杮落としの曲に涙
文章を書く時間は短い。音楽を聴いている時間が長い。やっと岩手県民オケが県民会館落成の杮落しでワーグナーの『ニュールンベルクのマイスタージンガー』前奏曲を演奏している場面を書き入れた。ワーグナーの人種差別的な側面(後にはそれを改めてもいるが)、その他諸々を先に取り込んでしまったために、真剣に聴いてみようという気にはなれなかった。それでもワーグナーの音楽は、こうちらが好むと好まざるとに関わらず、周辺で流れているとまるで耳が選択したかのように優先的に入ってくる。そういう意味ではやはり凄い作曲家と認めざるを得ない。美のもつ特異性、独立性を想う瞬間だ。それがきょう、県民オケに分け入った心境で、ヘッドホンで拾いながら聴き書いているうちに感動し涙が出てきた。霊的な何かに感応したものか、自分でもよくわからない。最後のシンバルの後に全オケが終盤を力に満ちて括る。美というものも、もしかすれば諸刃の剣であるのかもしれない。カラヤンの周到な美の構築が一方で人々の嫌悪を買ってしまうのもそういうことかもしれない。楽曲に浸るのも時間を適度にほどほどにがいいのだろう。
松田晃氏にお話しを伺うことはついぞ無かったが、きょう奥さまの順子先生から当時のことを教えて頂く機会があった。感謝したい。
今しがた降りだした雨。すっきりとした季節感が無くなっている。しかし、いまこの時、生かされている今に感謝する。
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