« わがまち | トップページ | 開かれた天国の門 »

脈々と

185

この雪の下には、カキツバタ群落が眠っているのです。初夏にはきまって爽やかに青く咲く。カキツバタばかりではない、ワスレナグサやタンポポやシロツメクサ、そして名も知られぬ草花も。いまは見えないだけなのです。この雪の下には、たくさんの命が脈々と生きている。そう、もしかすれば、ほんとうは、この雪の下で
も、いまこのときにも咲いているのかもしれません。

182

川に下りる道はないと思っていました。けれども近づいてみると、踏み固められた細い道が、緩やかに川べりに続いています。大人の足跡や子どもの足跡がくっきりとついています。ネコの足跡もありました。犬の足跡もついています。そして鳥の足跡も。人の足跡を、踏み外さないように辿ってゆくと、青く澄み切った水底には、まるで世の哲理を悟ったかの石たちが、黙して、白鳥の水かきの下に、明晰に照り映えておりました。

|

« わがまち | トップページ | 開かれた天国の門 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 脈々と:

« わがまち | トップページ | 開かれた天国の門 »