210108 クラシック倶楽部を聴く タリス・スコラーズ 合唱アンサンブル
ルネサンスの作曲家、トマス・タリスの名を冠したコーラス・アンサンブル、タリス・スコラーズ。透明で濁りのないその歌声は比類のない美しさで聞くものの心をとらえてきた【出演】タリス・スコラーズ(合唱)ピーター・フィリップス(指揮)【曲目】「マリアよ あなたはすべてに美しい」(ゲレーロ作曲)「レクイエム(死者のための聖務)」(ビクトリア)【収録】2019年6月4日 東京オペラシティ コンサートホール―番組紹介よりー
タリス・スコラーズはルネッサンス音楽研究の第一人者であり、現在も指揮を務めるピーター・フィリップスが1973年に創設したイギリスの合唱団。ルネサンス期に書かれた無伴奏の合唱曲を主なレパートリーとしている。凡そ半世紀にわたってルネサンス期の音楽を世界に広める。(番組の解説から)
ピーター・フィリップスのコメント
タリス・スコラーズの響きの特色
ルネサンス音楽を演奏するためにこの合唱団をつくりました。当時はこの時代の作品を演奏する団体はまれでした。合唱団のメンバーに求められるのは、透明かつ強い声です。そして常に新しい技術を習得することを心がけてきました。ルネサンス音楽は、その後のバロック音楽とはまったく異なったスタイルが要求されます。リズムもチューニングも違いますし。ルネサンス音楽は独唱ではなく小規模の合唱ですから、これだけ大きなホールで歌うのはとても難しいのですが、日本は大きなホールが多く、声の響かせ方を学ぶことができました。
ビクトリアの「レクイエム」について
ビクトリアの才能を説明するのは難しい。彼は奇跡の作曲家です。とにかく響きが強烈で、ごくふつうの和音をより印象深く響かせる能力に優れていました。パレストリーナやタリス、バードのような作曲家はもっと音楽が複雑で、声部も入り組んでいます。一方で、ビクトリアは和声の選択が巧みで、聴く人に感動をもたらします。彼は聖職者で敬虔なキリスト教徒でした。レクイエムは彼の親愛なる主人皇太后マリアのために書かれました。ビクトリアの感情と宗教観のすべてが彼女への思いとして表現されたのだと思います。これは彼の音楽の極致であり、ルネサンス音楽の極致でもあると私は思います。
☆「マリアよ あなたはすべてに美しい」ゲレーロ:作曲
ゲローレは、16世紀後半に活躍したスペインの作曲家。多くの教会音楽を残している。この作品は1570年に出版されたモテット集に含まれている。
☆「レクイエム(死者のための聖務)」ビクトリア:作曲
ビクトリアは1548年にスペインで生まれ、教会のオルガン奏者や楽長を務めた。この作品は彼が司祭として仕えたマリア皇太后の死を悼んで書かれ1605年に出版された。
🎵「マリアよ あなたはすべてに美しい」、マリアへの賛美、これは透明で清らか、包むような優しさで歌われる。―あなたはただ一回で私の心を奪った あなたの首飾りの一珠で私の心を奪ったー、ここにある首飾りは真珠かと思うが、「首飾りの一珠」に宗教的な意味があったかどうか。マリアへの信仰的な心酔が歌われる。
「レクイエム(死者のための聖務)」の冒頭―わが心は生活に疲れたり われは敢えてわが言葉を投げん わが心の苦しみを示さん われ神に語らん われを非難したもうことなからんーこの後には、これはなぜなのか、との問い、煩悶が続く。そして入祭唱―主よ永遠の安息を彼らに与えー司祭の祈りなのか。キリエーキリストよ憐れみをかけたまえー、昇階唱、サンクス、ベネディクトゥスー聖なる聖なる聖なる 天の軍勢なる天の主はー、アニュスディー神の仔羊 この世の罪を取り去りたもう方よー、拝領唱―永遠に御身の聖人らとともに 御身慈悲深きゆえに 安らかに眠らせたまえー、葬送モテットー主よこの恐るべき日に 我を永遠の死より解き放ちたまえー主よあわれみをかけたまえー甚だしく簡略に記したけれども。この翻訳はルネサンス音楽史専攻の今谷和徳と出ていた。
🎧名曲アルバムはヴィヴァルディ「“四季”から“冬”」(バイオリン)千住真理子,(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団,(指揮)高関健 ~イタリア・ベネチア~
観光客が途絶えるベネチアの冬景色とともに。
⛳1都3県緊急時事態宣言下、7時10分更新
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