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『美しき天然』

『美しき天然』という曲がある。1903(明治35)年に日本海軍佐世保鎮守府軍楽長の田中穂積が作曲、竹島羽衣の既存の詩を当てた曲だ。『天然の美』とも言われている。団塊世代では、或いは、チンドン屋の定番曲として子どものころに聴いたことがあるだろう。チンドン屋と結びついている記憶があるために、ちょっと懐かしいと思う程度のことかと思う。

 明治、大正、昭和の初めには、市中音楽隊というプロの楽隊が全国各地にあった。ジンタと呼ばれた。この市中音楽隊が、活動映画の宣伝などのために演奏をして回ったが、明治の終わりごろからは、この
『美しき天然』が定番となった。
 盛岡市でも、活動写真の常設舘『紀念舘』主である円子正が組織していた東華音楽会が、朝から活動写真の宣伝のために、
『美しき天然』を演奏しながら市中を巡り歩いた。当時誰一人知らぬものはなっかった。この曲は日本で初めて作曲されたワルツであるという。

 私が初めてこの曲を聴いたのは、赤紫色の漆塗りに、細い金線で花模様が描かれたオルゴールの小箱だった。ふたを開けると、澄んだきれいな金属音が曲を奏でる。夢のような心持で聴き入ったものだ。その音の記憶が風化されることなく今でも心に残っている。チンドン屋が奏でてくれた懐かしさは懐かしさとして、私にとって
『美しき天然』は、今でも優しく夢を与えてくれる、澄み切った曲として心の中にありつづけている。



『美しき天然』♪ (クリックしてお聴きください)

 


空にさえずる鳥の声
峯より落つる滝の音
大波小波とうとうと
響き絶やせぬ海の音

 

聞けや人々面白き
この天然の音楽を
調べ自在に弾きたもう
神の御手(おんて)の尊しや

 


春は桜のあや衣
秋はもみじの唐錦(からにしき)
夏は涼しき月の絹
冬は真白き雪の布

 

見よや人々美しき
この天然の織物を
手際見事に織りたもう
神のたくみの尊しや

 


うす墨ひける四方(よも)の山
くれない匂う横がすみ
海辺はるかにうち続く
青松白砂(せいしょうはくさ)の美しさ

 

見よや人々たぐいなき
この天然のうつし絵を
筆も及ばずかきたもう
神の力の尊しや

 


朝(あした)に起こる雲の殿
夕べにかかる虹の橋
晴れたる空を見渡せば
青天井に似たるかな

 

仰げ人々珍らしき
この天然の建築を
かく広大に建てたもう
神の御業(みわざ)の尊しや

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