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きょうのことば 『ヤコブの神 2』

 24日の今朝は、降雪あり、所によっては吹雪あり。こんな日には、遠くの方々、高齢の方々、お子様連れは教会を休むのではないかしらと思いながら自分は遅刻をして到着。ところが、八幡平からいらしている方は地吹雪を突破して到着。それぞれが、雪深い路を慎重にしっかりと踏みしめて、いつもと同じように礼拝に出られ、会堂にはむしろいつもより活気が満ちておりました。

 日曜日はインマヌエル盛岡キリスト教会(℡019-646-2924)の講壇で語られる説教の要約をおつたえしています。きょうは、2013217日の國光勝美牧師の礼拝説教です。

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【聖書引証】詩篇146:1~10

1 ハレルヤ。私のたましいよ。をほめたたえよ。
2 私の生きているかぎり、をほめたたえよう。いのちのあるかぎり、私の神に、ほめ歌を歌おう。
3 君主たちにたよってはならない。救いのない人間の子に。
4 霊が出て行くと、人はおのれの土に帰り、その日のうちに彼のもろもろの計画は滅びうせる。
5 幸いなことよ。ヤコブの神を助けとし、その神、に望みを置く者は。
6 主は天と地と海とその中のいっさいを造った方。とこしえまでも真実を守り、
7 しいたげられる者のためにさばきを行い、飢えた者にパンを与える方。は捕らわれ人を解放される。
8 は盲人の目をあけ、はかがんでいる者を起こされる。は正しい者を愛し、
9 は在留異国人を守り、みなしごとやもめをささえられる。しかし主は悪者の道を曲げられる。
10 は、とこしえまでも統べ治められる。シオンよ。あなたの神は代々にいます。ハレルヤ。

【説教】

 「かしこに大路あり」(イザヤ35:8)。これを、ことし、この教会に与えられた御聖言(みことば)として歩んでおります。聖書に登場する人物には、さまざまな路が開かれていますが、いまは、「ヤコブの神」が、ヤコブに通らせてくださった路、即ち、ヤコブの信仰経験に焦点を当てて恵をともにしております。

 ヤコブは大きく2つの信仰の経験をしておりますが、それが、ベテルとペヌエルでのできごとです。ヤコブの人となりは、すでに前の週にお話したとおりです。兄エサウの憎しみを買い、伯父ラバンのもとに逃れる途中で野宿したときに、天から梯子が降りて天の使いが昇り降りし、しかも、神がすぐ傍にともにおられることを知り、信仰を持った。これがベテルでのできごとです。そして、こんどは、逃れた先の伯父ラバンにも悪感情を持たれてしまう。ラバンのもとで増し加えられた財産と妻たちとともに、ヤコブはまた兄エサウのいる故郷に戻る決心をする。贈り物を先頭に進んでいくという懐柔策を思いついたものの、兄エサウの怒りの前に、ヤコブの不安、恐怖は大きかった。そのようなときに、神に真っ向から向き合う時がヤコブにはありました。これがペヌエルでの経験です。これは創世記32章にございます。

24 ヤコブはひとりだけ、あとに残った。すると、ある人が夜明けまで彼と格闘した。
25 ところが、その人は、ヤコブに勝てないのを見てとって、ヤコブのもものつがいを打ったので、その人と格闘しているうちに、ヤコブのもものつがいがはずれた。
26 するとその人は言った。「わたしを去らせよ。夜が明けるから。」しかし、ヤコブは答えた。「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ。」
27 その人は言った。「あなたの名は何というのか。」彼は答えた。「ヤコブです。」
28 その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。」
29 ヤコブが、「どうかあなたの名を教えてください」と尋ねると、その人は、「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」と言って、その場で彼を祝福した。
30 そこでヤコブは、この名をペヌエルと呼んだ。「私は顔と顔を合わせて神を見たのに、私のいのちは救われた」という意味である。
 

 このペヌエルでの経験は、ヤコブの信仰における第二の転機、「きよめ」であるといわれております。

 S兄が、信仰上のことで大きな壁に直面したことがあるそうです。なぜこのとき、乗り越えることができたかを、このように語っておられます。

「私はこのことに遭うまえに、すでにペヌエルの経験をし、主の前に自我を砕かれておりました。これはほんとうに憐れみでした。もしそうでなかったら、あの時、好ましくない言動をとっていたかもしれません。けれども、神様に自我が砕かれることを学んでおりましたので、対処もでき、乗り越えることができたのです」

S兄のこの姿は、十字架の前にひたすら黙するイエスさまの姿です。言いたいこと、言い返したいこと、弁護したいことはさまざまあったでしょう。けれども、「毛を刈るものの前に黙す羊」、即ち、イエスさまのように、ただひたすら十字架へと向かうあの御姿を、私は、S兄の中に見ました。

ヤコブという名の本来の意味は、人を押しのける者、欺く者、かかとを掴む者という意味です。しかしヤコブはペヌエルで神様と格闘して勝ち、イスラエルと名を変えられています。「イスラエル」は「神の皇太子」と訳されます。事実、ヤコブは神の皇太子と変えられました。

 ヤコブがなぜ、これほどまでに神と争うことができたのでしょうか。神がイスラエルという名を授けるほど、とことん格闘できたのか。それは、あの創世記28章のベテルでの神の約束の御聖言があったからでしょう。

13 そして、見よ。が彼の傍らに立っておられた。そして仰せられた。『わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。14 あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。15 見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。』」

 ヤコブはベテルで神様からいただいたこの御聖言を持って、伯父ラバンのもとに行ったのです。そこでも、失敗、欺きなどさまざましでかしたことはあった。そのようなことも全部承知のうえで、神様は、ヤコブに相対されます。ヤコブが兄エサウのもとに帰る途中、恐れや不安におののきながらも、尚、神様との格闘を止めなかったのは、ベテルで与えられた神のおことばがあったからです。

「わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない」、こういったのはあなたでしょう。このように切り返しては、ヤコブは神様に祝福を迫ったのです。神と争って勝てる秘訣がここにあります。神様の約束のことばをしっかりと握って、それを神様の御前につき出すことです。信仰生涯は、これが出来るか出来ないかに掛かっています。

 どうかベテルでのように、神様と向き合って、神様から約束のことばをいただいて下さい。そして、それを握りしめ、神様と組み打ちをして下さい。そうすれば、神様の方から、参った参ったと言ってくださるに違いありません。ヤコブがそうでした。

 去年11月、私の母が天に帰り、郷里にあるホーリネス教会をお借りして、葬儀を執り行いました。そのとき、故人の息子である私が、なぜ司式者としてここにいるのかをお証しする機会がありました。そのとき、式辞として、創世記1212節の御聖言が与えられておりました。
1 はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。
2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。

 これは、私が、神様に献身して牧師になる決心をしたときの御聖言でもあります。私にとっては、ちょうどヤコブがベテルでいただいた御聖言に相当するものです。ですから私は、これからの信仰生涯にも、神様と組み打ちしなければならない場面があるでしょうけれども、最後に持ち出すのはこれです。「だって神様、あなたがこの御聖言で召してくださったんですよ。そうですよね、神様」、そう言える約束のことばです。

 ヤコブのようにというのは、このことです。神様としっかりと向き合って、御聖言をいただき、「だって神様、あなたは、このおことばを下さっています」と言えるように、それをしっかりと握りしめてまいりましょう。

※説教は約半分に編集しています。プロジェクター上で用いられた地図、解説などは省略しています。文責:中ぶんな

 

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