バイオリンのための新作Post Festum(ポスト・フェスティム)を作曲。―
「現在、パリと東京を拠点に作曲活動を展開。桐朋学園大学作曲科非常勤講師として後進の指導にもあたっている。カトリックの洗礼を受けたクリスチャンであり、スピリチュアリズムに感化された曲名を持つ作品が多い。作風の表面的な類似性から、欧米の作曲界では「日本のペルト」として呼ばれることもあるが、反復語法であってもサクレド・ミニマリズムとは全く違ったものを用いている。東京コンサーツ所属」.wikipediaから
辻彩奈さんのコメント
自分のために作品を書いていただくという経験は初めてでしたし、自分にとってはすごく大きな意味だったし、いざ練習して権代さんと、どんなふうに弾いたらいいとか、どんなことを考えながら作曲したとかいろんなお話を伺って、そういう生きている作曲家とお話しするという体験も初めてだったので、すごくすばらしい経験でした。Post Festumというのは、「祭の後」という意味があって、祭の後の静けさだったり、詳しく権代さんとも何を描いたのかという話をしてないんですけれども、遠くから何か見えないものが形はないんだけれども、それをずっとこう暗い中を探しているというイメージですかね。
私が演奏する色んな人のコンチェルトとかソナタの中で、すごく好きな作品というのはたくさんあるんですけれども、その中でもすごく大切に向き合ってきた作品で、ピアニストの阪田知樹もこのフランクにすごく熱い思いがあるということを知っていたので、彼と弾くならぜったいフランクしかないなと思ってこれを選びました。何回弾いてもすごく美しい旋律がわたしは好きなんですけれども、中でも3,4楽章が好きなんですけれども、3楽章、悩み、悩んでこう淡々と歩いている中で、一筋の光が見えて来て、それで第4楽章に光が溢れるみたいな。私はそういうふうに感じるんですけれども、4楽章は特にきれいなメロディーをピアノとバイオリンが掛け合う、そこがとても好きで彼の曲に対する大切さとかもすごく伝わってくるし、私もそれを受け継ぎたいなと思って、そういう気持ちで演奏しました。
曲目
☆ロマンス 第1番 ト長調 作品40(ベートーベン作曲)
ベートーベン30歳の頃の作品。穏やかな和声の中に抒情性が
☆Post Festum 無伴奏バイオリンのための 作品172(権代敦彦作曲)
協奏曲の後に演奏するアンコール・ピースとして作曲された。2020年6月に辻彩奈によって初演された。一丁のバイオリンが永遠を求めて時を刻み、高揚と沈静を経て聴く者を彼岸へと導く。
☆バイオリン・ソナタ イ長調(フランク作曲)
フランクはベルギーで生まれフランスで活躍した。フランクと同郷の名バイオリニスト イザイの結婚を祝福して作曲された。内面的な情熱と緻密な構成を併せ持ち、バイオリン・ソナタの最高傑作の一つ。
🎵「ロマンス」、甘やかな旋律。
「Post Festum」、Ⅰ、なぜか芥川の「蜘蛛の糸」が眼前に。躍り出たくとも鳴りを潜める魑魅魍魎に控えめな木魚の響きが。Ⅱ、魂のざわめき、しゅーっと天上にのぼり、昇りつめて辺りの見晴らしを確かめているが、そこにある形を留め得ない何者か。Ⅲ、宙を漂っている、これは昇天を果たした何者かであるのか、カトリックの方ではあるけれども、聴いた感じの通りにいわせていただくと経文が彼方に遠くに、役目を果たし終えたかに遠ざかっていくかのよう。
フランクの「バイオリン・ソナタ」、1楽章、内に秘られた熱い思い。2楽章泡立ち波立つ不信感。持って行きどころのないやり場のない感情の表出。3楽章、沈思黙考しつつ部屋と思しき空間を一人さまようような。名旋律が一連の褒章のように鳴り響いたところで、ああ、これでしょう、人生のこたえはこれでしょう。4楽章、明るい日差しに冴えわたる喜びの名旋律。ああ、そうですよ。人生は捨てたもんじゃない。悪くはない。バイオリンとピアノの実に当を得、さえた気分のいい会話が。
🎧名曲アルバム。宮澤賢治作曲、上柴はじめ編曲「星めぐりの歌」
🎵賢治さんは盛岡中学校、盛岡農林高等学校時代は盛岡で暮らした人。左が遠景に岩手山が見える盛岡市の景観。名曲アルバムがぐんと近しく感じられた。編曲は上柴はじめさん。この方、名曲アルバムのロンドンデリーの歌の編曲も担当しておられ、それを聴いたときには、こんなきれいな歌があるならもうちょっと生きていてもいいなと思った瞬間だった。ロンドンデリーは何度もきいているはずなのだけれども。「星めぐりの歌」の編曲者としては大変相応しい方と思われる。
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6月4日(土)はクラシック倶楽部は無し。何を録り置いていたかといえば、
新日本紀行
たしか1950年代の記録だったと思うが。
箱根温泉小学校の伊藤先生という方、お風呂にまで子どもたちと一緒に入ってらした。箱根温泉小学校の歌も作り児童たちと歌っていた。
箱根の登山電車は大正8年開通。以後は箱根も庶民に開かれたらしい。あの先生は今もご存命であられるかどうかは厳しいところ。あの小学生たちが辛うじてかどうかはまだまだご活躍の方もいらっしゃるかも。
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⛳このページの最後部分に賢治がでてきたことで、またまた拙作を思い出した。やはり岩手山登山で出合った壮大な宇宙景観の記録。
山頂に立てば眼下の雲海にきらめき注ぐ満天の星 (柏崎驍二 選) 中ぶんな
流れ星が雲海にいくつもいくつも急ぎ落ちゆく景観はすばらしいものでした。
6月10日(金)20時50分更新
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