220330 クラシック俱楽部を聴く 辻井伸行 ピアノ・リサイタル I
ピアニスト辻井伸行が「今の自分を出し切れた」と語る渾身の演奏会の第1回。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールから10年あまり。30代になった辻井の音色とは。
【曲目】
こどもの領分(ドビュッシー作曲)
演奏会用組曲「くるみ割り人形」(チャイコフスキー作曲プレトニョフ編曲)
アンコール:亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー作曲)
アンコール:花のワルツ(チャイコフスキー作曲)
【出演】辻井伸行(ピアニスト)
【収録】2022年2月24日 サントリーホール 大ホール 音楽への思い、ピアノの音色で表現したいことについての情熱を語った貴重なインタビューもご紹介。
辻井さんのコメント
今回は13公演ありましたので、ぜんぶで13回ひきましたけれども、やはり、千秋楽に向けて、もっともっといい演奏をしたいという欲が出て来て、どうしたら、やはり、こう自分が一番これだと思う演奏ができるかなって、いつもいろいろ試行錯誤して、特に千秋楽はすごく自分の納得のいく演奏ができて、今できることはすべてこのツァーの中でもできた本番だったんじゃないかなと思います。
ドビュッシーの「こどもの領分」については、すごく大好きな曲ですけれども、 特に、4曲目の「雪は踊っている」とかは、ほんとうに雪がこうちらちらちらちら上からこう振ってくるような感じ、ほんとうに雪が舞っている、そんなイメージを思い浮かべて演奏していますし、一曲一曲のキャラクターを弾き分けるということもすごく難しいですし、この曲ってほんとうに音が少ない分いろんなことにこだわらないといけないので、それがすごく難しくもあり、そういうところがいろんな自分の音を追及できる曲だなって思います。
「くるみ割り人形」については、
ピアノ一台でいろんな音色が出せるというのを皆さまに知っていただきたいなと。ピアノで音を押せば勿論音は出ますけれども、その中でもやはりピアノの圧し方によって音も違ってくるし、ペダルの使い方一つでも音っていうのは変わりますし、ピアノ一台で繊細な音から壮大な音までいろんな音が表現できて、この「くるみ割り人形」もやはりオーケストラの原曲を聴くと、もうほんとうに最後の7曲目に向かってどんどんどんどん盛り上げていって迫ってくるような感じで、そういうところとか、特にピアノでこの曲を表現できるようにいろいろ研究しました。
🎵きのうは番組予定を見ないでしまったが、今朝、寝坊しないでよかった。辻井さんだ。どうしてらっしゃるかと思っていた。30歳になられた響きだ。コメントでおっしゃっているから言うのではない、実際に聴いていて、「こどもの領分」の「雪が踊っている」、辻井さんはこの雪を見ている、そう思った。静かめの曲の方が辻井さんの澄んだ空気や明るさ、心地よく温かい輝きといったらいいか、そんな音がよく聴こえるのだ。それがあって、強く激しい旋律も深く刻まれる。「雪が踊っている」、絶品、というとちょっと即物的な感じにもなるだろうか、すばらしいといえば月並み、ならば何といえばいいのか、まだことばが見つからない。演奏会用組曲「くるみ割り人形」、この曲を辻井さんはチェレスタを実際に演奏するなどして音を詳細に研究してから演奏に挑んだと解説があった。チェレスタ、いまユーチューブで聴いてみたけれども、ちょっと甲高い電子音、これが識別とかニュアンスをつかむことに役立つのかもしれないと勝手に思ったが、違っているかもしれない。「くるみ割り人形」は4番の「間奏曲」が沁みた。それと7番の「アンダンテ・マエストーゾ」、これが辻井さんの真骨頂も聴こえ、辻井さんの心の代弁も聴こえ、聴きごたえがあった。
辻井さんにはもう一つ、ほかのピアニストにはまねできない感動があり、たいしたことのない一人の音楽愛好家のことばで申し訳ないのだが、辻井さんにはほんとうに未来に向かっていよいよ輝き続けていただきたいと切望している。
今回がⅠ、ということはⅡがある。楽しみだ。
🎧名曲アルバム。プッチーニ「歌劇 ジャン二・スキッキ」
「フィレンツェは花咲く木のように」テノール与儀巧
「私のお父さん」ソプラノ砂川涼子
飯森&東京フィル
フィレンツェを舞台に繰り広げられる富豪の相続争いの物語。
⛳今からコーヒータイム。8時8分更新
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