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 植えた球根が掘り返されて、逆さまに転がっているのを見つけるたびに、また土を掘って植えなおしている。のら猫がトイレにしているのだ。土を掘るか、かけるときに、球根まで吹っ飛ばしている。猫は、球根を掘り返して困らせようとしているのではない。むしろ、ちゃんと穴を掘って用を足し、土をかけて汚物が見えないようにして去るのだ。行儀がいい。それで腹をたてる気にはならないのだ。これが猫の単なる習性なのかどうかは知らない。猫が庭に入れるようになっているのだから、入ってきても文句をいう筋合いではない。入ってきたからといって、別に腹も立たない。日当たりのよい枯草の上で昼寝をしているときには、できるだけそっとしておいている。時々やって来ては、樹の下や、草の繁みを探訪し、いつの間にかどこかへ帰っていくらしい。猫はふと立ち止まって住人を窺っている。住人は、この猫がつぎにはどう動くかを見ている。この距離が縮まりもせず遠くもなっていない。こんな一定の距離を置いて、猫のこの庭の散歩をずっと許容してきている。

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