きょうのことば『斯業の継承』ー教団創立記念ー
日曜日に掲載しております「きょうのことば」、多忙のために遅れましたことをお詫びいたします。きょうは、2013年10月27日、インマヌエル盛岡キリスト教会、國光勝美牧師の説教です。
【聖書引証】箴言22:28 あなたの先祖が立てた昔からの地境を移してはならない。
【説教】
きょうは、教団創立礼拝を皆様方とともに守らせていただきたいと願っております。
この教団の創立者は蔦田ニ雄先生です。蔦田先生を神のごとくに崇めることはすべきことではなく、蔦田先生が油注がれ、神に用いられた重要な人物の一人であることをフォーカスしてみましょう。
蔦田先生は、1906(明治37)年、シンガポールで、歯医者であり、正式な領事館のない時代の民間領事の立場でもあった蔦田顕理のもとに生まれています。父はメソジストであり、蔦田二雄先生はその青年会で大変良い働きをしていました。クリスチャン家庭にあって、この道に励み善行を積めば救われ天国には入れると信じていました。まだ一個人としてクリスチャンとして生まれる新生経験やきよめの経験を持っていません。ところが、国際連盟などの機関で働くために学ぼうと、ロンドン留学のために乗った船上で、オーウェン・ガントレット先生に出会います。彼も熱心に聖書を学んでいました。そして、私は救われて今すぐにでも天国にいくことができると言います。聖書に「信じる者は永遠の命を持つ」と書いてある。「もつだろう」ではなく「持つ」、つまり、信じたその時にもう持っているのだと言いました。蔦田先生はこの後、イギリスに着いてから1年後に新生経験をしました。イギリスにあって、蔦田先生は、バークレー・バックストンやドロシーエレン・ホーアを宣教師として日本に送りだしたイギリスに本部を置く日本伝導隊と関わりを持つようになります。ここで、蔦田先生はバックストン師とすばらしい関わりを持ちました。
治安上も大変な地域に大阪伝法教会がありましたが、英の日本伝導隊から貴族の出身でもあるホーア先生が遣わされてきました。そのときに救われたのがヤクザだった朝比奈カノン先生です。この方は、命を賭けてホーア先生と大阪伝法教会を護りました。蔦田先生は、このカノン先生に、イギリスで出会いました。そして、「君は日本に帰ってキリストの大使になれ」と勧められました。
帰国し、中田重治のもとで日本ホーリネス教会に身を投じ、東京の日本橋教会で働き、献身していたガントレットとともにリバイバルリーグの中心となる。日本橋教会が多くの若者たちの信仰の刷新の場ともなっていった。その流れが、川口始、大橋武雄、杉村道夫先生方であり、戦争がはじまったときに中国から欧米の宣教師が引き揚げた後、上海、新京に宣教に赴いたのが、こういった先生方でした。
1942年には、蔦田先生は、東条軍閥内閣の宗教弾圧に遭い、巣鴨刑務所で2年間の独房生活となります。そのときに、すべてを奪われても、神の同行と隣在を奪われることがないことを体験、「神われらと共に在す」ことを確信します。
終戦で岡山の元軍艦の艦長であった横田という家で静養していた時、広島に原爆が投下されたときに爆心地の近くにいた双子の長谷川姉妹とともに、1945年10月21日に祈りインマヌエル綜合伝道団を創立した。大きな式典などはなく、ただ3人の祈り会で祈っているときに、「今建つべし」という主の導きがあり、それで創設がこの日となっています。後には、この家の横田元艦長もクリスチャンとなっています。先ず千葉県船橋市に「医務部」、1946年3月に「伝道部」、そして同年に「農耕部」が発足。同年6月には、第一回年会がひらかれました。また同年9月に、青森県の三本木、現在の十和田市にインマヌエル綜合伝道団三本木教会が開拓されました。三本木に疎開していた方と藤原先生との出会いにより、その方が私財を擲っての会堂建設であり、これは、日本人の手により建設された初めての教会です。
また蔦田先生は、1967(昭和42)年のビリー・グラハム国際大会で、本田弘児慈、羽鳥明先生とともに、これをサポート、日本福音同盟及び福音派の教会のほとんどが協力しました。聖書はすべて誤りなき神のことばと信じるクリスチャンたちが結束し、大いなる救いのわざに参画し働きに用いられました。蔦田先生は、日本聖書信仰同盟、日本福音同盟に深く関わりました。インマヌエルの「聖」と「宣」の入ったマークがございます。「聖」は厳正なる聖書信仰を表わしています。これは聖書を拝むということではなく、聖書が誤りのない神のことばであり、人間の救いに関わることはすべて神から啓示され、必要にして十分に含まれているとするものです。たとえば、奇跡のことなど、私たちに理解しにくいことがあったとしても、合理的、自由主義的に理解するのではなく、そのまま聖書は誤りのない神のことばであるとする。もう一つ大切な事はきよめです。きよめがインマヌエルから外れたなら、それは、辛みのない塩です。神がこの群れを起してくださったのは、「きよめ」、全身全霊をもって神を愛すること、「御子イエスの血すべての罪よりわれらをきよむ」というこのキリストの十字架の贖いは全きものであると信じる。いつの時代にもこの信仰をしっかりと持っていなければなりません。
もう一つは「宣」。世界宣教です。多くの教会が自分の問題として捉えてはいませんでした。日本は被宣教国であるという意識、宣教師は向こうからやってくるものという意識です。使徒1:8には、「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」とあります。しかし、戦後のキリスト教会は、外から受ける事に馴れてしまった。占領国アメリカは、日本を統治する政策上、キリスト諸教会を日本キリスト教団と統一し、宣教活動もそうですが、ララ物資の窓口とし、ここを通して分配しました。これを拒否し、教会は信仰をもって、神をこそあてにして進みゆくべきであると真っ先に日本キリスト教団から別れたのがインマヌエル綜合伝道団です。そして、いつまでも被宣教国であってはならない、使徒1:8にあるように、日本から世界に出て行って福音を述べ伝えようとのビジョンを持ちました。そして当時、6人の先生方が世界宣教に就き、以降、これに次々に続いております。日本人の宣教師を海外に派遣したのもインマヌエル綜合伝道団が初めてです。
さて、盛岡教会も同じビジョンを持っているでしょうか。国外宣教のために重荷を持つて関わること、「エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで」とあります。私たちの働きが健全であれば、世界宣教は何も特別な事ではありません。箴言22:28「あなたの先祖が立てた昔からの地境を移してはならない。」をもう一度心に留めましょう。
※若干編集してございます。文責:中ぶんな
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