2019/8/12クラシック倶楽部を聴く
小曽根真×富士山
~2019年2月4日・ハイランドリゾート グランドバンケット富士~
小曽根真
1961年神戸生まれ。1983年バークリー音楽大学ジャズ作、編曲科を首席で卒業。即興性の高いプレイスタイルでジャズからクラシックまで自在に弾きこなす。近年ではニューヨーク・フィル、N響とも共演。ジャンルの壁を超え世界的に活躍するピアニスト。
小曽根真 コメント
前半の4曲について。僕はもともとクラシックプレイヤーではまったくないので、クラシックを始めて、まあそれでも14、5年演奏させていただいてるんですけど、何とか弾ける曲を選びました。クラシックの場合、いちばん大事なことは譜面に書いてあることをちゃんと弾かなきゃいけないので、それがジャズとクラシックでは奏法が違うので、ジャズでいくら弾けてもクラシックのリクワイアメントしなきゃいけない、弾かなきゃいけない音を弾けるかどうかは全然違うんです。ですからあまり高度な曲、超絶技巧の曲を弾きたいんですけど、何とか弾けるんですけど、TVに収録できるだけの技術があるかどうか、ちゃんと自分の中で吟味しなければいけない。これがまず一つ。その中で、即興の要素をしっかりいただける曲にしたんです。コンポーザーとのこの対話が面白いんですけど、モーツァルトなんかは、僕が音を変えようとすると楽譜の向こうから、どうぞどうぞ、どうぞどうぞ、ここはその場所だよと投げてくる感じがある。で、バッハもショパンもスカルラッティも、ラヴェルはご自身で即興でもされてたと思うんですけど、要素がいっぱいあるんで、遊びしろというんですかね、それがいっぱいあるんですよ。なので今回は僕が弾く意味をちゃんと出せる曲を選ばせてもらいました。あとは自分の好きな曲ですけども、勿論、最終的に。
後半の4曲について。最近僕がよく口にする言葉がボーダーレスとかビョンドボーダーとか、要するに音楽という言語にはジャンルは必要ない、というふうにほんとうに思うんですね。特にこの15年クラシックという自分から、自分の中でのジャズのある意味対極にある音楽をやらせていただいて、クラシックの皆さん、音楽家の方にいっぱい助けられてもらってコンサートをやっていく中で、すごく感じたことは、言語の表面的なものはぜんぶ違うんですけど、すべて表現したいものは同じ。人間の気持ち、感情、物語というのがあって、ですから、ジャズと一口に言ってもラテンジャズもあればクラシックに影響を受けてジャズもあるし、ブルースから来たジャズもありますし、いまラップとかヒップホップというのがありますけど、もう完全にジャズから来てる音楽なんですよね。弾むリズムという自体がそうですから。ですから自分の中ではそのボーダレスで作ってきた自分のコンポジションを代表するような4曲、何かないかなと思って選びました。
富士山とのコラボについて。演奏中には富士山は見えないんですけど、自分の演奏を聴きながら、即興で演奏していくときに、ものすごくパワーを頂いている感じがしました。こんなこと言うと、おめでたいなと見てらっしゃる方に思われるかもしれないんですけど、今日ね、すごくうまく弾けたんですよ。テクニック的にうまいとかでなく、メロディーが次からつぎから聞こえてきたんですね。僕の場合は、自分が弾いているにも関わらず、自分が弾いていない感覚があるんですね。弾いてるのをお客さんとして聴いてる感覚があって、あ、これおもしろい、よくそんなこと考えたな、それいいじゃんとかいいながら弾くわけですよ。ほとんどが、演奏してるときに一緒に会場にいらっしゃる、たとえばきょうだと、このカメラの皆さんとか音声の皆さんとかのエネルギーを吸い取るように頂いて、そこからこう即興が出てくる。皆さんも含めて富士山の持ってるパワーを頂きながら今日演奏した感じがすごくありましたね。富士山のおかげです。有り難うございました。
☆「マズルカ イ短調 作品17第4」ショパン(小曽根真 編):作曲
☆「ソナタ ホ長調 K.20」スカルラッティ(小曽根真 編):作曲
☆「シンフォニア 第7番 BWV793」バッハ(小曽根真 編):作曲
☆「組曲「クープランの墓」から 前奏曲」ラヴェル(小曽根真 編):作曲
☆「NO SIESTA」小曽根真:作曲
☆「My Witch's Blue」小曽根真:作曲
☆「Mirror Circle」小曽根真:作曲
☆「Asian Dream」小曽根真:作曲
🎵
いちど聴いたものではあるけれども、こんどはどんな印象がのこるかと聴きなおす。「My Witch's Blue」、冒頭クラシカルなピュアな響きの提示を、ジャズが、これはどうかね、割合いいだろうと問うている感じが。「Mirror Circle」、久遠とも聴こえる、謎解きが始まるがそれがジャズに撹拌され、やがて落ち着くところに落ち着くといった感じ。「Asian Dream」、時の波間に自然体で漂っている。一つ一つの音に風景が見える。
🎧
名曲アルバム
「弦楽四重奏曲 第41番 第二楽章」ハイドン
アイゼンシュタットにあるエステルハージ宮殿で、ハイドンは29歳から30年間宮廷音楽家を務める。ハイドンは毎日のようにハイドン・ホールで自作を発表し、音楽好きのエステルハージ公を楽しませた。この曲もそうした時期の名作の一つ。
⛳きょうこそ音楽はそこそこにして伸び放題になった庭の草取りをと思っていたところが、やはり面白くて書いてしまった。 7時17分更新
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