遺るコード番号ーシベリヤに逝きし人々ー
終戦記念日が近づいているからというわけではないが、最近、岩手県立図書館でシベリヤ抑留関係を調べたことがある。当たった書籍の中で特に胸を衝かれたのは、村山常雄著『シベリヤに逝きし人々を刻すーソ連抑留中死亡者名簿』であった。46,300人が記されている。全員にたとえば「コードA1ー049」といった番号が振られている。推定地名、漢字氏名、生年、階級、死亡年月日、出身地の項目がある。一通り見ていくうちに、記載項目のどれかが空欄になっていく。さらにページを捲るうちには、人ひとりの空欄の数が増えてくる。そして名前の一字しか分らない方、そしてついにはコード番号だけの方となる。こうして、誰であるか分らない方々の数を数えると212人であった。酷寒の地で苛酷な重労働と餓えと病で倒れていった方々。そして誰であるかも確認されぬまま逝った方々の無念さを思う。
9時になってしまった。窓から見える5階建てのビル。改装なのだろうか、西側全面に足場が組まれている。その足場を格子として、覆われたシートから各階の窓の明かりが滲んでいる。
この部屋の窓に吹き込む風はもう肌寒い。しかし猛暑に耐えたときを思えばこの冷気を避けて窓を閉ざそうという気にはまだならない。
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