

10/11(日)18:00から、トリオ・シンフォニエッタ盛岡のコンサートがありました。岩手県公会堂21号室です。公会堂竣工は昭和2年。このときに、盛岡の音楽家の先達圓子正(まるこただし)は、自分の樂隊で盛んに「天国と地獄」を演奏しオープニングを飾り、自らが初めて作曲した「秋の夜の夢」をピアノもまじえた弦、管アンサンブルで披露したのです。太田カルテットの梅村保、赤沢長五郎は、この圓子正に影響を受けました。そして、昭和4年には、大正の太田カルテットのメンバーであった赤沢長五郎が、帝室雅学部のメンバーも加えるハイドン・カルテットの賛助出演でリサイタルを開いています。当時としては華々しいことでした。
この岩手県公会堂でのコンサート。会場には赤沢長五郎の弟子であった成田浩先生が、夫人とともにお見えでした。太田カルテットのメンバーを直接ご存じである最後の方です。
そのような写真も撮りたかったのですが、動きまわるのも僭越、恐縮、自分の位置からやっとこの一枚を撮らせていただきました。宮野ゆかりさん、鈴木道子さんのすがたが奥まってしまい残念です。

今回演奏されたモーツァルト、シンフォニエッタ盛岡はこれまで、モーツァルト演奏を積まれてきたと拝見していますが、古楽奏法の音色に挑戦しているということでした。聴く側の耳がそれを聴き分けるに力不足であることを申し訳なく思いつつ、モーツァルトのピアノ三重奏曲変ロ長調、しかし楽しく聴かせていただきました。
次なるメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第一番1、2楽章、ピアノ、ヴァイオリン、チェロがまるで息を吹き返したように起ちあがり、取り組みの姿勢がぐんと伝わってきました。すばらしい演奏でした。
トリオが身近になるいつものトーク、これも楽しみのうちです。
ここに宮野さんのお父様が病を押して来ておられたようです。どんなにお喜びであったかと思います。
おいしいお菓子、ドリンクからコーヒーを頂戴しながら、アルコール分はなくとも、酔いは十分に回ったまま帰ってまいりましたが、今も、ここはこうです、こう弾くんですというように、建物のアンチークな香りを醸しながら鳴っているようです。
「岩手では、プロ、アマあわせても常設的なピアノ・トリオは見ない」と宮野さん。皆さまを力づけ応援できるコンサートを築きゆかれると期待しています。
また、いらしていたお客様のおひとりから「中ぶんなさんの本読みました」とお声をかけていただき、大変励まされました。お礼を申し上げます。
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