夢と同じもの
けさのクラシック倶楽部、
イエルーン・ベルワルツ トランペット・リサイタル
▽名手ベルワルツによるバラエティーあふれるプログラム【出演】イエルーン・ベルワルツ(トランペット)、中川賢一(ピアノ)
【収録】2015年10月29日(木)武蔵野市民文化会館小ホール
ヘンデル:作曲「組曲二長調ウォーターピース」/ガーシュウィン:作曲ガーシュウィン:作曲
ドクシツェル:編曲「ラプソディ・イン・ブルー」/ロジャース:作曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」/エネスコ:作曲「伝説」/細川俊夫:作曲「霧の中で」(8分10秒)/リゲティ:作曲「マカーブルの秘密の儀式」(緑の字は番組紹介を参考に)
トランペットというと的確に高らかに鳴る祝典などにいかにもふさわしい楽器というイメージ。ヘンデルの使い方も華やぎに多く使われているかと。ちょっと砕けて新しく「ラプソディ・イン・ブルー」。やはり注意を喚起されるのは初演、初めてアーティストによって演奏されるデヴューの瞬間だ、それがきょうは、細川俊夫:作曲「霧の中で」(8分10秒)。ヘッセの「霧の中で」からインスピレーションを受けてトランペットのために作曲したという。日本で初演なら世界初演。霧の中に不穏な人の足音が間断なく響いているような、ちょうど映画の中の不吉なワンシーンを描くかと思ううちに、しずくのような音とともに静けさが訪れる。魂が静寂に向かって何かを叫び呼ばわるような何かを探し求めるような、見出そうとするような思索、想念的な響きのうちに、存在が静寂に溶けいりふつりと消えるという感じがした。作曲家にしてみたなら心外な感想であることもあり得るけれども、このような旋律をトランペットという楽器から見事に引き出しているという点で納得。「マカーブルの秘密の儀式」、理屈抜きに、いつも理屈抜きにだけれども、手放しでおもしろかった。
☆
音楽ばかり書いていると、地に足がついていないかだけれども……
シェークスピアのテンペストを思い出し、ベートーヴェンのテンペストを聴く。
「我々は夢と同じ物で作られており、我々の儚い命は眠りと共に終わる」
こうして無駄骨を折っているような
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