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2019/5/2クラシック倶楽部を聴く

ウィーン・アカデミー管弦楽団演奏会
(指揮)マルティン・ハーゼルベック、(管弦楽)ウィーン・アカデミー管弦楽団
2017
418日(火)大阪・いずみホール

☆「交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」第1楽章」、ベートーベン:作曲
☆「交響曲 第5番 ハ短調 作品67」、ベートーベン:作曲

マルティン・ハーゼルベック
1954
年生まれ、墺・ウィーン出身の指揮者/作曲家/オルガン奏者。オルガン奏者として高く評価され、国際コンクールでは数多く入賞。ウィーン宮廷礼拝堂オルガニストも務める。85年には古楽オーケストラ、ウィーン・アカデミー管弦楽団を創設。ハイドン、フックス、モーツァルトのウィーンゆかりの作曲家をはじめ、リストやブルックナー、2014年からはベートーヴェンの交響曲プロジェクトなど、精力的に演奏・録音を行なう。97年のオーストリア文化賞ほか受賞歴も多数。ウィーン大学教授。(タワーレコードより)

🎵
 この楽団は、オリジナル楽器を用いて、ベートーヴェンの初演の響きをいわば考証している。
 ネットでそちこちこの楽団の感想をのぞくと、響きの物足りなさがフラストレーションとなったという苦言も。たしかに打ちたたくようなドラマティックな響きや、高音の心行くまでの明るさや伸びには欠ける、という言い方がよいかどうか、何れ、その点では物足りなさがのこる場合もあるだろうとは思う。しかし、ハーゼルベックのはなしでこの楽団の価値を知らされるのだ。ベートーヴェン当時、ティンパニーはもっと小さく、ネジで音の調節をしていたという。ベートーヴェンが、その調節に時間がどれぐらいかかるのかを質したらしい。金属弦がヨーロッパに入ったのは、1920年ロシアからで、それ以前は羊腸弦。気温、湿度によって狂いやすく、調弦が難しいのだ。ナチュラルホルン、第九演奏は無理といわれるこのホルンで実際は演奏されていた。ホルンが期待するところの高らかさ、のびにいまいち届かないかに聴こえたり、弦がもやもやと感じられるところもあるが、しかし、ベートーヴェンは曇った感じを受け入れていたようだ。
 この楽団は、現代の楽団とは、立っている時間軸が違うのだ。ベートーヴェンの初演の再現を研究し当時のままの具現に努めている。
 5番、6番の初演は18081222日。真冬のとても寒い日だったという。他の曲56曲を含めての4時間のコンサート。アン・デア・ウィーン劇場だ。4階建てで、座席は2000。ふだんならもっと多くの観客が詰めかけ、座っているのは高齢者や名士だけ、あとは立ったまま、拍手のために腕や手を動かす隙間もなかったというのだからすごい。
 ただ、この5番、6番のときは、寒いこともあり、客席は半分しか埋まらなかった。会場借用料も払わなければならないベートーヴェンは赤字だったろうと。
 ここにベートーヴェンが立っていた、ここでベートーヴェンがこの響きを聴いていた、それが大事なのだとハーゼルベック。彼には、ベートヴェンが来ている、そんな気がした。
 この番組の収録、カメラのお蔭で、古楽器はもちろんのこと、CDジャケットでは見ることのできないハーゼルベックの当時のベートーヴェンンへの思い入れこもるさまざまな指揮の表情を見ることができた。どんな考証かと耳を澄ませていたが、5番の4楽章では、感動してしまった。数々の名演奏に勝って、記録、収録の価あるものと思われた。
 写真をとったところが、カードを入れ忘れ、よい写真、映像はないかとそちこちに跳んでみたが、それが、この映像でみた「ここぞ」という場面がないのだ。ハーゼルベックの振りおえるときの万感こもる表情が何とも! 

 

🎧
名曲アルバム。「ベサメ・ムーチョ」が流れていたが、ハーゼルベックにかかりきり、見逃してしまった。

 

⛳7時4分 更新

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