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けさもクラシック倶楽部ーアリス・紗良・オットー

クラシック倶楽部、アリス・紗良・オット、艶やかなドレスに身を包み、どの曲も見事に華麗に弾きこなしていた彼女が、何と、こういう世界にたどり着いていた! 一音一音聴き逃せない、というよりも聴き逃させない演奏。彼女が個人的にいう「ナイトフォール(逢魔時/おうまがとき)に耽溺。2018年9月27日東京オペラシティ、現在の彼女の芸術追及のすがただ。日の入り直後の光と闇という二つのぶつかり合いに人の持つ二面性を観ている。その二面性を正義であるかないか、白か黒かとばかりは問えない場合を彼女は音楽の世界で描くように音を連ねる。サティのジムノペディ第一番は、単純なようでいて実は旋法のような旋律と和声でよく知られる曲なようだが、よく知らぬ筆者はいま知ったという次第。ラヴェルの「夜のガスパール」には絶句。生前は無名だったというルイ・ベルトランの詩集を題材にした組曲。第一曲「オンディーヌ」、第二曲「絞首台」、第三曲「スカルボ」の3曲から成る。深い夜のしじまを手探り歩むような一、二を破るように響く第三曲「スカルボ」、こんな相剋はもうご免だ! と聴こえる。狂おしく探り歩き廻るがそれでもいまだ解が無く、そしてまた光と闇が厳然としていつもどおりにそこにある。これが今朝の、というよりは、2018年9月27日に東京オペラシティでの、彼女の演奏だと感じられた。すごい!
 ライトに青く染まる黒いドレスの内に包まれた彼女の魂を、青く染まる黒鍵と白鍵を行き来する赤いマニュキアの指先が見事に空間に紡ぎだす。実に美しかった。

 

名曲アルバムは清水和音の「英雄ポロネーズ」。クラフクの街の映像とともに、アリス・紗良・オットの興奮が冷めやらぬままに聴いたことは、何か申し訳なかったという思いが。

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