210402 クラシック倶楽部を聴く 音楽は翼に乗って 宮田大(チェロ)×大萩康司(ギター)
人気のチェロ奏者・宮田大とギター奏者・大萩康司が、本物の飛行機の前で演奏!▽所沢航空発祥記念館で収録▽映画「紅の豚」から「マルコとジーナのテーマ」(久石譲)ほか ー番組紹介よりー
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大萩康司:はじめて日本でどんな飛行機とか、歴史をさかのぼってきている飛行機の前で演奏するということ自体に、飛行機ってこう常に動いているものなんですけど、そこの中でぴたっと止まって演奏することに不思議な感覚がありました。
宮田大:小学校6年生まで私の夢は小学校のパイロットになることだったですね。こういった形でパイロットとしての夢というのが叶ったのかなあというのはありましたね。
飛行機も色んなサイズ、色合いがあるんですけども、弦楽器もたくさん色んな種類があったりして、そこから生まれる音色とか違うんですけども、言い過ぎになっちゃうかもしれないんですけども、飛行機と対話しているような刺激をもらいながら音楽を作っていったという感じがしますね。
宮田大:もしかしたら映像観てるとお互い顔を合わせているシーンがないかもしれないけれども、もうほんとに視界の中に入っていて、もう一つのボックスの中に二人で居て、そこで音楽を聴きながら共有しているというか。
大萩康司:相手のことを見ていなくともその空気で読み取れたりする瞬間が少しづつ増えて来て、それがとにかく最近とても楽しくなってます。
宮田大:今回いちばん大好きな大萩さんと共演させて頂いて光栄なんですけれども、やはり二人で共演するときのいちばん心がけているというか、とても自分の中で楽しみなことというのが一期一会の音楽というか、パイロットとかもたとえばその場所にいてお客さんを運んだりしているけれども、そこでお客さんとはさよならしてしまうけれども、何かしらそこに思いでとか匂いだったり、いろんなことが残ると思うんですけど、音楽のときも一期一会の世界でふたりで今日はデュエットができたのかなと思いました。
☆「映画「ロシュフォールの恋人たち」から「キャラバンの到着」」ミシェル・ルグラン:作曲、角田 隆太:編曲
☆「翼」武満 徹:作曲、福田 進一:編曲
☆「ギターとチェロのためのソナタ」ハダメス・ニャタリ:作曲
☆「ブエノスアイレスの秋」アストル・ピアソラ:作曲、角田 隆太:編曲
☆「ブエノスアイレスの冬」アストル・ピアソラ:作曲、角田 隆太:編曲
☆「天の三羽の美しい鳥」モーリス・ラヴェル:作曲、大萩 康司:編曲
(ギター独奏)
☆「鳥の歌」カタルーニャ民謡:作曲、パブロ・カザルス:編曲
(チェロ独奏)
☆「オブリヴィオン」アストル・ピアソラ:作曲、つのだ たかし:編曲
🎵所沢航空発祥記念館での収録。新型コロナで記念館が3月いっぱい休館にはいるまえの2月に収録したようだ。大萩と宮田の展示飛行機の初試乗体験も交えて。航空機とギター&チェロ、その狙いは。先ずは日本初のアンリ・フォルマンの展示を背景に「キャラバンの到着」、到着したキャラバンの期待の興奮とざわめき。これが飛び立つ直前のそれに通じるものがあるのか。大萩は飛行機の動きを想像しての事か、その前に静止して演奏する不思議な感覚を語り、宮田は小6まではパイロットになりたかったと。「マルコとジーナ」でゆうゆうと空を飛ぶ。このお二人、演奏中に顔を合わせることはないが、音と雰囲気で互いを確認し合っているのだなとコメントから類推。武満も空となれば翼で心を解放。物思いも載せて楽曲ヒコーキ。白い機体にオレンジの尾翼、胴体にはびしっと横線もようの856を背景にハダメス・ニャタリ。タンゴのエッセンス詰まる「ブエノスアイレスの秋・冬」この背景もアンリ・フォルマン。いつになく心に沁みる「鳥の歌」。「オブリヴィオン」とは「忘却」を意味するとか。
音楽家が教会や宮廷に招かれるとそれ相応に能力を、創造意欲をかきたてられるものらしいけれども、こういった設定もまた凡人には及ばない何等かを演奏に付加するものかもしれない。航空機発達の時間空間をギターとチェロの響きで悠々と飛びかけた感じが。
「昔ね、YS11 にのったとき、もう揺れて揺れて怖かった。遺書を書いた方がいいかもと思ったって、恐怖でそんな気持ちのゆとりなんか持てないのよね」。つい最近知人からこんなはなしを聞き、それがまだ記憶に新しいうちにまたこの所沢での収録を。戦争となって飛躍的に技術進歩を遂げた航空機。現在の性能のすばらしさは! といっても乗る機会はない。しかし心の翼、これがあることは飛行技術に優るといえるとよいのだが。
とにかく気軽な気持ちで、それが、途中ハダメス・ニャタリの曲から気分をがらりと切り替えてみた。曲を聞きながらダンスの振り付け、それは何も私が独自に考え出したものではないが、すでに作り出されたさまざまなタンゴのパターンを思い描きながら聴いて楽しんだ。作曲者自身の土台が深刻めいたところはなく、自由に駆け抜け滑り行く、先に障害物があってそれを回避するために瞬時模索する、そういった曲の感じなのだ。「ブエノスアイレスの秋、冬」でも、ピアソラ独自のタンゴのエッセンスを醸しながら女性の脚がフロアーにのびやかに弧を描くさまを想像し、楽しさが倍加。
そしてカザルス:編曲の「鳥の歌」、国連本部で演奏された、ピースピースを知らずとも、実にすばらしい演奏。今回も格別に余韻までがまだ胸中にのこる。
🎧名曲アルバムはエルガーの「チェロ協奏曲」ジャクリーヌ・デュ・プレがウィグモア・ホールで初演。このチェリストの成り行きもドラマティック。世界的な名声、世界的な名器を2度までも手にしている。バレンボイムと結婚。26歳で発病。41歳で死去。演奏できなかった発病から死までのあいだ、どんな思いで過ごしたであろうか。
⛳写真を載せたかったが、カメラにカードの装填を忘れ気づいたときは名曲アルバムも過ぎていた。どうもカメラの警告を見逃したらしい。続く番組は、空紀行でキリシタン弾圧と五島が紹介されていた。この映像、たとえ現地にいったとしても、このようなパノラマで見ることはできないわけで、素晴らしいと思いながらシャッターを。きれいに撮れてはいないけれども。
思えばきょうは受難週、イエス・キリストが十字架に架けられた金曜日にあたる。十字架はゴルゴダの丘に3本立てたれた。イエス様の右と左の十字架に架けられたのはどちらも犯罪人だった。そのうちの一人はイエスをののしりいった「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」。そしてもう一人の犯罪人はいった「おれたちは自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だが、この方は、わるいことを何もしていない」。そして「イエス様、あなたが御国に入られるときには、私を思いだしてください」というとイエスは彼に「あなたは今日私とともにパラダイスにいます」と約束された。
14時58分更新
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