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210705 クラシッククラブを聴く ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル

「ショパンの音楽は無尽蔵」と語るユリアンナ・アヴデーエワ。ショパン国際ピアノ・コンクール優勝から9年。日本で初めてショパンの最高傑作ピアノ・ソナタ第3番を熱演した公演から。番組紹介からー 

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ユリアンナ・アヴデーエワのコメント
ショパンの音楽はとても豊かです。そこに込められている感情やアイデアは無尽蔵です。毎日発見があっても不思議ではありません。よく演奏する作品でも新しく演奏する作品でも新たな発見は大きな喜びをもたらしくくれます。
コモ湖国際アカデミーで学ぶ機会を得たことは幸運でした。北イタリアの山に囲まれたとても美しい場所です。入学できるのは年に5、6人という少人数で世界中のいろいろな先生に学ぶことができました。様々なレパートリーや考え方を持った先生方に学ぶことで私はとても解放されたのです。一つの決まった方向に突き進むのではなくいろんな音楽の感じ方を学ぶことができました。昔は地域によって音楽教育が異なり、ロシア流、イタリア流、フランス流と様々な音楽教育がありましたが、以降、地域性は希薄になりグローバルになったと感じます。それは面白いことだと私は思います。
Q何年前からパンツスーツに切り替えたか覚えていますか)
よく覚えています。きれいなドレスで臨んだ本番中、突然気まずくなったんです。その時、私はラヴェルの「夜のガスパール」を弾いていました。11年か12年前です。2曲目の「絞首台」を弾いていた時、あれ、何か違うな、と違和感がありました。もちろん演奏中に自分の腕や肩を見たりドレスを意識することはありませんが違和感を覚えたのです。豪華なドレスで「絞首台」を弾くのは違うのではと疑念が生まれたんです。それがきっかけでした。衣装が演奏の妨げになってはいけない。他の方法を見つけなければと決心しました。私も聴衆の皆さんにも見た目に気を取られることなく音楽のみに集中してほしいと思ったのです。美しい豪華なドレスを着る機会はほかにもあるのですから。
「ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調」は最近ステージプログラムに取り入れた作品で、ショパンの作品の中で鍵となる作品の一つです。そなた形式の代表作としても、音楽的にも、ショパンの作品の中で頂点を極めた曲だと思います。だからじっくり時間をかけて弾き込んできました。日本の聴衆の皆様とこの作品を分かち合いたいと思い、思い切って今回演奏することにしました。
(
音楽を志す若い世代へのメッセージ)
自分の楽器と音楽を心から愛することです。音楽という自分が好きなことを通して、聴衆という大勢の人々と交流できるのは素晴らしいことです。音楽のいちばんすばらしいことは団結できること。音楽という言葉を通じてひとつになれるということ。それを一番念頭に置くべきだと思います。うまく弾けなくとも伝えたいことがあれば聞き手はわかってくれる。それが一番意義深いことだと思っています。

 

 曲目
マズルカ へ短調 作品第7第3  ショパン
3つのマズルカ 作品59   ショパン
ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58  ショパン
楽興の時 第3番  シューベルト  

🎵ユリアンナ・アヴデーエワ。ラヴェルの「絞首台」を演奏しているときに、豪華ドレスを着ていることに疑問を感じ、以来、音楽を生かすためにパンツスーツに。2019219日東京オペラシティでの収録分。この日本公演のためにアヴデーエワが弾き込んで弾き込んで持ち込んだのがショパンの「ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58」。ソナタ形式の代表作で、作品の中で頂点を極めた作品。ヴィルトオーソ的な技巧があるとも。第一楽章で木の葉がはらりと舞い落ち降りつもり、それが森の中でというよりは、ショパンの中で多様な変転、変容を遂げていく。第3楽章では、思い入れのこもる音が孤独に逍遥し、内奥へと深く沈潜していく。ピアノを弾きつつも癒しには入れない魂が感じられる。第4楽章、孤独を強いて音の華やぎで埋めるかに奏法を繰り出し、最期の強烈な響きで、この全楽章の肯定し飾った、そんな感じを持った。曲の美しさから、壮絶なまでの孤独を感じてしまった。この感想が全うであるかはわからないが、聴いて感じたまま。
 けさはまさしく彼女の血となり肉とまでなったショパンを聴いた気がした。

 

 

🎧名曲アルバムはヘンデルのラルゴ「懐かしい木陰」。古田俊博のトランペット。矢崎彦太郎&東京フィル。
「懐かしい木陰」はヘンデルの歌劇「クセルクセス」の冒頭のアリアだが、主人公のペルシャ王クセルクセスが美しいプラタナスの木陰を称えて歌う。

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⛳昨夜は途中までしか聴かなかったが、尾高忠明が振っているのを久しぶりに聴いた。尾高への団員のコメントにその人柄が見えるところと合致。
8時27分更新

 

 

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