210524 クラシック倶楽部を聴く 吉井瑞穂オーボエ・リサイタル 秋田県大仙市公開リサイタル
秋田県大仙市でおこなわれた世界的オーボエ奏者 吉井瑞穂のリサイタルから。巨匠アバドの薫陶を受け、2000年からマーラー室内管弦楽団の首席オーボエ奏者を務める実力派が、知る人ぞ知る名曲から“朝ドラ”のテーマ音楽まで、オーボエの魅力たっぷりのプログラムを披露する。【曲目】オーボエとピアノのための組曲(パヴェル・ハース作曲)、風笛(大島ミチル作曲)ほか【収録】2019年6月14日 大曲市民会館―番組紹介よりー
岡純子は(ピアノ)
吉井 瑞穂 2000年にマーラー・チェンバー・オーケストラの首席オーボエ奏者に就任。07年のザルツブルク音楽祭では、フィッシャーの《オーボエ協奏曲》でソロデビュー。各新聞で絶賛された。いままでに、シュトゥットガルト放送交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ケルン放送交響楽団、フランクフルト放送交響楽団などでソロ・オーボエ奏者として出演。
吉井 瑞穂のコメント
花火を見て:瞬間の芸術であるという事。2、3秒で無くなるものに、何時間も何週間も何か月も手間をかけて、その2秒、3秒のために、ほんとうに情熱と努力を惜しまない、その姿勢なのが、我々の音楽も、いま録音するという技術がありますけれども、本来はその場で終わってしまう瞬間芸術なので、(花火伝統文化継承資料館を見聴きして)何か同じ業種の方のインタビューを聴いているような驚きがありました。
最後の曲は「オーボエとピアノのための組曲」でパヴェル・ハース作曲。すこし濃く重いテーマなんですけれども、ちょうどこのパヴェル・ハースさんが45歳まで生きられて、亡くなったのはアウシュビッツの収容所で、ハユダヤ人だったためにガス室送りになった方なんですけども、そういうものすごく精神的にいろんなものが見えてくる曲なんです。そんな曲を最後に一曲選ばさせていただいたのは、やはりその平和と音楽のもたらすことのできる何が芸術で世の中のお役に立てるのかを自分に問いかけつつ皆さんと一緒に考えられたらいいなと思ってこの曲を最後に選んでみました。
岡 純子 10歳からピアノを始める。
大阪音楽大学卒業。在学中にオペラハウス管弦楽団と共演。
ジュネーブ音楽院伴奏科においてディプロム取得。第41回ティボールヴァルガ、ヴァイオリン国際コンクール公式伴奏者。西安国際オーボエフェスティバル公式伴奏者。
第10回および11回 国際オーボエコンクール・軽井沢公式伴奏者。第36回37回草津国際夏期音楽アカデミーでヴァイオリンクラス、ファゴットクラスのアシスタントピアニストを務める。
(OBOEより転載)
☆「オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370」モーツァルト:作曲、ピーター・ホジソン:編曲
☆「シチリア舞曲 作品78」フォーレ:作曲、アンリ・ビュッセル:編曲
☆「歌劇「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊り」」ボロディン:作曲、グラハム・バスタブル:編曲
☆「風笛」大島 ミチル:作曲、荻野 松宣:編曲「映画「ミッション」から「ガブリエルのオーボエ」」モリコーネ:作曲
☆「オーボエとピアノのための組曲 作品17」パヴェル・ハース:作曲
パヴェル・ハースはナチス軍の占領下にチェコ北部のテレジン強制収容所に入れられた後アウシュヴィッツへ移送され、1944年ガス室でその生涯を閉じた。「オーボエとピアノのための組曲」は、第二次大戦が始まる1939年に作曲された。
☆アンコール「千の風になって」新井満:作曲、荻野松宣:編曲
🎵「シチリア舞曲 作品78」、シチリアの空気感、青空を背景に動物たちが憩っている景色を勝手に想像しながら。「ダッタン人の踊り」、ダッタン人って? ググると短く分かりやすく解説してくれているブログがこちら。「風笛」、瞼に移ろうノスタルジア。
「オーボエとピアノのための組曲 作品17」、単純に通り抜けられない気がして
パヴェル・ハース:チェコのユダヤ人の靴職人ジクムントと、オデッサ出身のオリガ・エプシュテインの子として、チェコ語を母語として生まれ育つ。 14歳からブルノで正規の音楽教育を受ける。1919年から1921年ブルノ音楽院でヤン・クンツとヴィレーム・ペテルジェルカに学び、その後2年間レオシュ・ヤナーチェクの私塾で研鑽を積んだ。それ後20年の間に50曲以上が作曲されたが、作曲者自身によって作品番号を与えられたのは僅か18曲であった。家業の靴製造を手伝うかたわら、あらゆる種類の作曲にたずさわり、《交響曲》や合唱曲、歌曲、室内楽、映画音楽(「犬の生活」のための音楽)、舞台音楽、歌劇《サルラタン Sarlátan 》を創り続けた。1941年にテレージエンシュタット強制収容所に送致され、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で処刑された。《交響曲》は長らく未完成のまま放置されたが、1994年にズデニェク・ゾウハルにより、ハースの作曲様式を踏まえてオーケストレーションを施された。ハースの作品は、ボヘミアやモラヴィアの民俗音楽に根差しており、時折りユダヤ人の民謡にも似た趣きがある。テレージエンシュタット時代の作品は僅かに8作が遺されたにすぎない。(wikipediaより転載)
1939年前後の背景はこちら。ハースも日々の恐怖と戦っていたに違いない。出口、精神的な空気孔が作曲であったものか。背景を思うからか切ない思いに。
アンコール「千の風になって」、歌と違い、やわらかいけれどもどこか硬質な音が天からふって。絶品。
鈍色の雲の下に平和な羊の鳴き声、その温かさを感じながら一通り聴いた中で、やはり、パヴェル・ハースの曲だけは、今回も改まって拝聴。つかの間オーボエの音色を忘れさせる音色に没入させられたひと時となった。
🎧名曲アルバムは「テネシーワルツ」
ナッシュビルはカントリー音楽の街労働者たちの素朴な日常が歌われているという。
⛳17時49分更新
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コメント
ブログが動いていないので、どうしていらっしゃるかなと思っておりました。
こちらもパソコンの調子が悪く買い替えようとしたところ、データ移動に1週間かかるなどで、よほどPC,ブログ更新も止めようかとさえ思いましたが、何とか続けております。
そちら、コロナ、大変ですね。とにかくコロナにも罹らずお元気でらっしゃる、何よりです。
もうアジサイのシーズンに。こちらは近くの土手一面が、マーガレットで、雪が降ったように見えています。
コロナで出かけられなく、十分に時間があるようでいて何か手に着かない。現状突破を模索中です。
投稿: 中ぶんな | 2021年5月25日 (火) 12時02分
>harukaetoさん
>
>ぶんなさん、お久しぶりです。
>
>薫陶、恥ずかしながら初めて知りました。とても素敵な意味があるのですね。
>あなたのブログはよく拝見しています、何となくどのように過ごされているのかが
>分かります。お元気そうで何よりです。
>
>私のブログはずっと休業中です、システムがいつの間にか変わってしまって
>編集もできない状態です。まあ、どちらにしろ詩も出来ないですし、これでよかったかなです。
>東京はもう紫陽花が咲き始めています、移り気な色彩、たまらなく好きです。
投稿: 中ぶんな | 2021年5月25日 (火) 11時47分
ぶんなさん、お久しぶりです。
薫陶、恥ずかしながら初めて知りました。とても素敵な意味があるのですね。
あなたのブログはよく拝見しています、何となくどのように過ごされているのかが
分かります。お元気そうで何よりです。
私のブログはずっと休業中です、システムがいつの間にか変わってしまって
編集もできない状態です。まあ、どちらにしろ詩も出来ないですし、これでよかったかなです。
東京はもう紫陽花が咲き始めています、移り気な色彩、たまらなく好きです。
投稿: harukaeto | 2021年5月24日 (月) 20時10分