210527 クラシック倶楽部を聴く MAGNUMTRIO フルートアンサンブル 福岡県春日市公開収録
世界が注目する次世代型フルートアンサンブル「MAGNUMTRIO」が登場▽多久潤一朗、神田勇哉、梶原一紘による、超絶技巧を駆使した圧巻のパフォーマンス▽ちくわ笛 ▽歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲(グリンカ)、コロブチカ(ロシア民謡)、アヴェ・マリア(バッハ/グノー)、童謡メドレー、クロック・アラーム(多久潤一朗)、ミニマルアニマル(多久潤一朗)、剣の舞(ハチャトゥリヤン)、交響詩「死の舞踏」(サン・サーンス)、ハイランドパーク(多久潤一朗)、ブラックバード(マッカートニー&レノン)、くまばちは飛ぶ▽2020年9月福岡県春日市公開収録 ―番組紹介よりー
<プロフィール>
2006年、東京藝術大学在学中に結成。多久潤一朗、神田勇哉、梶原一紘による次世代型フルートアンサンブル。ピッコロからアルト、バス、コントラバスフルートなどの特殊管、尺八型、リコーダー型、中華型、スライド型などの改造頭部管を使う。
フルートのイメージからは想像し得ない音響を生み出す様々な特殊奏法や超絶技巧を駆使する特異なスタイルのパフォーマンスが注目され、世界各国で公演を行う。2020年ロシアのサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で行われたフルートフェスティバルに日本代表として出演。(番組の解説)
コメント(途中から)
多久:ピアノでドミソと弾いたら、これでもう終わっちゃうんです。ですから、もう3人でいっちゃかめっちゃかになって動かないと曲が成立しませんし、またコンサートを通すと、もうずっとフルートしか出てきませんから、やはりいろんなアイデアが必要になってくるんですね。ですので、私たちは自分たちの事をこう呼んでいるんです。フルートを突き詰めすぎた団体。きょうはこれをテーマに私たちがどれだけ突詰めているのかを皆様に紹介したいと思います。
先ずは、ふつうのフルートをコンサートフルートといいます。そして音が4つ低くなったアルトフルート、そして、1オクターブ低くなったバスフルート。さらに1オクターブ低くなったコントラバスフルートがあります。フルートは楽器が大きくなればなるほど音量がすこしまろやかになって音色がやさしくなるんですけれども、この低音フルートだけでグノーの「アヴェ・マリア」をお贈りします。
特殊奏法というのは、簡単にいうと普通じゃない奏法です。フルートという楽器は特殊奏法が非常に多い楽器なんです。なぜかというと、口でできることを増幅するシステムだからなんです。口で弾けば、それがフルートで反響して打撃音になりますし、管の中に息を吹き込んでひゅーっと流したり、いろいろな特殊な音響を生み出すことができます。特殊奏法を極めたきっかけは、私はもともと現代音楽を専門にやっていたからなんです。現代音楽では特殊奏法の音を出すことが非常に多い。ただ特殊な音で特殊な音楽をやってるから、結果ふつうになっている。なので、この僕は、この特殊な奏法で普通の音楽をやったら、これがいちばん特殊なものになるのではないかなと、それがアイデアの発端です。
神田:音楽大学で楽器を学ぶということは、クラシックのレパートリーをきちんと吹けることが前提になってくるんですが、現代音楽の曲を演奏してくれと依頼が来たりですとかコンクールの課題曲になったりしたときに特殊奏法が出て来て、皆さんはそれをとりあえずできるようにするまで習得するというところが普通のルートなんですけれども、私たちはその特殊奏法がぼこっと一つだけ出てきたのを、こんなに面白い音がするのをただその音楽のためにだけ一回使うのはもったいないと、これをいかに形を変えて面白い音楽にできないかと、特殊奏法というのは非常に重要な私たちの活動の軸になっています。
多久:「ミニマルアニマル」では、パーカショニストを招いて共演したい。ただこのパーカショニストはちょっと癖が強い。謎のリズムを叩くのでいつも崩壊してしまうんですけれども、きょうはうまくいったらいいなと思っています。
多久:(SNSに投稿した「ちくわの吹き方講座」は12万回以上の再生があった。実際ちくわで鳥のさえずりを演奏)。特殊ということを売りにしてやっていた我々が見落としていたのは、フルーティストがフルートを吹くのはふつうだな。ほかのものを吹いたほうが受けるんだということに何で気づかなかったんだ。なのでこれから仲間の二人はいばらの道を歩まされることになると思います。
演奏にはいろいろな頭部管を使う。Bee モードヘッドジョイントは頭部管に穴をあけてラップを貼っている。音は懐かしさという感じ。多久は中華風な音と。グリッサンドヘッドジョイントはフルートではできないポルタメントとかができる頭部管を使ったり。またアルトリコーダーの頭の部分をフルートに挿してみたら、何と挿さってしまった。こういう楽器を使って「「剣の舞」、「死の舞踏」を、さらに「ハイランドパーク」を演奏します。
【曲目】
☆「歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲」グリンカ:作曲、多久 潤一朗:編曲
☆「コロブチカ」ロシア民謡:作曲、多久潤一朗:編曲
☆「アヴェ・マリア」グノー:作曲、多久潤一朗:編曲
☆「童謡メドレー」多久潤一朗:編曲
☆「クロック・アラーム」多久潤一朗:作曲
☆「ミニマルアニマル」多久潤一朗:作曲
☆「剣の舞」ハチャトゥリヤン:作曲、多久潤一朗:編曲
☆「交響詩「死の舞踏」」サン・サーンス:作曲、多久潤一朗:編曲
☆「ハイランドパーク」多久潤一朗:作曲
☆アンコール「ブラックバード」ポール・マッカートニー&ジョン・レノン:作曲、多久潤一朗:編曲
☆アンコール「くまばちは飛ぶ」リムスキー・コルサコフ:作曲、多久潤一朗:編曲
🎵多久の編、作曲にはぜんたいに遊び心が感じられる。自分が楽しく愉快になる旋律を編み出し組み立てるという感じが。
「童謡メドレー」では機関車が蒸気を噴き上げる音、滴がしたたる音、ぞうの鳴き声、小鳥のさえずり、にわとりの鬨の声、ウミネコの鳴き声。蜂の羽音、茶摘みの忙しさ爽やかさの音までを追求する愉快な自然描写。
「剣の舞」は改造フルートでの演奏。グリッサンド・ヘッドジョイント、リコーダー・ヘッド・ジョイントとちょっと見落として音だけを聞いた部分ではあったが、移動式の吹き口にはびっくり。
「ハイランド・パーク」ではタップ、足踏み、アンコールの「ブラックバード」では口笛。可能な限りの模索、試行錯誤。「くまばちは飛ぶ」は、いたずらなくまばちが、どこにどんな悪戯できるところがあるかと好奇心いっぱいな目を光らせながら飛ぶさまが浮かぶ。これがまさしくMAGNUMTRIOの好奇心に相通じると思われた。
「クロック・アラーム」は目覚ましに覚醒を促されながらの夢うつつでの作曲らしいのだが。
ちくわばかりではなく、ねぎ、空心菜も吹いて見せるのには驚き! ちくわでえんそうしたのは「大きな古時計」。ちくわではない何かピッコロかを吹いて音を合成したのではとさえ思われるのだが、正真正銘のちくわと見た。ほとんど手品か魔術のよう。
🎧名曲アルバムは
⛳21時04分 更新
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