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宮崎駿 『風立ちぬ』

 宮古市に住む友人から、観る期間を逃してしまったが、盛岡なら25日までやっているからと、映画のチケットが回ってきた。内心ジブリか,と思ったが、きょう実際に観てみるとなかなかおもしろい。素晴らしかった。

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 主人公は実在の人物堀越二郎。東京の大学で航空工学を学び、ドイツ留学を経て、数々の戦闘機、そして後にはゼロ戦を作った人物だ。戦闘機、そしてタバコに違和感も持った方々もあったようだが。
 作品の中で、堀越はずいぶんと飛行機の夢を見る。夢に出てくる飛行機、これは想像上の飛行機なのだろうが、意外性と楽しさに感心してしまった。この夢が、本来の堀越の飛行機の未来図は戦闘機設計にあるのではなく、大空をかける夢の翼であったことを印象付ける。
 この映画には何度も「美しい」ということばが出てくる。美しいを頻発すると、かえって美観が損なわれる場合があるが、この映画では、景色も飛行機もその美しさを損なわれずに凛と輝いている。
 関東大震災、これは大正12年9月1日。鉄道や家屋が破壊されていく場面、火災で多くの犠牲者を出しているわけだが、距離をおいて広範囲に火が燃え盛る場面なども迫真だった。
 登場人物としては、
堀越の上司である黒川が、個性的なのだが、しかしそこかしこにいそうでもあるおもしろさ。この存在の効果は大きい。ありきたりになりがちな職場を活気づけている。
 また軽井沢に滞在するドイツ人カストルプだったと思うが、宮崎は、「ナチはならず者の集まり」と言わせることで、ナチにきっかりと一線を引いている。

 堀越との出会いの女性里美菜穂子は架空の人物。結核という病にあって、先行きを知りつつ結婚、はかなく純粋な愛を、これもまた美しく描いている。

 タバコを擁護するわけではないが、菜穂子を傍にして仕事しながらタバコを吸う場面がある。これは、現実味を与えるために敢えて入れたのではないかと思う。タバコの良しあしは別として、当時はそれがあたりまえの時代だった。

 映画館に足を運ぶなどここのところまったく忘れていたが、思いがけず、友人の計らいで観る機会を得た。平日の昼間だったこともあり、女性が多い。友だちと、或いは一人でも映画を楽しみに来ている。和服すがたの方々も見受けられた。

 きょうもこのよき一日に感謝、感謝!

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