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雑感

Dsc00623

 ゆうべのクラシック音楽館は、
1945年創設のイギリスのフィルハーモニア管弦楽団。首席指揮者エサ・ペッカ・サロネンによるオール・ベートーベン。ソリストはショパン国際ピアノ・コンクールで優勝したチョ・ソンジン。

1.序曲「命名祝日」ハ長調 作品115
2.ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
3.交響曲第7番 イ長調 作品92 (以上 ベートーベン)

1、2はそれとなく聴いていたのだが、3の7番は久方ぶり。朝比奈隆、カラヤンの7番を連日聴いていた頃を思い出してしまった。カラヤンの斬新な試み、ステージに階段を設けて奏者を配置した映像がよみがえった。サロネンの7番は、若干性急にも聞こえるが、輻輳した美しさ、ドラマ性は損なわれておらず、最後まで順応できた。

     ☆

 音楽の事は、実はついでで書いている。いま忘れないように書いておこうと思ったのは、音楽とは直接の関係はないけれども、ちょうど、ソンジンのピアノを聴きながら読んでいた本のこと。
 雨宮処凛(あまみやこりん)著『14歳からの戦争のリアル』
戦争には、勝者と敗者がある。しかし、勝った側の心に勝利はあるのか、戦争に果たして、聖戦、正義の戦いはあるのかなどといった自分のことばなどは、ありきたりで書いている先から力が萎えるのだけれども、著者の数行は重たかった。

 イラク戦争から帰国し熱狂的に迎えられた兵士のことば「このことが、私たちの部隊の者を混乱させました。私も自分が英雄だと信じようとしたのですが、何か心が壊れてしまったような感覚になりました。同じ部隊の人たちは酒に溺れたりドラッグを使うようになり、イラクから帰還して1年も経たないうちに、半数が薬物使用を理由に軍を除隊になりました」「ホームレスになった友人もいます。彼はファルージャで罪のない民間人を殺していました。パトロール中道路脇に立っていたお年寄りが手榴弾を持っているように見え、パニックになった彼はそのお年寄りを撃ち殺してしまったのです。しかし、遺体を確認すると、お年寄りが持っていたのは、数珠のようなものでした。……」
 帰還兵たちは、PTSDに苦しみ、アメリカでは毎日20名以上の退役軍人が自殺を図っているという。
 「イラクに派遣された自衛隊員は一発の弾も打たず、また一人も殺さず、自衛隊員からは一人の死者も出なかった。しかし、派遣された自衛隊員の中からは帰国後に29人の自殺者が出ている……こういった形でイラクに行った日本人の命が実際に失われていることを、この国の多くの人は知らない」 

 

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