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花はどこへ行った?



 あんな方もいた、こんな方もいたと、きょうも思いだしていたが、またその続きのように、いつも押し車を押しながら我が家の前を歩いて外科に通院していた着物の老舗である「まるせい」さんのおばあちゃんの張りのあるしっかりとした声も懐かしい。身内のものが亡くなった場合には、葬儀全般に直接関わるためか、別な世に行ってしまったのだという納得がある。しかしそうではない場合には、いつしか姿を見かけることがなくなり、そしてとんと見かけない事に気づき、あら、いったいどうされたのかと思い、しているうちに亡くなったと知らされる。弔問しても亡くなられたことに実感がわかない。その方のかつての住処を目にするたびに、いったい何処へいってしまったのと、何か不思議な思いに捕われる。
この方の家はいまも後継者の方によって守られているけれども、廃屋や更地になったいえの前にはふと佇んでしまう。

 そんなときに、こんな歌が浮かんだ。「Where Have All The Flowers Goe?」(花はどこへ行った?)。そういえば歌詞の意味をあまり考えたことはなかったなと検索してみると、反戦歌だった。ピート・シーガーの作詞・作曲だ。クリックすると、74歳のときの味わいのある歌を聴くことができる。1955年の赤狩りに活動停止を余儀なくされたピート・シーガーが失意の中で作ったという。いつの間にか視界から消えていった人の姿を思ったときに浮かんだ歌だ。

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