220412 クラシック俱楽部を聴く
国際ミトロプーロス声楽コンクール2003で最高位入賞。オペラのほか、オーケストラとの共演、リサイタルなどでも活躍を続ける。自身のプロデュース公演も行う。【演奏】林美智子(メゾ・ソプラノ)石野真穂(ピアノ)【収録】2020年11月18日 めぐろパーシモン小ホール
林美智子のコメント
日本の歌曲の魅力は、母がお風呂で毎日のように歌ってくれていたので、みかんの花咲く丘とか、色々な歌、そしてコーラスでも四季折々の日本の歌をたくさん習っていたので、自然に慣れ親しんだ感じでしたね。母国語ですからお客様とキャッチボールが直接的にできるので、自分が感じていることをそのまま伝えて、そしてお客様にもそのまま感じていただいただく、そんな分野ですね。
武満徹さんの歌を好きになったきっかけというのは、もともとは谷川俊太郎さんの詩の方が私には身近にありまして、シンプルで想像力が湧く愉快な詩には心躍らされて、そしてまた武満さんは、こと歌に関しては何かの書物で、もう歌は限りなく自由でいい、その人のその人のことばで表現で自由であるべきだと書かれていたのを読んでなるほどなと思って、是非これらの歌を自分のライフワークとして歌って行きたいなと感じました。
曲目
朧月夜 高野辰之作詞 岡野貞一作曲
お菓子と娘 西条八十作詞 橋本国彦作曲
くちなし 高野喜久雄作詞 髙田三郎作曲
貝がらのうた 三善晃作詩曲
市の花屋 深尾須磨子作詞 髙田三郎作曲
赤とんぼ 三木露風作詞 山田耕筰作曲
落葉松 野上彰作詞 小林秀雄作曲
さびしいかしの木 やなせたかし作詞 木下牧子作曲
ねむの木の子守歌 上皇后作詞 山本正美作曲
旅のこころ 高田敏子作詞 加藤昌則作曲
夢みたものは 立原道造作詞 木下牧子作曲
以下は武満徹作曲
恋のかくれんぼ 谷川俊太郎作詞
昨日のしみ 谷川俊太郎作詞
小さな部屋で 川路明作詞
見えないこども 谷川俊太郎作詞
うたうだけ 谷川俊太郎作詞
「さびしいかしの木」 アンパンマンの作者やなせたかしの詩。山頂に立つ一本のかしの木がさみしさに慣れてしまったとつぶやく様子を歌っている。
「市の花屋」 髙田三郎はパリの庶民の生活を書いた深尾の詩に日本への愛しさを感じて「パリ旅情」を作曲したが、その一曲。
「落葉松」 野上彰は昭和22年の秋に軽井沢で「落葉松」の詩を書いた。野上の死後小林はこの詩を読んで深く感動し一気に作曲したといわれている。
「旅のこころ」 詩人高田敏子は主婦の立場から平易なことばで日常を描き多くの女性から支持されていた。
「夢見たものは」 木下牧子が高校生の時に作曲。
「ねむの木の子守歌」 上皇后が高校生の時の作詩
「夢みたものは」24歳で亡くなった立原(1914~1939)がその前年に作詞。
wikipedia から「1938年(昭和13年)、中原中也が没して半年ほどの頃『四季』第37号(昭和13年5月号)に「別離」という文章を発表。そこで中原の「汚れつちまつた悲しみに…」について、「僕はこの涙の淵の深さに反撥する」と言及する。同年11月、九州へ旅行するが、12月6日に長崎で発熱・喀血。12月26日に東京市中野区江古田の市立療養所へ入院[6]。1939年(昭和14年)、第1回中原中也賞(現在の同名の賞とは異なる)を受賞したが、同年3月29日午前2時20分、結核のため24歳で没した。戒名は温恭院紫雲道範清信士。墓所は東京都台東区谷中の多寳(宝)院。」
🎵今回は「落葉松」がじわりと。落葉松、新緑の落葉松には清々しさ、黄葉の落葉松には明るさばかりを感じ取ってきただけに、この詩と曲の全く違った青色、濃紺、水色、黒と林美智子のメゾ・ソプラノに透明度が増してくる色彩感と雨に濡れそぼつ、涙に濡れそぼつ深い悲しみに打たれた。「落葉松の 小鳥の雨に わたしの 乾いた眼が濡れる わたしの 乾いた眼が濡れる」。落涙。以来、さまざまな「落葉松」の演奏を聴くようになった。
🎧名曲アルバムはシモンス作曲「南京豆売り」。
南京豆はキューバでは、路上でも売られている手軽な庶民のおやつ。
この曲は世界的なルンバ旋風を巻き起こした。
☆音楽とは関係ないけれど、耳にして複雑な心境になったキューバの今(時事ドットコムから)
「キューバは現在、ここ30年間(ケネディが発動した経済制裁がずっと続いている関係で)で最悪の経済危機に見舞われている。インフレ率は70%に達し、食品と医薬品は深刻な不足に陥り、主要収入源の観光業は新型コロナウイルス流行で大打撃を受けている。
キューバ政府は、すべての元凶は米国の経済制裁にあると非難し、米国と対立する中国やロシアに支援を求めている。」
ロシアの先々がこれにダブって……。
⛳11時1分更新
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