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芸術は台所にまで味にまで

Dsc02617
この写真は、もうアップしたかしらん。いぶかりながらアップ。だいぶ前の景色。いまはもう木の葉は先へ先へと散り急いでいる。こんなに急いでどうするの? もしかすれば、来春のいのちたちの滋養たらんと準備に忙しいのかもしれない。風がひゅっとひとひねり動くだけで、軽々と身をひるがえし地面をすべる。死んでいくのではない、冬を潜りぬけるためのウォーミングアップだ。いまのいのちを次につなぐために。
きのうのクラシック倶楽部、90歳でベルリン・フィルにソリストデビューをしたメナヘム・プレスラーのピアノ。観ているうちに、聴いているうちに涙が。スタンディングオーベーション。ブラボーに答礼する老大家の眼の輝きと穏やかさ。サントリーホールだ。この域の演奏家には、この最中に果てても、の達観卓越した演奏家魂が感じられる。心打たれる場面だった。
 けさは6時半起き。ちょっと遅い起床。ピアノは半分終わっていた。それでも次の“名曲”に間に合えば、なかなかにおもしろい内容に出会えることもしばしば。
落ち葉掃き。夜露で鮮やかさが幾分失せた紅葉を、路上にへばりついたものも剥がしながら掃き集める。掃いたところにまた落ちる。木にはあとどれぐらいのこってるのかな? 見あげると、空の青とのコントラストも鮮やかに、色も形もはっきり、くっきり。あと2、3日というところ。落ち葉掃きはそれで終わるだろう。
幸田文の台所の随筆を読む。芸術至上主義のあの幸田露伴のたしか次女。露伴の芸術は、どうも台所にまで味にまで及んでいたようだ。

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