220217 クラシック倶楽部を聴く 西村尚也&アンドレア・バッケッティ デュオリサイタル
マインツ・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスター、西村尚也(にしむら・なおや)と、バッハ等で特に高く評価されているピアニスト、アンドレア・バッケッティとの共演を送る。学生時代にF.ルイージ指揮PMFオーケストラでコンサートマスターを務めた西村は、東京芸大を経て渡独。現在はドイツ各地の主要国立歌劇場などにも客演している。2019年6月16日(日)東海中学高校講堂(国登録有形文化財)で収録。
(バイオリン)西村尚也、(ピアノ)アンドレア・バッケッティ
2019年6月16日 東海中学・高等学校 講堂(名古屋市)
西村尚也
1985年名古屋市生まれ。東京藝術芸大学を出て渡独。マンハイム音楽大学を最優秀の成績で卒業。ソリスト科終了。2001年イフラー・ニーマン国際コンクールジュニア部門第一位。これまでF.ルイージ指揮、PMFオーケストラやドイツ各地のオーケストラでコンサートマスターを務める。現在はマインツフィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスターを務めるほか、ハンブルクやフランクフルトの国立歌劇場にも客演している。
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コンサートマスターとソリストの両立について
コンサートマスターはオーケストラという「社会」の中で、劇場だったら歌手とか事務所を含めての「社会」の一員。団体行動をとる一方で、ソロが4小節でもあるとソリストとして結果を出さなくてはいけない。その切り替えが難しい。逆にソリストとして演奏する場合は、本番で結果を出さなければソリストの活動の方が一回の本番に掛かるプレッシャーは大きい。(でも)彼のような天才的な音楽家に触発されて自由に反応していけるのがソロにしかない魅力だと思う
アンドレア・バッケッティ
1977年イタリア生まれ。幼少期よりカラヤンやホルショフスキなど巨匠らの薫陶を受け、11歳の時にミラノでデビュー。モーツアァルテウム音楽大学やパリ国立高等音楽院、パガニーニ音楽院などで学ぶ。96年プレミオ・ベネチア・コンクールで優勝。世界各地でリサイタルを行う他、ザルツブルク音楽祭などに出演。2014年よりバッハの鍵盤作品全曲録音を行う。
コメント
彼との共演はとても興味深いものです。並外れた技術だけでなく音楽的なセンスもあるのでとても勉強になります。彼は楽譜や原典を分析するのですがそれは信じ難いことです。なぜなら多くの演奏家は才能があっても作曲家の考えをそこまで憶測してはいません。だから彼のそういう点をとても尊敬しているのです。もちろんテクニック的にも並外れていて絶対に間違えないのは信じられないことです。
☆「フォリア」コレッリ:作曲
バロック時代の凡例どおり、楽譜には旋律と和声のみ記され、音の肉付けは奏者に委ねられている。
☆「フランス組曲 第5番 BWV816からガヴォット、ブーレ、ルール、ジーグ」バッハ:作曲
(ピアノ)アンドレア・バッケッティ 独奏
組曲の形式は17世紀半ばごろドイツで確立され、古い舞曲で構成されている。バッハの時代にはそれらの踊りの多くが消滅し、音楽の形式のみ残ったといわれる。ガヴォット、ブーレ、ルールの舞曲は、当時も踊りの曲としても生きていたといわれる。☆☆「バイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 作品24「春」」ベートーベン:作曲
ベートーベン31歳のころの作品。甘美な曲想から「春」と呼ばれるようになった。ウィーンに来て1800年ごろ交響曲第一番と同じ時期に作曲。そのころ耳が聴こえなくなってゆくが、伯爵令嬢と恋愛をしていた時期でもあり、若きベートーベンの感情が芸術として昇華されている名曲である。
☆「バイオリン・ソナタから第2楽章「ブルース」、第3楽章「常動曲」」ラヴェル:作曲
ピアノとバイオリンの独立性が際立たされ、ラヴェルの新しい作風を示している。第2楽章ではラグタイムのリズムが特徴的。またバイオリンのさまざまな奏法が試みられている。第3楽章ではピアノの低音に支えられ、バイオリンは細かな動きを繰り返す。第1楽章と第2楽章で登場した旋律が、断片的に織り込まれ、一気にフィナーレへ向かう。
🎵「フォリア」、曲の肉付けは奏者に委ねられているという。直截でシャープな響き。聴きやすく分かりやすい。大昔にはシロップが滴り落ちるような響きをけっこう好んで聴いていた。ある時点からこのぐらいの恬淡さといったら言い過ぎかもしれないが、これぐらいに共感するようになった。「春」、幾度となく聴いた「春」、よかった、ほんとうによかった、あなたにこんなに幸福なときがあったこと、私は聴きながらベートーベンにそう話しかけていた。ラヴェルがおもしろかった。不安と平安の中間地点で綱渡りしているような心境に、と書いたのは以前聴いたときに感じた事。ラヴェル、ブルース調なんだけれども、同じフレーズに幾とおりかの味の変化を付けて、とにかく飽きさせず、次の響きはどうか興味を連続させるところ、こんなところにもラヴェルの打ち込むようなあのリズムが感じられる。強引なまでに最後まで聴かせるラヴェル。東海中学・高等学校 講堂1931年竣工、建築に興味が湧いた。
🎧名曲アルバム。オッフェンバック「天国と地獄」。この題字の書体もオッフェンバックの諧謔を表しておもしろい。
田中良和&東京フィル。
いまだにパリには最後はこの「天国と地獄」のカンカンで締めくくられる劇場があるらしい。オミクロン明けにはパリ行きを計画している人もあるだろう。まったく行く予定のない人もここに。何れにもこのカンカンの賑々しさ。作曲家としてだけでなく、劇場支配人として、風刺で笑いを産みだす傑作の数々、オペレッタを中心に100本もの作品をものすごいスピードで作曲したという。この曲、速く、速く、もっと速く、遅い、それじゃ遅い、遅すぎる!と陽気に鼓舞されている心境に。悲しみはどこにでもある。しかし笑いは作らなければ無い。眠い太ももを鉛筆でつつきながら笑いを作ったのは井上ひさし。オッフェンバックも人々のために笑いを作り出してくれたのだ。
この世紀のウィルス戦、オミクロン戦争の真っただ中には、まだまだ風刺、諧謔は浮かびそうにもないけれども、ほんのひととき、鬱屈を晴らしてくれただけでも、この曲、大したもの。、
⛳雪被害の懸念。まだまだ雪布団はバッハ、バッハと空から落ちてきそうな模様。嵩む除雪費、腰痛、怪我が心配。6時47分更新。
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