« きょうのことば 「喜悦の盈満」 | トップページ | 方針の変更 »

210802 クラシック倶楽部を聴く アリス・紗良・オット

アリス・紗良・オット。けさのクラシック倶楽部を聴き終えて、このブログの過去記事を検索すると、何とこれまでに5回書いている。はたと考え込んでしまった。だいたい今朝聴いて感じたのとほぼ一致。やはり前にも「夜のガスパール」の「スカルボ」を興味深く聴いたようだ。自分の書いたもの以外のページに飛んでみると、彼女が裸足でステージに出ていることを知った。裸足はトランペットのルシエンヌばかりかと思っていたが、アリスも。それと2019年に多発性硬化症と闘っていることを知った。今朝の録画はたしか18年だから、或いはこの時にもうわかっていたのかもしれない。演奏を終えたときの彼女の目ににじんでいた涙の意味は。 

ドイツ人の父と日本人の母のもと、ドイツで育ち、幼い頃から数々のピアノコンクールで優勝。活動は音楽のみならずアートの世界にも広がっている。201819年にかけて日本とヨーロッパの各地で行われるリサイタルは、「ナイトフォール」というコンセプトで企画された。

Dsc00188-2 Dsc00179-2

コメント

ナイトフォールというのは、日の入りの直後の空がちょっと薄暗いときの光の世界と闇の世界がぶつかりあって混じり合う、一日の中の私はとても好きな時間なんですけどそのことであって、日本語に訳すとけっこう難しいんですけど、「たそがれ」とか「宵の口」とかともいうんですけど、それだと演歌っぽくなってくるので、私は個人的に「逢魔時(おうまがとき)」という言葉が好きなんです。それがナイトフォールという時間です。何なんか前に親友であるピアニストのフランチェスコ・トリスターノとリリースさせてもらって、その時はほんとうに20世紀の頭のパリが舞台なんですけれど、当時アートと音楽の世界で起きた革命がメインであって、当時からけっこうその時代に作曲された音楽家にすごい興味があって、ソロの曲ももうちょっと知りたいなと思って、「夜のガスパール」とか「ベルガマスク」の組曲とかを探っていったんですけど、最初はパリというイメージのプログラムを作ろうかなと思ってたのが、なんか、その曲に取り掛かっている最中に、パリではないなと思って、けっこうほんとうにその光と闇の部分がぶつかり合うので、「ナイトフォール」というタイトルが浮かんできたんですけれども、ほんとうに、まさにその二つの世界がぶつかり合うプログラムで、特にドビュッシーとか「夜のガスパール」、サティでもそうなんですけど。私は、人間にも光の部分と闇の部分、そういった二面性があると思うんですね。ふだんは、何が間違っていて何が正しいのかを判断できても、時と場合によってそれは難しくなってくる。白黒ではない時があると思うんですね。だから人間にもそのナイトフォールの部分があると思うんですけど、音楽でもナイトフォールをお客様に(聞き取れず)っていただいて、同時に自分の中にある二面性を探ってもらいたいです。

 

曲目

「夢」ドビュッシー:作曲
「グノシエンヌ第1番」サティー:作曲
「ジムノペディ第1番」サティー:作曲
「グノシエンヌ第3番」サティー:作曲
「夜のガスパール」ラヴェル:作曲
「亡き王女のためのパヴァーヌ」ラヴェル:作曲

 

 

🎵感じたところを、前の記事から転載する。
アリス・紗良・オットの世界「逢魔時」を象徴するかのような青いライトの巧みさ、ナイトフォールに溶けこむかの紗良の美しさに惹きつけられ食い入るかに見入ったけれども、今回はむしろ視覚的な部分を伏せて、ほとんど目を閉じて聴いていたのだけれども。紗良のいう光と闇がぶつかり合う白黒つけがたい、これはいわば葛藤というものでもあるかと。自分の中にある二面性をさぐってもらいたいという紗良。華々しい世界的な活躍をひた走ってきた紗良がたどり着いたこの時点。この収録は2018年だが、現在の彼女にはまた芸術に昇華された変化が織り込まれているのではとユニバーサル・ミュージック・ジャパンに飛んで彼女の今を確認。

ラヴェルの「夜のガスパール」、底に静まっていた沈殿物が、水の面を過るさまざまな生物、動物、物体、などというと曲想からいえば物々しくなってしまうが、いずれ人のさまざまな感情を含んだことばなどで立つさざ波によって、浮遊、これはふだんの自分のありようから思わぬ方向、事態に自分の意思とは時として無関係に引っ張られてしまうような物理的な引力とはまた違った牽引力なのだろうけれども、引かれ浮遊し、自らの存在に安定感を失っている、そんなあり様を想像してしまった。魂の落ち着きどころがなく羅針盤を失った航海でもしているような感じがした。

🎧名曲アルバムはバッハ。それもこんな意外なカンタータが。
Dsc00191-2

⛳22時01分やっと更新

|

« きょうのことば 「喜悦の盈満」 | トップページ | 方針の変更 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« きょうのことば 「喜悦の盈満」 | トップページ | 方針の変更 »