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210630 クラシッククラブを聴く 小山由美 メゾ・ソプラノ リサイタル

国内外の第一線で活躍を続けるメゾ・ソプラノ、小山由美。20世紀の作曲家たちの知られざる名曲を集めた演奏会からお送りする。ピアノは指揮者としても活躍する佐藤正浩。2018年ハクジュホール

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小山由美は東京芸術大学大学院終了後、シュッツットガルト音楽大学で研鑽を積みドイツ拠点に活動。バイロイト音楽祭をはじめ、世界各地の音楽祭に出演。N響との共演を重ねる。オペラ歌手として活躍するほか、歌曲においては古典から現代曲まで幅広いレパートリーを持つ。
佐藤正浩は東京芸術大学声楽科卒業後、ジュリアード音楽院のピアノ伴奏科で学ぶ。1993年サンフランシスコオペラの専属ピアニストとして活動開始。95年からリヨン国立歌劇場で出演歌手に音楽稽古をつける主席コレペキトールを務め多くの公演を成功に導く。指揮者としても数多くの歌劇を指揮。特にフランス歌劇への卓越した解釈が高い評価を受ける。

小山由美のコメント
たとえば映画で、はじめから最後まである一人物をやろうと思うと、人格がいろいろ変わっていくのを映画の中で見ていきますよね。オペラも一人の人物になりきって、その人の人格が変わっていくのを見ていく。リートな場合は逆さまにぜんぜん違って、美術館で絵を一つひとつずつ観ていくように、モネを見たりミケランジェロを見たり、そういういろんな違う絵を一つずつ観て、それを客観的に見せていくというかんじでしょうか。技術的にいうと、ある意味でリートの方が難しいですね。オペラの場合はオケがざーっと入って、きれいな声で歌えばいいけども、リートの場合にはその曲その曲に合った彩を探して、言葉をいろんなふうに遊んでといいますか、ドイツ語だったらドイツ語、フランス語だったらフランス語の愛情の籠め方が違うというか、それで、ある意味でやっぱり歌曲の方が人格、自分のパーソナリティーを聞かれてるという意味では難しいと思っています。日本語のものを歌ったときに、皆さんそれぞれ日本語、日本の曲に対する思い入れがあるでしょう。必ずある。だからそれを一般的な思い入れがなくって、自分にとっての思い入れ、ドイツ語にしてもロシア語にしても、或いは日本語にしても、自分にとっての思い入れをもっと個性として出しちゃうというか、間違っててもこうだという、そのぐらいのパーソナリティー、自分の個性を大事にして自分の言いたいことを音楽を通していっていく。作曲のやりたいことを私たちはやっていかなければいけないかなと思っています。

曲目
「架空庭園の書から」ゲオルグ詞、シェーンベルク曲
「眠り、眠り、眠りだけ」ヘッベル詞、ベルク曲
「メーテルリンクの詞による歌曲」、メーテルリンク詞、ツェムリンスキー曲
「歌曲集作品18から」モルゲンシュテルン詞、ヒンデミット曲
「待雪草」アイフェンドルフ詞、コンゴルト曲
「祝詞」テニメル詞、コンゴルト曲
「博物誌 こおろぎ」ルナール詞、ラヴェル曲
「永遠の謎」ヘブライの歌、ラヴェル曲
「バイオリン」ヴィルモラン詞、プーランク曲
「シラブル」、メシアン曲。歌曲集「ハラウィ」の中の8番。緑の鳩が再び現れ、オノマトペが多用される。これは猿の声の擬声語であり、猿の声の警告によって危機を脱したインカの王子を記念する「猿の踊り」を模したもの。
           以上10曲は多田茂史・訳

「子守唄」ショスタコーヴィッチ曲
「歌うな美しい人よ」プーシキン詞、ラフマニノフ曲
「私はすべてを奪われた」チュッチェフ詞、ラフマニノフ曲
           以上は伊東一郎・訳

 

🎵当初、知られざる名曲と聞いて、きっと厭きるだろうと聞き始めたところが、次は? つぎは? と55分があっという間に。 小山由美がいうに、20世紀前半、第一次世界大戦、第二次世界大戦前後激動の時代を生きた作曲家たちがどんな曲を書いているのか、ことばを通してどんなことをいっているのか、つたえようとしているのか、いわば近代のリートの流れを理論はもっとあるのだろうけれども実際に楽曲に託してつたえてくれたのだ。一般受けしないと仰っていたが、一般受けしない曲がこんなにおもしろいとは! 実にわかりやすくリートをお話くださった。
 どこが良かったか、「どれもそれぞれに」、どれも捨てがたいということなのだが、歌詞の内容、それに密着し引き出してメゾ・ソプラノの幅のある奥行のある豊かさで。ぐんと惹きつけられたという点では、「架空庭園の書から」、「メーテルリンク」「祝詞」、メシアンの「シラブル」、ショスタコーヴィッチの「子守唄」これを聴きながら、ソ連時代の収容所列島なども思い出し、子守唄というよりはソ連、ロシアの多くの婦人たちのやりきれない癒しがたい思いがつたわってきた。そして
「私はすべてを奪われた」私はすべてを厳格な神に奪われた/健康も 力も 意志も 呼吸も 眠りも/神が私に残されたもの/それはお前だけ/神へと 私はまだ祈りを捧げることができるようにとー

 

🎧名曲アルバムはショパンの「前奏曲 雨だれ」。演奏はイリーナ・メジューイワ

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⛳まばゆい日の出とともに、滋味に富んだメゾ・ソプラノがよき一日の始まりをくれた。
8時27分更新

 

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