2019/11/4クラシック倶楽部を聴く
フレディ・ケンプ ピアノ・リサイタル
2019年9月20日東京 紀尾井ホール
フレディ・ケンプ
1977年ロンドン生まれ。ドイツ人の父と日本人の母のもと、ロンドンで育ち、幼くしてピアノの才能を開花させる。8歳でイギリスの名門ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と共演。1998年チャイコフスキーコンクール第3位など著名なコンクールでも入賞を重ね、世界各地のオーケストラトと共演をかさねる。年間100回ものコンサートを今でも精力的にこなし実力派ピアニストとして着実な歩みを続けている。
今回はフレディ・ケンプにとって重要なレパートリーであるショパンの作品ばかりを集めたリサイタルとなった。
フレディ・ケンプのコメント
ショパンとの出会い
教えてくれたのは母が最初だったと思います。ピアノを始めたのもクリスマスプレゼントに何が欲しいかと聞かれたときからでした。両親と一緒におもちゃ屋さんに行っていろいろと見ていたのですが、棚の上に値段の高そうなものがありました。中身も分からずあれが欲しいとねだったんです。「他のおもちゃはなしよ」と両親に言われて買ってもらったのが小さなキーボードでした。付録の楽譜はすぐに最後まで弾いてしまって母に違う楽譜が欲しいとねだりました。そこで母が弾いてくれた曲がショパンでした。若い時に覚えたのでしょうか。とにかく衝撃でした。初めてショパンを聴いてすてきな音楽だったことを覚えています。それからはピアニストとしてショパンが重要なウェイトを占めています。
ショパンを演奏するということ
年齢を重ねるにつれいろいろな経験をして人間として成長します。それが自然と音楽にも反映されます。
私の場合はショパンに限らず、これまでの常識を打ち破る解釈であっても、自分の試みに意味があると思える場合には、そのまま演奏してしまうことがほとんどです。音楽に対して真摯に取り組んでいれば突き進んでも構わないと思っています。そんな私の思いが聴衆に伝わることを願っています。
演奏会にショパンを選んだ理由
ちょっと遊び半分で考えたのが今回の選曲のコンセプトです。私の好きな曲ばかりをショパンの“ソナタ”のように並べて演奏することにしました。ショパンのソナタを考えると第一楽章はバラードに少し似ています。第2楽章はスケルツォ、また第3楽章はノクターンのようです。最終楽章にはポロネーズを書いていてくれたならばおもしろいと思っていました。
今回の演奏で目指すショパンの音色とは
バラエティに富んでいるところがいちばんの難しさかもしれません。ショパンが実際に書いたソナタでも同じです。バラードの長いフレージング、スケルツォの軽やかさ、まったく対照的です。そのあとノクターンがあり、ショパン独特のポロネーズと続きます。ショパンの場合、それぞれの曲に合った音を探るのに常に苦労しています。ショパンの音色は実際に演奏すると表現がより自由なことがわかります。こうしたホールで演奏することも念頭に置かなくてはなりません。フォルテシモと書かれていてもよく分からないことがあります。でもある時、ショパンが演奏したピアノを弾くチャンスがありました。現代のピアノとはまったく違うもので、それを弾いたあと、ショパンの意図がより明確になりました。スコアに書かれてある指示のほんとうの意味が分かってきたのです。
曲目
☆「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 変ホ長調 作品22」ショパン:作曲
☆「バラード 第4番 ヘ短調 作品52」ショパン:作曲
☆「スケルツォ 第4番 ホ長調 作品54」ショパン:作曲
☆「ノクターン ロ長調 作品62 第1」ショパン:作曲
☆「ポロネーズ 変イ長調 「英雄」 作品53」ショパン:作曲
🎵ショパンの作曲当時のピアノの性能を分かっていなければ本当の譜読みには届かないという点、プログラム構成をおもしろく。曳く余韻、感情を削ぎぎみな演奏部分がなにか演奏者らしいという感じが。建物の壁や草地に影を投じる梢の葉の揺らぎを聴いた気がして。
🎧名曲アルバム
「ブラジル風バッハ 第5番」ヴィラ・ローボス作曲
【ソプラノ】天羽明惠,【チェロ合奏】NHK交響楽団
🎵ヴィラ・ローボス、パリに留学し、そして「自分は真のブラジル人」という彼が作曲したこの曲、初めて聴くこの曲のすばらしさ!
⛳クラシック倶楽部の前に、フィレンツェのすばらしい絵画、彫刻が放送されていた。最近の美術雑誌などにはない清新さ、精神性に打たれた。 7時頃にいちど更新したのだが、きょうの番組を落とすのが惜しい気がして書き留めてみた。再び 20時9分更新
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