クラシック倶楽部を聴いて
けさはパク・キュヒのギター演奏。2018年11月 横浜市 みその公園 横溝屋敷。
☆「ソナタ ト長調 K.391」、スカルラッティ・作曲。☆「フリア・フロリダ(舟歌)」、バリオス・作曲。
1985年韓国生まれ。日本と韓国で育つ。3歳で横浜にてギターをはじめ、これまでに荘村清志、福田進一、A.ピエッリ各氏に師事。東京音楽大学を経て、2014年ウィーン国立音楽大学を首席で卒業。2016年アリカンテクラシックギターマスターコースを首席で卒業。05年小澤征爾指揮によるオペラ公演に参加。07年ハインツベルグ国際ギターコンクール第1位及び聴衆賞、08年コブレンツ国際ギターコンクール第2位(1位なし)、ベルギー“ギターの春2008”第1位(コンクール史上アジア人そして女性として初めて)、リヒテンシュタイン国際ギターコンクール第1位、09年アレッサンドリア国際ギターコンクール第2位及び特別賞(ヤングアーティスト賞)、12年アルハンブラ国際ギターコンクール第1位&聴衆賞、14年ポーランドのJan Edmund Jurkowski記念ギターコンクール2014優勝。他多くの主要国際ギターコンクールで優勝・受賞。(日本コロンビア・オフィシャルサイトより)
横浜市 みその公園 横溝屋敷での演奏。番組予告を見たとき、ギターね、この曲とあの曲と、一通りの聴き流しになるかな、などと思いながら番組に臨んだところ、この単純な想いは反転。けさは実にすばらしかった。一つの意匠、見識から組み合わされた、ギターと豪農横溝屋敷という構造と、それを巧みな角度、距離、目線で追うカメラワークが一丸となり、相融和しながら創出された見事な芸術だった! 久方ぶりによいものを観たという実感が。これは視聴者にとっても幸運だが、演奏者パク・キュヒにとっても大変な幸運であったのではないか。野外演奏は初めてというキュヒ。深緑色のドレスが開け放たれた背景の庭にのぞむ緑に馴染んでいる。ギターの響きに、いにしえの人々のいでたち、暮らしの空気感までが彷彿とする。奏者の後ろの座敷、左隣の座敷を奏者を軸として遠近をもって捉え、開け放たれた戸の向こうに整然とたたずむ庭。縁に覗く瓦屋根、竹林、松枝の下の桃色の花、あれはアスチルベだろうか、違っているかもしれないが、また樹木に寄り添う石灯篭、それらが、曲と相まって実に美しい。 つい画面から何枚も写真を撮ってしまったが、著作権はどうなっていたか、ブログ掲載は遠慮すべきかも。
「ソナタ ト長調 K.391」、凪の海、漣の音を聴く感じ。バリオスのワルツは、水彩画で描かれた心象風景のよう。「ソナタ
作品47」、ヒナステラは、キュヒの説明では、アルゼンチンにあるリズムの一つマランボで、男性の踊りのリズムなそう。この曲には叩いたり、弾いたりする特殊奏法が多用されている。日本人が名付けた奏法のようだが、「猫パンチ」がある。猫のように手を丸めて叩くというのだ。叩いてから、はじくラスケアードをするのだとか。この曲のスケルツォで、調弦をするネジに近い部分を、奏法の一つとして擦っり弾いて音を出したのには、ここまでかと驚いてしまった。
「旅人のソナタ」、これはオダイルに献呈されている。キュヒはスペイン留学の時に、オダイルに師事したことがあるという。作曲者自身が、これはロックンロールだといっていたらしいが、わたしはむしろ、逍遥し、さすらう魂といったところが伝わってきた。
名曲アルバム。「リュートのための古風な舞曲とアリアから イタリアーナ」
6時52分 更新
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