クラシック倶楽部を聴く
ギル・シャハム(バイオリン)…シャハムと江口玲との共演で聴く20世紀の作品
▽アレクサンドル・トラーゼ(ピアノ)…プロコフィエフの名手トラーゼによる「戦争ソナタ」
-番組HPからー
(ピアノ)アレクサンドル・トラーゼ~2018年5月23日 トッパンホール
江口 玲
ニューヨークを拠点に国際的に活躍を重ねる。ギル・シャハム、竹澤恭子など数多くの弦楽器奏者たちから共演者として引っ張りだこだが、ソリストとしても注目を集めている。2002年春にNYS
CLASSICS より発売されたソロ・アルバム、「Dear America,」以降、「巨匠たちの伝説」、「Pctures at an
Exhibition」、「ライヴ!ソナタ集」、「ライヴ!小品集」、「DearAmerica,・」、「Dear
Chopin」など発売されたほぼ全てのソロ・アルバムがレコード芸術誌から特選盤の評価を得ている。
1952年ジョージア(グルジア)出身のピアニスト。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで入賞した後、母校モスクワ音楽院で教職についた。 1983年にアメリカに居を構え、1991年にはインディアナ大学サウスベンド校で教授を務める。
ギル・シャハム。知らない。聴いて果たしてわかるんだろうか。きっと何も書けないな、と思ったのが正直なところ。しかし、何かは、一つは、一音なりとも、の食い下がりで。
「歌うトルコ人」,中近東の音楽を理解したいと、向こうの民族音楽を聴いてみたことがあるが、たぶんあんな風かな、という短絡は覆された。精神性の土壌の違いを砂のごとくに噛みしめたの感。
「ニグン」、気分の良い旋律に浸れる部分というのはなく、絶えずスリリングな状況にさらされているかのよう。ふと、難民の方々の心情が浮かんだが、それはもっと危機的なはずだけれども。イスラエルとアラブの追うか追われるかの果てなき抗争も垣間見えた気が。殺伐としたモチーフが感情でつながれているといえば、独断と偏見も過ぎるだろうか。それでも最後のアダージョそしてフィィナーレには得心。予想外、想定外なことに、またゆっくり聴いてみたいと思う自分がいる。たとえが相応しいかどうか、カエルは食べられない。だが海外に行ったところカエルが出た。周りの雰囲気や現地の方への気兼ねもあり、無理に食べてみたところ、存外おいしかった、どうも病みつきになりそう、といった感じなのだ。
「ピアノ・ソナタ 第7番」、第二次大戦中に書かれたので、「戦争ソナタ」と呼ぶのだとか。リヒテルによる初演。1楽章、不協和音の散りばめ。勝手な感情移入はご免だといわれている感じ。ざんざん降りの雨のように高揚し、静まり、ぽたぽたの滴になるかと思わせてなりを潜めていく。2楽章、緩やかに美しく、そして響きくる鐘の音がしきりと何かを告げ、遠景に消えゆく。3楽章、打楽器的な部分の強弱の間合いが絶妙。猛烈な突進に聞こえる部分、これが難曲の所以であるらしい。最後の輻輳した音、リズム、これは何? 何? とたじろぐうちに、もう、トラーゼはついとピアノを離れていた。

東京フィルハーモニー交響楽団,【指揮】大友直人
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