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211018 クラシック倶楽部を聴く ピアニスト小山実稚恵の世界Ⅰ~心に響くシューベルトとベートーベン~

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けさ5時24分盛岡の東の空。重い雲を持ちあげ響く楽の音。

☆  ☆  ☆

クラシック倶楽部は、

1959年仙台市生まれ。岩手県盛岡市で育つ。東京藝術大学出身。日本を代表するピアニスト小山実稚恵。コロナ禍中ひとり向き合ったベートーベンのピアノ・ソナタ第31番。そして心のひだに染み入るというシューベルトの名曲を弾く。 東北出身の小山が音楽を見つめ直すきっかけが東日本大震災だった。そしてコロナ禍。改めて感じた音楽の力とは、演奏するということとは。インタビューも紹介【収録】2021年6月23日 めぐろパーシモンホール 大ホール

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小山実稚恵インタビュー
シューベルトは心の歌。シューべルトの思っていることがそのままシューベルトの旋律そのものですし、作曲家の中でもほんとにしずかに心を打つといいますか、心のひだのなかのひだにしずかに入って来る感じとか、一回目と二回目がほんのすこしだけ音が変えてあったり、ちょっとだけその場のようすで違うという瞬間がシューベルトにはたくさん出てきて、それがたまらなく好きですし、胸がきゅーっと詰まるような思いでシューベルトは最近弾きながら、弾いて、もう、こんなことは言えない、と思って弾いてます。
3・11の2か月後、私、ちょっとそのとき、子どもたちがピアノを弾いたりするのをどう思うんだろう、これはちょっとと思ったら、二つの学校の校長先生が同じことを仰ったんです。いちばん持ってきた中で華やかなドレスを着てほしい、と。子供たちは、とにかくわっときれいなこととか楽しいことをとにかくしてあげて欲しいと。それがいちばんいろんなことを忘れさせて心から楽しいひとときになるから、と言われてえーっと思って、私、すごく胸は痛めてたんですけど、分かってなかったなあと思って、やっぱり音楽ってよいものだなあとか楽しいなあとかいいなあと思うものでなくちゃいけないんだ。そのときものすごく思って、そこでなんかこう自分の音楽の感じ方というのも、2011年にすごく考えて、そしてまた、ここでコロナが起こって。
このコロナの中で向き合ったのがベートーベンのピアノ・ソナタ第31番だった。第3楽章の嘆きの歌、その嘆きの歌がやっぱりこの事柄に嘆くとか、誰かのあの思いが悲しいから嘆くというのではなく、何かやっぱりもっと深い何事ともいえないものに二度嘆く。2回目の方はもう途切れ途切れになって嘆いて、だけどそこからフーガという緻密なものを組み立てて行って、最後にはもうべートーベンらしい力が宿って来て全身がこう心の下から勇気が湧き上がってくる。これはやっぱりもうベートーベンだからだし、人間だから感じられる感情だと思いますし、悲しいことに去年から今年、コロナのこういうことがおこりましたけど、ベートーベンだってやはり耳が聞こえなくなるという苦悩があって、苦悩の中の自分の在り方といういものを見つけて新しい自分の音楽が逆に言うと聞こえてきたとか見えてきたということがあると思うので、やっぱりこの作品というのは単に傑作ですばらしい作品だということだけじゃなくて、なんか人類へのメッセージ、言葉にするとちょっと気恥ずかしいですけれど、音楽を弾くというのと、やはり、人間であるから生きるということを思って弾くというような作品なのではないかなと思います。

曲目
4つの即興曲 D.935 第2番、第3番 シューベルト
4つの即興曲 D.899 第2番、第3番 シューベルト作曲
ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110 ベートーベン作曲

 

🎵 昨夜の「クラシック音楽館」、小山さんが出るというので視聴。眠いところをぐっと堪えるうちに番組の最後部分に。冒頭のショパンコンクールの審査員の方であったか、「演奏に精神性をどこまで表せるかにかかっている」と仰っていたが、小山さんの演奏にはそれがあり、テクニックもさることながらそういう点に惹かれる。東日本大震災の時もよく来てくださっていたなと印象に鮮やかだ。
 小山さんのシューベルトを聴いていると、森を明るくする光が満ちる湖面に、白鍵はさざ波と、黒鍵は樹木の陰影の揺らぎと思われてくる。音楽の泉が、清冽な泉がこんこんと、こくこくと湧き出てくるのを感じる。
 小山さんの表情を拝見しながら、そうだ、こうだった。この笑顔、このほほえみと思い返しながら、今回はベートーベンを弾き終えたときの表情に何かきりりとした威厳を感じた。弾き終えて尚曲の深まり、その深淵を見ている、そんな瞬間だった気がする。

 

🎧名曲アルバム。ベートーベン「月光」
「夜の遥か彼方から魂の悲し気な声が聞こえる」ベートーベンの弟子カール・ツェルニー
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作曲当時すでに聴力を失っていた彼を救ったのは、教え子でもあった恋人の存在だった。ベートーベンが「私の人生はいま一度わずかに喜ばしいものとなり、生まれて初めて結婚すればしあわせになれると感じているのです」と思ったのもつかの間、その恋は実らなかった。
番組解説が「彼の音楽は癒されることのない魂に寄り添い続ける」と。

⛳9時51分更新

 

 

 

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