ヨナ抜き
明治唱歌には、よくヨナ抜き短音階とかヨナ抜き長音階という音階が出てくる。当時は、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、を、ヒ(一)、フ(二)、ミ(三)、ヨ(四)、イ(五)、ム(六)、ナ(七)と表記した。ヨナ抜きというのはファとシを除く、ということだ。ヨナ抜き音階は日本人好みといわれる。
『故郷の空』はスコットランド民謡だが、これを、奥好義(よしいさ)が、ヨナ抜き長音階に作り変えている。こうすれば、邦楽に似た旋律になるので、西洋音楽に不慣れな耳にもなじみやすいのだという。ー参考は『唱歌・童謡ものがたり』(読売新聞文化部)岩波書店
私の小さい頃の事。夏休み冬休みというと一戸にある親戚の家に泊まりに行っていた。蓋に蒔絵のついた漆塗りの小さな小箱があり、それを開けると、細く小さく美しく澄んだ金属音が、一音一音をあたかも自らで確かめるかのようにメロディーを響かせる。『天然の美』のオルゴールだった。帰るときに荷物の中に入れられてあった。
後になって、この曲が、サーカスやチンドン屋の定番曲であると知る。どうしても最初にオルゴールで聞いた趣きとは重ならなかった。興行で聞く音は、いかにも弾き古され、ややもすると軽すぎて聴こえもした。
近年になって、『天然の美』は『美しき天然』、そして、そのはじめの旋律、作詞、作曲のはじめは、頽廃的でもなければ、浮薄なものでもない事を知りうれしかった。クラシック畑にある方の中にも、よく内容を掴めていない演奏があるように、サーカスやチンドン屋の方々にも、その二通りはあるだろう。音楽の本来的な意義、用途などを考える時に、どちらが良い悪いなどと簡単に言ってしまうつもりはないけれども。
ジンタは、民間オーケストラが無かった明治時代、1887年(明治20年)に海軍の軍楽隊出身者を中心に、30名ほどのメンバーで「東京市中音楽隊」が結成された。東京市中音楽隊は行進曲、ポルカ、ワルツ等を演奏し、西洋音楽を庶民に普及させることに貢献した。ーウィキペディアより転載
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