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エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ)…2018年4月のオール・シューベルト・リサイタルから
▽清水華澄(メゾ・ソプラノ)…「未来の自分へ」と題されたリサイタルから
エリーザベト・レオンスカヤ:ピアニスト。1945年トビリシのチフリス生まれ。11歳でチフリスで最初のリサイタルを開く。モスクワ音楽院でヤコブ・ミルシテインに師事。78年にソ連から亡命して、ウィーンに住む。翌年ザルツブルク音楽祭にデビューして、欧米の主要なオーケストラとの共演をはじめとして、活発な演奏活動を行なっている。リヒテルの連弾の相手としても知られている。-タワーレコード・オンラインよりー。シューベルト作品に力を注ぐ。
清水華澄:静岡県常葉学園高校卒業後、国立音楽大学声楽学科に入学。荘智世惠氏に師事。国立音楽大学声楽学科首席卒業。同大学大学院首席修了。卒業時に武岡賞、NTTドコモ賞受賞。桃華楽堂御前演奏会、読売新人演奏会に出演。大学院修了時に「国立音楽大学大学院研究奨学金」を授与される。
越知 晴子:京都出身。京都市立芸術大学卒業。同大学院修了。ロームミュージックファンデーションより奨学金を得て渡独。ミュンヘン国立音楽大学大学院マイスタークラス(歌曲伴奏科)修了。
シューベルト作品、レオンスカヤのピアノ演奏。~2018年4月14日 東京文化会館小ホール~
☆「幻想曲 ハ長調 「さすらい人」 D.760
☆「即興曲 D.899から 第2番 変ホ長調」
☆「5つの歌曲」、アルマ・マーラー:作曲、(メゾ・ソプラノ)清水 華澄、(ピアノ)越知 晴子
~2018年6月26日 紀尾井ホール~
☆「劇的物語「ファウストのごう罰」から ロマンス「燃える恋の思いに」」、ベルリオーズ:作曲
(メゾ・ソプラノ)清水 華澄、(ピアノ)越知 晴子
~2018年6月26日 紀尾井ホール~
「さすらい人」、ダクティルリズムのダーン、ダ、ダ、ダーン、ダ、ダの変奏、これがさすらい人、これでさすらい人。2楽章、陰影をまとった音が感傷的に逍遥する。しだいに音が微塵になってくる。3楽章、スケルツォにほっと。4楽章、ピアノならではの力強さ、華やかさ。フーガ風の主題にここちよく追われながら、右手ばかりを見ていたところが、どうも左手のアルペッジョは難易度が高いらしい。音に自己に、ありのままを生きてこられたに見受けられるピアニスト人生に尊敬の念が。「即興曲」、あらら、こんなに明るいブラームスのピアノ曲があるんだ! 小さな美しい景色が、デジタルに浮かび、展開し、また次へと。ブラームスがこんなひと時を得ていたのかと思うと、いつもとはちょっと違った作曲家のシルエットが。レオンスカヤ、YAMAHAを使ってくれたよう。
アルマ・マーラー、グスタフ・マーラーの姉か妹かと思いきや、妻だった。結婚当初は芸術活動を、グスタフに禁止されていたようだが、アルマの才能を封じ込めるのは罪悪と気づいたかどうか、夫のすすめで楽譜も出版したようだ。職業人として生き、才能を開花できずに終わってしまっている人たちが、案外多くいるのだろう。アルマのこの「5つの歌曲」。詩にばかり意識が集中してしまったけれども。淡々とした日常や窓から望むような情景を糸の番号を変えながら紡ぎあげたという感じ。メゾソプラノが、概して穏やかな、とここまで書きながら、7時のニュース、カルロス・ゴーンがこちらを圧している。(笑)、笑いが今、ほんとうに聴こえたような。ま、大いに笑ってください。どんと晴れ!
ここで9時を回ろうという今に書き足し。メゾソプラノ、滋養豊かという感じが。またユーチューブで聴きなおしながら書いている。ハルトレーベンの詩はよくわからない。今は、デーメルの「静かな町」。霧に圧し潰されそうな谷あいの町に、小さな明りのように子供が歌う賛美歌が聴こえてきたというこの詩が好ましく、おかしな言い方だが、詩が好ましければ、歌も好ましい。

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