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Dsc00923

 ユリノキ。

  ☆

   素朴な琴
              八木重吉
       
    このあかるさのなかへ
      ひとつの素朴な琴をおけば
      秋の美しさに耐えかねて
      琴はしづかに鳴りいだすだらう
 

 ☆

 

    雨
            ぶんな

 どんよりとした空から
 あめはぽつりぽつりと
 もし天気予報がなければ
 止むかもしれないね
 しかしもう知っている
 ふるのだ
 ふらずにはいないのだ
 地のうえに
 水のおもてに
 幾千の葉っぱの上に
 窓ガラスに映るのは
 白けた襖の波もよう
 高さもきままな書籍
 CDラックのせめぎあい
 そのまた奥に映るのは
 形の失せたマンションや
 アパート、家屋の窓あかり
 息をひそめる樹木たち
 雨あしは見えない
 ふっているのかいないのか
 しかし雨音が
 遠近もなく
 高低もなく
 たまに強弱を揺らしながら
 時というマエストロのまえに
 淡々と足並みをそろえている
 
  
 
 
  

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コメント

ぶんなさんの詩は初めて見たと思います、とても味わいのある詩ですね。
八木さんの「素朴な琴」も初めて見ましたが、 秋の美しさに耐えかねて 琴が静かに鳴り出すなんて、素敵な表現ですね。
 そろそろ秋の気配がしていますが、ぼくのところには言葉の落葉がさっぱりありません。

投稿: harukaeto | 2017年9月12日 (火) 21時13分

harukaeto さん
コメント、ありがとうございます。
いまはご子息さまのことなどで、創造の流出が留められているのかもしれません。私も、実家の母の介護や舅の介護などの期間はほとんど作品を残しておりません。子育て時の不安のときも、その通りでした。きっと今の大変な時を越えられた先には、無意識のうちに内蔵されたものが湧き出てくるのでは。
いまは、うまく書こうというよりも、見たものをありのままに書く、いわばカメラ眼になろうと試みています。これが創作上、いいのか悪いのかわかりませんが。
よい方向に向かわれますことをお祈りさせていただきます。

投稿: 中ぶんな | 2017年9月13日 (水) 09時45分

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