ハンスイェルク・シェレンベルガー指揮 ヨハネス・ブラームス『ドイツ・レクイエム』を聴く
合唱団は、4団体、仙台宗教音楽合唱団、山響アマデウスコア、岡山バッハカンタータ協会、盛岡バッハ・カンタータ・フェラインの230人の渾身の、慰めと力づけの祈りのこもる演奏に接した。岡山フィルハーモニック管弦楽団、距離に損なわれることのない発せられてそのままの声を聴きたく願っていた秦茂子のソプラノ、ドミニク・ヴェルナーのバス。何れもすばらしかった。ハンスイェルク・シェレンベルガーは約20年間、カラヤンのもとでソロ・オーボエ奏者だったという。その後、指揮者、ソリストに転身。カラヤンは1989年に没しているから、カラヤンの最後20年を共にしている。指揮の微細にいたるまで(1階6列目中央よりステージに向かってやや左の位置から見える範囲で)を拝見しながら、カラヤンの求める美しさをも備えた指揮に魅せられた。合唱指導に当たられた佐々木氏のプレトークによると、ドイツ・レクイエムは、神の怒り、裁きの神のことばではなく、いまを生きる方々へのための慰め、希望につながるおことばが引かれているという。今回は字幕も備えられ演奏内容もその意味をより味わうことができた。プレ・トークで第九のフレーズを聴くことができた。この4団体の合唱は前日の初めての合わせまでには出来上がっていたらしい。
隣におられた女性に「聖書のことばをどう思われましたか」と尋くと、「わたしは仏教だから」と。しかし、大変感動しておられ、「立ちましょう、立って拍手しましょう」と仰った。同感であった。ただ、わたしは二つの私的事情から立ちあがりかねた。
この演奏会でただ一つ残念だったことは、このすばらしい合唱を一階6列目で聴くと同時に、2階席中央、3階席中央、そして、左右にせり出した観客席で同時に聴く事ができなかったことだ。私という人間は一人しかおらず、同時に5か所に座を占めることができない。それが何とも残念でならない。
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