水仙
雪の一日。 
この木立の下にはチューリップ、クロッカス、ヒヤシンス、ムスカリ、そしてスイセンと、春の球根を埋め込んである。このなかでも、スイセ
ンは特別なものとなった。舟越保武展で観たパステル画『一馬と水仙』が非常に印象深かったことにある。生まれて八ヶ月のご子息が肺炎で急逝されたときのこ
とを、氏は、著書『石の音、石の影』にも「水仙の花」としてのこしている。心揺すぶられる随筆だ。
ー花をいっぱいに棺の中にうめた。黄色い花いち
めんの中に、一馬の顔だけが見えた。花の中から小さな顔と、合掌した小さな手だけが見えた。眼のまわりが、うす青く、西洋人形のようだった。」「グレイの
画用紙にパステルで、この幼い死に顔を描いた。描きながら、「天使のようだ」とつぶやいたとき、急に涙が溢れた。(著書からの抜粋)-
著書で、このパステル画があることは知っていたが、県立美術館の今回の企画でやっと観ることができた。個人の所有であるようだ。
水仙はもう土の下で芽吹いている。この水仙には、幼子のいのちが宿っているような想いさえする。やがて訪れる春に咲きそろうとき、私にまた『一馬と水仙』を思い出させるだろう。
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