クラシック倶楽部を聴く、などなど、一気更新
5月31日(火)
クラシック倶楽部 LEO 箏リサイタル
1998年横浜市出身。9歳の時に箏と出会い、箏曲家のカーティス・パターソンや沢井一恵に師事。14歳で全国小中学生箏曲コンクールでグランプリ16歳で「くまもと全国邦楽コンクール」(若手邦楽演奏家の登竜門)コンクール最優秀賞・文部科学大臣賞受賞。時代やジャンルを超えて筝の魅力を発信している。東京フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団と共演。【演奏】LEO(今野玲央)【曲目】みだれ(八橋検校)、無伴奏バイオリン・パルティータ第2番からアルマンド(バッハ)ほか【収録】2021年2月25日ハクジュホールー
LEO(今野玲央)のコメント
Q箏の魅力について
ほんとうに原始的な楽器でして、薪に弦を張って、「柱」と書いて「じ」と読むんですけれども、コマのようなものを立てて、ピッチを取る。ほんとうに原始的な造り、しかも素材も何百年も前から変わっていない。そんな中で弾いているうちに調弦がずれてきたり、ちょっと爪、ピックですね、ずらしただけで音色が悪くなってしまったり、楽器のコンディションも途中ずっと自分で調整しながら弾くんですね。このすべてを操っているということが、この楽器の特徴でもありますし、難しくも面白く感じているところですね。その和楽器と言うのは一つ一つの音のパワーが凄いんですね。一音入魂ということばもありますけれども、この一つ音を鳴らしただけで何かを伝える。古典の音楽なんかは音数が少なくて、音のないところにまでメッセージをこめるような曲が多くて、この音の情報量のおおさというか、その音の力強さでどんなジャンルの音楽にこの楽器がはいっても、ちゃんと意味のある表現ができるんじゃないかなと僕は考えてます。
Q箏の魅力を多くの人に届けたい
僕の夢としては、一つは、この楽器をより普及させたいなということがやはり一番大きな目標としてありまして、昔、50年程前でしたらお箏の教室が近所にあって、色んな所のお子さんが箏に触れていた時代があったんですけど、いまはやはりそこまでポピュラーではなくなってしまった。やはり今の時代に合わせた音楽と言うのが、この楽器はすこし発展が遅れてしまったのかなと思っておりまして、ピアノとかだったらどんなジャンルにも使われる。この楽器もそれだけの力があると僕は信じている。僕の活動としてはオーケストラをはじめとして、色々な西洋楽器とのコラボだったり、ほんとうにクラシックに止まらず、色んなジャンルの中にこの楽器を持ち出して僕が演奏することで、より広くこの楽器の魅力を知ってもらって、これからのお箏の新しい表現と言うものを追求していきたいなと思っております。
曲目
☆すばるの七ツ 作品78 (吉松隆)
☆みだれ (八橋検校)
☆無伴奏バイオリン・パルティータ 第2番
ニ短調 BWV1004からアルマンド (バッハ)
☆ドリーム (ジョン・ケージ)
☆楽 (沢井忠夫)
☆さくら替手五段 (半田弘)
🎵「すばるの七ツ」、これは吉松隆の作曲。吉松隆は「1981年に「朱鷺によせる哀歌」でデビュー。以後、現代のクラシック系音楽創作界(いわゆる「現代音楽」)の非音楽的な傾向に異を唱え、調性やメロディを全面的に復活させた独自かつ異端の路線を貫き、作曲活動を展開する。」とホームページにある。これには共感するところがある。型を破ろう、既成を破壊しようとの曲には意外性や、ある時には奇異な独創性、次にはどんなふうにやってくれるかと一種怖いもの見たさに通じる期待感がある。あるときには感心もし、独自性を賞賛する想いにもなることもあるけれども、その後に、ああ、あの曲をもういちど聴いてみたいという思いになることがない。振り向いてみたときに、それはそれで遠い彼方のある一時点に音の輪郭を際立たせて確かな明確な型を持って一つの存在としてある。そういう感じなのだ。しかし、そういう改革が後の作曲に影響力を持ち、なにがしかの普遍的な楽曲をもたらすということはあるのかもしれない。
「すばるの七ツ」を聴いて、平安のドラマ背景が彷彿とし、しかしちょっと言いかねる、言ってしまってよいものかと戸惑っていたが、吉松が「平清盛」も手がけていると、実際に放映されているときには気づきもしなかったのだが、それを知り、あながち違ってはいないなと。鳥が聴こえると言いかけて、また「鳥か」、自分の想像力が乏しいのではないかと思っていたところが、これまた<鳥のシリーズ>も。自分の思うところを思うがままに言えばよい。そう思わせられた。
「みだれ」の八橋検校、彼の「六段の調べ」には音階、間の取り方をも含めて格調の高さを感じるのだけれども、この「乱」にも。
「アルマンド」、これには落涙。何度かコマを調整しながら弾いていたけれども、この演奏、箏自体がバッハに通じると思わせられた瞬間。
「ドリーム」、「単旋律が白昼夢のよう」と番組の解説にあったが、琴で演奏しているとは思えない東南アジア、或いはインドあたりの楽器だろうかとも思わせる響き。
「楽」、沢井忠夫1988年作曲。1無窮動。湧きに沸く華麗、流麗。解説のように「心の高ぶり」。2変奏曲。さざ波に追懐、にれ食み、追憶。3輪舞。
間合いに品格と美しさを感じる。
「さくら替手」無心に聴くに心に染み、すでに沁みこんでいる。これもまた華麗な音の渦、箏の波間に。
🎧名曲アルバム。ニュージーランド民謡「ポカレカレ・アナ」
(合唱)東京混声合唱団,(管弦楽)スコラティクス管弦楽団,(指揮)篠原敬介
ニュージーランドの先住民族マオリに伝わる「ペルペル」は戦士の踊り。ワイアウ川を挟んで歌う恋人たちの歌。マオリの指導者アビラナ・トゥルバ・ガタ(1874~1950)が第一次世界大戦に召集された兵士たちが歌っているのを聴いて採譜する。
☆ ☆ ☆
5月30日(月)クラシック倶楽部を聴く ラファエル・アギーレ ギター・リサイタル

ラファエル・アギーレ
2007年タレガ国際ギターコンクール他世界の13の名だたる国際コンクールに優勝。スペインのギタリスト。
南スペインのマラガ出身。8歳でギターを始め16歳でオーケストラトと共演してデヴューアンドレ・セゴビヤやナルシソ・イエペスの後を継ぐギター奏者として高く評価されている。
ラファエル・アギーレのコメント
スペインの音楽はスペイン人そのものです。情熱的でメランコリーで気性が激しくドラマチック生き生きとしていて人生を楽しむ気風があります。ギターの魅力とはそのすべてを表現できることだと思います。ピアノには敵いませんが、ベルリオーズがいったようにギターは小さな一つのオーケストラなのです。
このギターは2016年に私の父が故郷のマラガで作ったものです。表板はシダー(米杉)、裏板と側板はインディアンローズウッド。フラメンコとクラシック両方演奏するのに最適です。シダーのしっとりとした響きしかし、…一瞬で世界を旅することができる、そこが気に入っています。
演奏するときは、神経質なのでとても緊張します。そんなときは子どものころのことを思いだします。ギターの奏でる音を聴いて恋に落ちた時のことです。その感情がステージにあがる理由を思い出させて完璧を求めずに楽しむこと。演奏会はパーティーですから。音楽の力を分かち合う事で聴衆は私に力を与えてくれます。そして演奏会は大きな力をくれる場になるのです。
どこでであったか、ファエル・アギーレがいっていたが、ギターとういう楽器は演奏技術を知らないと自然な流れを作るのが難しい、ギターは特殊なところがあって響きにくい調性があったり派手に聴こえるアルペジオやコードの組み合わせがありそれを熟知していないといけない、その点スペインのギタリストの作品にはベースとなる深い知識があると。
曲目
☆スペイン組曲から 「アストゥーリアス」(アルベニス):原曲はスペイン民族主義音楽を確立させたアルベニス(1860~1909)のピアノ曲。セゴビアが愛奏したことで、ギター曲としても人気の作品となった。
☆スペイン組曲から「セビリャーナス」(アルベニス):超絶技巧で名を馳せたサビーカス(1912~1990)とフラメンコにジャズやクラシック・ギターの要素を取り入れたパコ・デ・ルシア(1947~2014)の作品。ともにフラメンコ奏者による曲だが、それぞれの特徴が出た作品となっている。
☆オレイ・ミ・カディス(サビーカス)
☆月に映えて(パコ・デ・ルシア)
☆はかない人生から「スペイン舞曲 第1番」(ファリャ):民族主義と印象主義を巧みに融合させたファリャ(1876~1946)の歌劇の中の一曲。結婚式の場面で演奏される音楽で流麗な主部に熱い中間部が挟まれている。
☆スペイン風セレナーデ(マラッカ):スペインの名ピアニストホアキン・マラッツ(1872~)の作品中ほとんど唯一知られた作品。近代ギターの礎を築いたタレガによってギター曲として広まった。
☆サルスエラ「ルイス・アロンソの結婚式」から間奏曲(ヒメネス)
ギタリスト山下和仁の見事な編曲によってめくるめく妙技が披露される。
☆アンコール カヴァティーナ(スタンリー・マイヤーズ)
「私の大好きな小品を演奏します。がらっと雰囲気を変えて」とアギーレが弾いたのがこの曲。心休まる寛げる静かな曲。
☆アンコール 「アランブラ宮殿の思い出」(タレガ)
🎵「ギターの場合、たとえば「はかない人生」で民族主義と印象主義との融合と解説があっても即座にそれを聴き分けられなかったり、小曲が並んだ場合、超有名な曲しか印象にのこらず、あとは並列的に聴こえたりなのだが、これも回を重ねるうちには、じわじわと心に落ち込んでくるものかと」と前回書いているが、今回は一曲一曲が独立して立ち上がり心に落ちた。それにしても、間合いの絶妙さ、これは完全に曲を掌握し奏者の感性が融合を果たし、魂そのものとなったときに、聴く者の魂に届いてくるものと思われる。
🎧名曲アルバム。「花かげ」大村主計・作詞/豊田義一・作曲/上柴はじめ・編曲
大村主計の生家
☆ ☆ ☆
5月28日(土)
この日は音楽無し。新日本紀行もあったが、記録ではどうもニュースからの視聴であったようだ。
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5月27日(金)クラシック倶楽部を聴く クァルテット・エクセルシオ ベートーベンを奏でる
1994年結成。常設の弦楽四重奏団として演奏活動を全国で展開。「学生や地域のためのアウトリーチ」「現代曲の紹介」「定期演奏会の開催」の3つを活動の中心に据える。【演奏】クァルテット・エクセルシオ 西野ゆか(第1バイオリン)北見春菜(第2バイオリン)吉田有紀子(ビオラ)大友肇(チェロ)【曲目】1.弦楽四重奏曲 ラズモフスキー第1番 2.弦楽四重奏曲 作品130から (以上、ベートーベン)【収録】2021年1月15日めぐろパーシモン 大ホール
1878写真
クァルテット・エクセルシオ
第一バイオリン 西野ゆか
第二バイオリン 北見春菜
ビオラ 吉田有紀子
チェロ 大友 肇
1994年桐朋学園在学中に結成。国内外の数々のコンクールで受賞。日本では数少ない常設の四重奏団として四半世紀を超えて第一線で活躍し続けている。
コメント
西野ゆか:弦楽四重奏、最初の頃は、こうやって練習してきたものを温めたものをコンサートでみんなに聞いてもらうという意識が強かったと思うんですけど、これだけ何度も弾いてまた今後も弾くチャンスがあることが、自分たちの中にあって、あのときはこんな考えでこんなふうに演奏してきたけど、今はまた違ったり、未来もまた新しいアイデアが生まれると思うし、また違った意味での楽しみが今はできていると思います。
吉田有紀子:もうとにかく作品がすばらしいというところが第一にありますし、ハーモニーの美しさというのが神がかったような感じがあるので、もう特別な存在ですね。
大友 肇:ベートーベンって、たしかにメロディーとかメロディーラインあるんですけれども、役割がメロディーと伴奏というそういう分け方じゃない。ほんとうにもう4人が音楽の主導を持っている。そういう存在が絡み合って何かもう一つの世界を作るという、そういうところが最大の魅力じゃないかなと思います。
北見春菜:「ラズモフスキー」第一番は、初期の作品6曲と比べて、壮大なスケールというか演奏時間も長いですし、技術的にもけっこう演奏するのが難しい作品ではあるんですけれども、特に2楽章とかもすごくリズミックですし、強弱のコントラストもすごくあったり、たぶん聴いていても面白いと思うんですけど、視覚的に見ていてもすごく面白いのでがないかなと思います。4楽章は4楽章ですごく明るくて軽快な雰囲気なんですけれども、今けっこう世の中は暗いニュースが多いんですけれども、この曲を聴いていただいたらみなさんハッピーな気持ちになっていただけるんじゃないかなと思います。
曲目
☆弦楽四重奏曲 作品59「ラズモフスキー」第一番 ベートーベン
ベートーベンはウィーン駐在ロシア大使ラズモフスキー伯爵の依頼を受けて3曲の弦楽四重奏曲を作曲した。ベートーベン中期の代表作に数えられ、初期の弦楽四重奏曲とは一線を画する独創性と豊かな楽想を持つ。
☆弦楽四重奏曲 作品130から 第5楽章 ベートーベン
1825年に出版されたベートーベン後期の弦楽四重奏曲。全体は6つの楽章からなる。美しい旋律を持つ第5楽章「カヴァティーナ」は、作曲者自身もその出来栄えに満足したといわれる。
🎵今回の曲は暗闇を超えて光にといった根底の苦悩から発しているのではないなと。ラズモフスキー、2楽章で何かドラマがはじまりそうな気配も感じさせるけれどもそこには平明な幸せな気分も感じられる。3楽章は穏やかな空気に穏やかな会話が美しく流れ時としてさざめくような哄笑が聴こえる。このような曲調というのは自らが安定、充実しているときに浮かぶものなのかもしれない。「作品130 第5楽章」、夢うつつに心地よく流れているような。コメントで吉田さんが「神がかったような」と仰っていたが、質問内容を見落としたのだけれども、この第5楽章について仰ったものかと。
🎧名曲アルバム 「フルートとハープのための協奏曲」モーツァルト作曲
(フルート)吉岡アカリ,(ハープ)田島緑,沼尻竜典&東京フィル
⛳何とか一気更新のきょうははや5月31日。結局5月も聴き通すは聞き通した。忙しかった5月。あすはもう6月。6時56分更新
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