あらえびす著『名曲決定盤』
野村胡堂といえば銭形平治、そう思っていたときが長かった。音楽の方もなにか遺しているらしいと知ったときも、読んでみようと思わなかった。あらえびす記念館ができて数年経ったころに、この著書に出会った。銭形平治を読んでいないのだが、いまだに捕物帖とクラシックのギャップが埋まらない。
それにしても、大正時代にこれだけの音楽評論を書ける人がいたのだ。
あらえびす著『名曲決定盤』
昭和14年4月28日印刷
昭和14年5月3日発行
昭和14年6月1日8版発行
著者 野村長一
定価 2圓50銭
中央公論社
わたしが所有しているのは、この版。
音楽評論家の大御所だった吉田秀和氏は、最晩年にも、レコード芸術などに、あらえびすの著書から引いたものだった。
昭和24年『名曲決定盤』中央公論社
1979(昭和54)年 同 改訂版
1981(昭和56)年 同 (上下) 中公文庫
2015(平成27)年 同 改訂版 中公文庫
『名曲決定盤(上) 器楽・室内楽篇』、『(下) 声楽・管弦楽篇』
いまに生き、これからも生き続けていくのだろう。あらえびすの耳と心、知性が、いかに曲の神髄にまで迫り、聴き分けていたかが窺われる。事実、自分の好きな曲をどう書いているかを開くと、教えられること肯かせられることが多くある。
☆
あらえびす著『レコードによる古典音樂』
昭和12年12月10日印刷
昭和12年12月15日発行
定価 金1圓70銭
発行所レコード音樂社
こちらは、「あらえびす 野村胡堂」と直筆のサインが入っている。
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