2019/10/9クラシック倶楽部を聴く
高橋悠治 in NHK~時代を超えて 音楽の輪を回す~
2017年1月21日 NHK101スタジオ
高橋悠治
コメント:高橋悠治です。作曲をしてピアノを弾いています。1960年から現代音楽の専門のピアニストになり、その後アメリカに住んでいたころから、少しずつクラシックの曲を弾くことになりました。最近は、バリトンサックスの栃尾克樹さん、メゾソプラノの波多野睦美さんと3人で、「風ぐるま」というユニットを作ってコンサートをしています。ソロ、デュオ、トリオを組み合わせたプログラムで、17世紀バロックの音楽や20世紀の歌曲など、それに新しく作曲した曲もあります。今回のプログラムは、これまでに作曲した曲と、それにつながるクラシックの曲を幾つか詰めてみました。
先ず、永瀬清子の詩に作曲した「あけがたにくる人よ」です。永瀬清子は岡山で、畑仕事をしながら詩を書いていました。「あけがたにくる人よ」は1987年81歳のときの詩です。ピアノパートは、「デデッポッポー」という日本のキジバトとシェーンベルクの「グレの歌」にあるヨーロッパのヤマバトの啼き声の引用を組み合わせています。
シューベルトは1825年に、スコットランドの詩人ウォルター・スコットの叙事詩「湖上の美人」による歌曲集を作っています。その中で、貴族の娘エレンが歌う「エレンの歌 第2番 「憩え猟師よ」」と「エレンの歌 第3番 「アヴェ・マリア」」は初版の楽譜では英語で歌えるように作曲しています。今回は英語で演奏します。
いまの「エレンの歌」と同じ年に歌曲集「冬の旅」も作られています。その時代のウィーンは、メッテルニヒの独裁体制のもとで、シューベルトもシューベルトの友人たちの集いも警察に監視され、歌詞のある音楽はすべて検閲されていました。シューベルトは友人に送った手紙で、暗い時代に生きる運命を嘆いています。そこに添えた自作の詩「民衆に訴える」に新しく作曲してみました。
(「膀胱結石手術図」「網膜裂孔」「眠り」「バッハと歩哨」は録り逃し。概略は)
闇の中で作曲詞を眺めながら、昔聴いたバッハの前奏曲を思い出しています。バッハの名前Bachのドイツ音名を前奏にして、その詞に作曲してみました。そしてその前奏曲は、どの曲かわかりませんが、ここでは「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第6番 二短調」を演奏します。
音楽は、記憶と希望を呼び覚ますこともある。音楽のある場所で人はひとりでないことを感じます。
曲目
☆「あけがたにくる人よ」永瀬清子:作詞、高橋悠治:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「エレンの歌 第2番 「憩え猟師よ」」スコット:作詞、シューベルト:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「エレンの歌 第3番 「アヴェ・マリア」」スコット:作詞、シューベルト:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「民衆に訴える」シューベルト:作詞、高橋悠治:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「膀胱結石手術図」マレ:作曲、高橋悠治:編曲
(声)波多野睦美、(バリトンサックス)栃尾克樹、(ピアノ)高橋悠治
☆「網膜裂孔」高橋悠治:作曲
(声)波多野睦美、(バリトンサックス)栃尾克樹
☆「眠り」フレッチャー:作詞、ガーニー:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「バッハと歩哨」ガーニー:作詞、高橋悠治:作曲
(歌)波多野睦美、(ピアノ)高橋悠治
☆「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第6番 二短調」バッハ:作曲
🎵以前に聴いたときは「膀胱結石手術」にショック。今回「網膜裂孔」、眼を閉じた中で行われている施術のさまが、とつとつと。そのとつとつに不安、戸惑い、安らかさが。サックスでこんな細やかな感情表現が。内容の濃いきょうのプログラム。前にも書いたかもしれないが、永瀬さん81歳の詩作。自分の思いには反した一生を、詩にすることによって否定的な人生に明るみを与えたという感じが。無意味な人生なんてない、そんな気がした。シューベルトの意外な一側面。すべての歌詞が検閲を受けた時代に「ただ歌だけが運命に立ち向かう力をくれる」という詩を高橋氏が翻訳、作曲している。何れ全プログラムが非常に興味深い内容。おもしろかった。
🎧名曲アルバム
「アラベスク」ドビュッシー作曲、加藤昌則・編曲
【ピアノ】萩原麻未,【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団,【指揮】
「アラベスク」はオリエント文化からの影響が色濃いという。
⛳とにかく忙しいきょう、来客、電話で中断、中断、中断
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